離婚・男女問題に取り組む弁護士の水谷真実(@41bengo)です。
不倫して、妻と離婚したい人が心がけることについてきます。
「有責配偶者」という概念が問題となる場面ですので、有責配偶者について交えながら書きます。
有責配偶者とは?
有責配偶者とは、聞き慣れない言葉ですね。
「有責配偶者」とは、離婚するときに使われる言葉です。
婚姻関係が破綻したことについて責任がある配偶者に対して使われる言葉です。
有責配偶者が問題となる場面としては、不倫をして不倫相手と一緒に住んだ後に、妻と離婚できるかという場面があげられます。
夫が有責配偶者であっても、妻と話し合いにより離婚することは当然できます(協議離婚というものです)。
一方、離婚の話がお互いの協議でまとまらない場合は、裁判所での調停や裁判になります。
この場合、有責配偶者が離婚したいといっても、相手が同意しない限り裁判では離婚を認めらないのが一般的です。
有責配偶者であるかどうかの証拠の存在が大切
有責配偶者であるかについて相手が自分から認めない場合は、有責配偶者である証拠が必要となります。
妻は意外に夫の行動を把握している場合がある
妻は、意外に夫の日々の行動を把握している場合があります。
なぜか夫のパソコンのIDやパスワードを知っていて、夫の行動を把握されている方がちらほらいらっしゃいます。
夫のメールやLINEの会話をみていたりします。
また、飛行機に女性と2人で乗ってどこかにいくことをはあくしたりする場合もあります。
年配の男性ほど、パソコンなどに疎くて妻がこっそりのぞき見ていることを知らない方がいらっしゃいます。
妻は離婚したくない場合
「夫と離婚をしたくない。夫が有責配偶者ならば、夫からは離婚を切り出せないはず。夫が不倫している証拠はないけど、夫に自分から不倫をしているとみとめさせよう。」
と考える場合があります。
夫が不倫をしていると自分でも認めても、1つの証拠になります。
そこで、妻としては、夫が不倫をしていたと認めさせたいのです。
夫は離婚したい場合
夫としては、安易に不倫をしていたことを認めてしまってはいけませんね。
もし、夫が本当に不倫をしていて不倫相手と新しい生活を営みたい場合には、なおさら不倫を認めるわけにはいきませんね。
そこで、夫としては、不倫の心当たりがあっても、頑として不倫を認めてはいけません。
ただ、夫が妻と別れたくない場合や、子どもがいて離婚をすると子どもが不憫だという場合には、夫側が折れる場合もあります。
不倫をみとめないと本当に家庭が壊れてしまう場合には、不倫を認めた方がよい場合もあります。
ケースバイケースですね。
有責配偶者が離婚をしたい場合
別居をして、不倫相手の女性と同棲をして、もう妻とは別れたい場合、どうしたら良いでしょうか。
夫婦が離婚に納得している場合には、比較的スムーズに離婚の成立が見込まれます。
夫婦間の協議による離婚により、離婚ができます。
一方、妻が離婚に納得していない場合はどうでしょうか。
この場合、夫婦間の協議では離婚ができません。
夫は裁判所に離婚の調停を申し立てて、調停の場で話し合うしかなくなります。
弁護士の活用のしどころ
夫が有責配偶者の場合、妻は夫のいうことに聞く耳を持たないことがあります。
そこで、代理人(弁護士)を通じて、誠実に妻に謝罪をして交渉をすることが大切です。
妻は、強い被害者感情をもち、全く話に応じてくれない可能性があります。 そこで、妻の要求を粘り強くきいて、応じられることは応じるようにすることです。
そして、妻に離婚を納得してもらうために、粘り強く1つ1つ物事を進めていくことが大切です。
そうするうちに、妻も心が落ち着いて、離婚に向けて前向きに対応してくれる可能性があります。
別居をしたら婚姻費用(生活費)の支払義務が生じる
夫婦が別居をすると、基本的に収入が多い方が少ない方へ婚姻費用(生活費)を支払う義務が生じます。
不倫をして家を出て行った夫が婚姻費用を支払わなくてはならない場合、支払った方がよいです。
何故なら、婚姻費用を支払っていないと、将来、離婚の裁判をするときに不利に働きます。
ただでさえ有責配偶者なのに、婚姻費用も支払わないと、将来離婚ができなくなってしまいます。
ただ、毎月支払う婚姻費用の額で、夫婦間で争いになることがあります。
この場合は、婚姻費用の調停で、支払う金額や方法について話し合いをするべきです。
※裁判所のサイトに婚姻費用算定表があります
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/
最後に
有責配偶者が離婚をしたい場合は、誠意をもって対応をすることが大事です。
そして、そのための大きな金銭負担も覚悟の上でということになります。
すぐには離婚に納得してくれないでしょうが、粘り強く話し合いをしていくことが大切です。