建物の立退きがうまくいくための方法

賃貸人が賃借人に対して、立ち退き交渉をする場合に心がけることや対応方法について書きます。

賃貸中から良好な関係を築く

賃貸人は、普段から賃借人と良い関係を築けていると良いです。

賃貸中に、賃借人に話しかけたり、良くしてあげると、賃借人は恩に感じます。
賃借人は、賃貸人に迷惑をかけたくないという気持ちになります。

そのため、いざ立退きとなった場合に、賃借人の理解や協力が得やすくなります。

立退き交渉

賃借人と粘り強く交渉することになります。
不動産会社さんに相談をしながら交渉することもあります。

覚書を交わす

できれば、早い段階で覚書を賃借人との間で交わしておくと良いでしょう。

簡単な内容で良いので、覚書を作成して書面化しておくと良いです。
インターネット上に、雛形の書面が沢山あります。

覚書の内容としては
・いつまでに退去するのか
・立退料をどうするのか、将来の家賃免除で良いのか
・退去の際、室内の物を搬出しなくてはならないのか
・退去の際、所有者不明の物はどうするのか
・敷金をどうするのか
・退去日をすぎたら、1日1万円を支払うなどどする
あたりが重要となります。

交渉について

交渉についてです。

自分で交渉をして、うまく話をまとめられることはもちろんあります。

一方、地力で交渉しても、すんなりとうまくいかない場合があります。
特に貸している建物の条件が良い場合などです。
駅に近かったり、 家賃が相場より近かったり、1階にあったり、建物と駐車場が一体となって便利な場合などです。

この場合、貸主が借主に対して自分で交渉しても、のらりくらりとかわされたりします。
また、賃貸借契約を結んでるから住み続けると主張されることが往々にしてしてあります。

賃貸借契約を結んでいるといっても、契約期間はだいたい2年ぐらいが多いかと思います。
そこで、粘り強く交渉して 契約期間の終了に近くなったら更新しませんよ、と主張することをなさる貸主さんがいらっしゃいます。

意識したいこと

契約期間の満了に際して、貸主の人が更新を拒絶する際に起こりがちことがあります。
それは、口頭で更新を拒否するだけで、書面でも更新の拒絶をしないことです。

せっかく根気よく交渉して契約の満了まで待ってたのに、書面化していないと後で裁判になった時に証拠がないことになります。

証拠といっても、更新の拒絶を単なる手紙で送るだけでは足りません。
なぜなら、賃借人が、手紙を受け取っていないと反論してくる可能性があるからです。

そこで、配達証明のついた内容証明郵便で更新拒絶を伝えるべきです。

弁護士の活用のしどころ

できれば、このような重要な法的な効果が発生するかどうかに関わる書面については、弁護士に相談してみてもらう方が安全です。
間違いがないし、スムーズに進みますし、立退きについても法的助言を受けることができます。

早く立ち退くように、交渉をしていきます。
立退きの際に支払う金銭は、妥当な金額となるように交渉をします。

ある程度交渉をしたところで、状況によっては裁判を行う場合もあります。

私の場合

では、立ち退いてくれということで裁判になった場合にはどうなるでしょうか。
例えば、美容院の立ち退きの裁判があるとします。激しく裁判でやりあって、 最後には立ち退くとしても、いろいろ条件をつめなくてはなりません。立退き後に移転して営業する美容院の物件をいろいろ提案しなくてはならないかもしれません。そして、新しいお店の内装費や広告費などと合わせて何百万円も支払ってやっと立ち退くということになることもあります。

私の場合は、どちらかといえばすぐに裁判せずに事前に話し合いを行います。

相手に弁護士の人がついていない場合には、直接相手に会いに行って話を聞きます。
直接会って話を聞くことで、立ち退きについて相手の考えや気持ちを知ることができます。そして、相手の方の希望も聞いて話し合いがまとまればとは思います。
ただなかなか難しいことが多いです。
そこで、相手の人に、代理人として弁護士さんをたてた方がスムーズに話を進みますということも伝えておきます。

