相続や不動産問題に取り組む弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
共有の不動産(土地と建物)があります。
共有者の1人がその不動産を管理していました。そして、土地上の建物を賃貸にだして、家賃を1人で全部受け取っていました。
なお、建物はだいぶ傷んでいます。そこで、建物の修繕が必要です。
この時、 各当事者はどういうことに意識をすれば良いでしょうか?
事前に皆で修繕費について話し合うこと
共有者全員で、建物の修繕をどこまでやるのか、どれくらいの費用をかけてやるのかを確認しましょう。
もし、共有者全員で協議して修繕をどうするか決めないと、トラブルが生じることがあります。
事前に話し合いがないとどうなる?
建物については、将来、建物を解体して更地にして売却する可能性があります。
数年したら建物を解体して更地にしてしまうのに、何百万円も修繕費をかけると、後々トラブルの元にもなります。
また、高額の修繕費を支出した場合にも、後々問題が生じます。
高額の修繕費を支出する必要があったのか問題となります。
そして、後日、裁判で賃料の不当利得返還請求となった場合、修繕費として支出した全額を不当利得の返還対象としないかで争われるおそれが生じます。
弁護士の活用のしどころ
共有者間で深刻なトラブルとならないように、どういう解決方法がよいのか法的なアドバイスをもらいましょう。
状況によっては、共有者の1人が不動産を買い取ることも考えられます。不動産を第三者に売却することも考えられます。
弁護士に事案の性質など総合的に判断してもらい、どういう方法が最善かをアドバイスしてもらいましょう。また、交渉もまかえるとスムーズに解決します。
裁判になった場合
賃料をめぐって、共有者間で裁判になることがあります。
各当事者は、どういうことを意識すれば良いでしょうか。
賃料を請求する側
修繕費の一部は支出として不適切である旨の主張を見落としてはいけません。
請求している賃料は例えば過去3年分なのに、何百万円もの修繕費についてなにも考慮されないのは不当であるという主張を忘れてはいけません。
賃料を請求される側
修繕があったからこそ、賃貸ができて賃料をえることができたと主張することになります。
修繕の必要性や相当性を主張することになります。
最後に
共有の不動産の修繕は、弁護士も見落としがちなところです。
修繕について、日頃から意識をしておくととても安心です。