相手の携帯番号は分かっているけど、住所が分からない場合があります。
この場合、携帯電話会社に弁護士会照会を利用して、相手の住所を調べることができます。
以下では、弁護士会照会を行う際の流れなどについて、説明をいたします。
自己紹介しますが、水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
弁護士会照会とは?
弁護士会照会の根拠条文は次の規定です。
(報告の請求)
e-Gov
弁護士法第23条の2 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
弁護士会照会制度については、次の弁護士会のページに説明があります。
相手が利用している携帯電話の会社の調べ方
弁護士会照会は、携帯電話の会社に対して行います。
そして、相手の携帯電話の番号が分かっていても、携帯電話会社まではわかりません。
そこで、どこの携帯電話事業者に割り当てられた番号かを調べる必要があります。
総務省の次のページをみると、携帯電話の番号から携帯電話事業者を調べることができます。
こちらのページに記載があります。
携帯電話の会社への弁護士会照会の流れ
弁護士会照会の書面を作成します。
だいたい、1日か2日で作成できます。
作成した書面を弁護士会に提出します。
弁護士会が書面(照会申出書)の内容を確認します。
申出書の内容に訂正や不備があれば、担当の弁護士の方が電話をかけてきます。
そして、修正点等を指摘してくれます。
審査の時間
おおきな修正がなければ、1日~数日ぐらいです。
時には、再提出を求められることもあります。
NTTドコモやKDDIやソフトバンクなどに対して、弁護士会が照会を行います。
弁護士会照会に対して、相手の会社が無視したりすることはあるんでしょうか?
弁護士会照会に対しては、原則として回答義務があります。
ですので、無視することはほとんどないですよ。
弁護士会のホームページにも、以下のように記載がしてあります。
Q6 照会に答える義務はありますか?
A 弁護士会照会は、法律で規定されている制度ですので、原則として回答・報告する義務があり、例外として、照会の必要性・相当性が欠けている場合には回答・報告しなくてもよいものと考えられています。最高裁も、照会を受けた照会先に報告・回答義務があることを認めています(最高裁第三小法廷平成28年10月18日判決)。
日本弁護士連合会
回答の書面が届きます。
届くまでの時間
照会申出書を弁護士会に提出してから、だいたい1~2週間で届きます。
相手が格安SIMなどを利用している場合
相手がキャリア回線ではなくMVNO回線を利用する格安SIMなどを利用している場合があります。
この場合、回答の書面には相手(契約者)の住所は記載されておりません。
代わりに、契約者名としてNVNO会社の名前が記載されております。
そこで、MVNO会社に改めて弁護士会照会をすることになります。
MVNO会社がさらに別の会社と契約していることもあります。そのため、相手の住所などがわかる確率は半分半分のようです。
取得までにかかる時間
順調にいけば、だいたい1週間~2週間ぐらいでしょうか。
開示するべきか迷うような事案の場合は、社内で検討することになります。そうすると、1か月とかかかったりします。
弁護士会照会は弁護士への事件の依頼が前提
弁護士会照会は、弁護士が事件を受任している場合に、弁護活動の一環として行うことができます。
弁護士が事件の受任を行わず、単に弁護士会照会だけを行うことはできません。
弁護士法には、次のように規定がされています。
【弁護士法第23条の2】
弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があった場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
弁護士法
まとめ
携帯電話の会社に対して、弁護士会照会を行うことができます。
裁判で訴える際には、相手の住所を知る必要があります。
そこで、相手の住所を知るための手段として、弁護士会照会は有効です。
弁護士会照会に関するその他のブログ
弁護士会照会に関するブログをこちらでも記載しております。
・【男女問題】弁護士会照会~住所が開示されない場合とは?~
・ソフトバンクに対する弁護士会照会による住所の開示は難しいわけではない