相手に弁護士さんがついた場合には、 例えば弁護士事務所が近い弁護士さんだったり、司法修習の期が同じ弁護士さんだったりすると、交渉がしやすいです。

不動産業者の人が介入してくる場合

賃借人の立場から

賃借人に立退きを求めると、不動産業者の人が登場してくることがあります。

賃借人が、借りたときの不動産業者の人に相談した結果、不動産業者の人が登場してくるのです。

場合によっては、不動産業者の人が賃借人に対して、「私が賃貸人とすべてやりとりします。あとは私に任せて下さい。」と伝えて、全て自分がやろうとする人がおります。

しかし、場合によっては、非弁行為となります。
そこで、非弁行為になるので、本人とでなくては話ができないと伝えましょう。または、弁護士を代理人として下さいと伝えるべきです。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士法第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

e-Gov

(非弁護士との提携等の罪)
弁護士法第77条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
三 第七十二条の規定に違反した者

e-Gov

賃貸人の立場から

賃貸人が、不動産会社に協力を求める場合あります。
例えば、賃借人と過去にいさかいがあり、賃借人と上手く話し合いができない場合等です。

非弁行為にならない程度に、不動産会社の人に協力を求めることは、考えられます。

立退料の決め方

立ち退き料については、色々な事情や要素を考慮して決められます。
はっきりとこれだという金額が導き出せないです。

ものの本を読んでも、具体的な金額が導き出せるわけでありません。

不動産業者さんに聞いても、立ち退き料の金額について見解が分かれることがあります。
ある不動産業者さんは、家賃が月10万円以下なら家賃の6ヶ月分が立退料の相場である、10万円を超えたら6ヶ月以上の金額を支払わなくてはいけない、という人もいます。

住居として使用している場合(金額について)

だいたい、家賃の2~3か月分免除して、敷金は返還する、という条件で良いです。

まいっている年配の相談者
オーナー

インターネットで、弁護士事務所のページで、立退料で何百万円も得られました、という賃借人の話を目にします。
本当に、そんなに払うのでしょうか?

弁護士水谷が考えている状況
弁護士水谷

住居用で、家賃が数万円で、何百万円も立退料を得られるとは思えないですね。
何十万とよほど家賃が高額だったのか、事業用物件なのか、もしくは、法律事務所の宣伝で多少誇張して記載しているかもしれないですね。

事業として使用している場合

事業の場合は、住居として使用している場合よりもより多くの立退料を必要とします。

イメージとしては、家賃の8か月分かそれ以上でしょうか。

賃借人がどのような事業を営んでいるかにもよって、立退料が異なります。

移転先でも、スムーズに営業ができる体制が整っていれば、それほど立退料は必要ないでしょう。
一方、移転先で新たに一から築き上げていかなくてはならないならば、より多くの立退料が必要となります。

また、歯医者さんなどの場合は、医院を開設するのに2000万円、3000万円と高額の費用を支出しております。
そのため、歯医者さんなどの立退きの場合は、移転先でも経営できるよう、高額の立退料が必要となる場合があります。

立退きの交渉で考慮される条件


・立ち退き料としてそれなりの金額を支払う
・何ヶ月か家賃を無料とする
・原状回復を免除する
・残置物はそのままで良い

などの点で、お互いに着地点を見いだすことになります。

弁護士費用について

次のページに、記載しております。

まとめ

自力で交渉をしても、借主が立退きを拒否した場合、そこから前に進まないことが往々にしてあります。
借主の態度をみて、もう絶対立退きは無理だ、どうすることもできないと悲観的になる方がいます。

もっとも、弁護士からしてみると、それほど悩むことではないのではないかと思うことがままあります。

立退きについて悩み苦しんだら、弁護士を思い出して相談に行かれると、悩みが晴れるかと思います。

まこと法律事務所

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士10年目を超えました。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に離婚や男女問題について書きます。
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