弁護士の水谷真実です。
留学生が何か事件を起こすと、未成年者であって少年審判で保護観察となったとしても、在留期間の更新は難しいなと感じた件についてです。
留学生の少年事件
以前、 軽いアルバイト感覚で他人名義のカードで物を買うように頼まれた結果、逮捕されて少年審判になった中国人の少年の事件を担当しました。
その少年はそれまで何も事件を起こしたことがなく、中国からは母親が来日して少年に会いに行ったりと熱心な母親であったし、学校に通っていて先生達などの監督者がいる状況でした。
家庭裁判所の審判では、調査官から もっと日本人と積極的に交流して日本語の習得に努めたり日本人とより仲良くなるようにと諭されました。
そして、裁判官から保護観察の処分を言い渡されました。
学校の方も、保護観察であったし、同情するべき点があるということで、復学が認められました。
在留期間の延長の問題
入国管理局に在留期間延長申請のための書類を提出
在留期間の更新の時期となりましたが、中国に住むお母さんから学校を通して、弁護士さんに在留期間の更新の手続きをやってほしいと頼まれました。
そこで、少年の申請取次者として、活動することになりました。
学校の成績表や身上経歴書などの書類一式を東京入国管理局に提出しました。
追加の書類の提出の要請
その後、入国管理局から連絡が来て、 追加で、事件の経緯をまとめた書面や裁判所の決定の書面などを提出してください、提出したいと考える書面は一切受付ますと連絡がきました。
そこで、東京入国管理局に出向いて、入国管理局の担当者がどのような意図で追加の書面の提出を求めるのかを確認しに行きました。
懸念
担当者が言うには、 今回の少年の場合は本来は在留期間の更新は難しいです、ただ追加の書類の提出をお願いしますとのことでした。
私は、裁判所で保護観察になっているし、同情するべき点もたくさんあるし、学校で勉強しているから、追加の書類をしっかり出せば在留期間の更新ができるものとこの時は思っていました。
ただ、学校に出向いて先生たちから必要な書類を受け取った際に、 昔、成績がすごく優秀で勉強頑張っていたけども夜のお仕事についたために逮捕された少年がいて、その子は在留期間の更新ができなかったので、不安ですねと言われました。
結果
入国管理局に指示された書類を準備して、その他にも中国のお母さんから上申書などを取り寄せるなどして、入国管理局に提出しました。
その後、東京入国管理局から審査結果が出たと思っ連絡を受け、少年と一緒に来てくださいと言われたので、一緒に出向きました。
そして、結果を言い渡されましたが、在留期間の更新は不許可でした。
思ったこと
思ったのが、少年事件における家庭裁判所の裁判官や調査官は少年個人の将来を踏まえて厳しさの中に優しさを交えて対応してくれる一方、入国管理局の場合は日本国民全体の社会のことを考えてどちらかといえば厳しく対応しているのかなと感じました。
外国人の方の場合は、日本に滞在するためにビザの問題があります。
そして、警察に捕まるなどすると、入国管理局の印象が非常に悪くなり、ビザの更新の場合に不利益をうけてしまいます。
もちろん、外国人の場合でも、何回も警察に捕まることを繰り返してる人はいます。もっとも、そのような人は日本人の配偶者がいるなどの場合です。
今回の場合は、入国管理局がどこに着目して不許可としたのかは、はっきりとは定かではありません。
資格外活動の許可をとっていなかったことや、もしかしたら学校の成績が参考にされたのかもしれません。
外国人の留学生などの場合には、特に気をつけて生活するべきだと思いました。