外国人が多く訪れる新宿区新大久保に事務所がある弁護士の水谷真実(@41bengo)です。
外国人同士が偽装結婚の容疑で、逮捕される場合があります。
たとえば、ある外国人が永住者のビザを持っている場合に、他の外国人が結婚をもちかけることがあります。結婚をして、配偶者ビザをえて日本での生活を続けるためです。
ただ、婚姻の実体がない場合には、偽装結婚の容疑で、おたがいが逮捕されてしまいます。
身内の方の強い思い
逮捕された外国人には、内縁の夫(妻)の方がいることがあります。
その内縁の夫(妻)の心情は、すごく辛い気持ちでいっぱいです。
日本人なら、また、社会に戻ることができます。
しかし、外国人の場合は、将来的に入国管理局に身柄を拘束されるのではないか、強制送還されてもう2度と会えないのではないか、という不安な気持ちでいっぱいです。
なんとかまた一緒に暮らしたい!という気持ちが強く伝わってきます。
基本的には、外国人同士の偽装結婚の場合は、弁護活動がけっこう難しいです。
起訴される可能性が高いです。
示談ができるわけでもないですし、外国人に対してまだ十分な保護がなされているわけではないからです。
そこで、このことを内縁の夫(妻)に伝えても、それでもなんとかしたい、なにかしてあげたいと訴えてきます。
このような真摯な思いにふれると、私も、なんとかしなくてはならない、できるかぎりのことをしなくてはならないと心を打たれてしまいます。
逮捕された後(被疑者段階)の弁護活動
弁護活動としては、基本的には、以前、私が以下のブログで書いたとおりです。
起訴された後の保釈について
早く外にでれるように、保釈の申請を裁判所に対してすることになります。
初犯で身元引受人がしっかりいる場合には、保釈の申請を行えば、通常は裁判所は保釈の許可を下すはずです。
なお、保釈が認められた場合にそなえて、保釈金の準備をしなくてはなりません。
そして、この種の外国人の事案の場合は、だいたい保釈金として200万円は必要になります。
保釈金は、手数料を支払って立て替えてもらうことができます。
日本保釈支援協会や弁護士会の協同組合に申し込むことになります。
ただ、日本保釈支援協会の場合は、外国人であることを理由に保釈金の立て替えを断ることがあります。
これに対して、弁護士会の協同組合は、外国人であるからといって保釈金の立て替えを断ることはありません。保証人(今回の場合は内縁の夫)の資力やきちんと働いているかの方が重要となってきます。
偽装結婚の解消の手続~役所に離婚届などを提出~
偽装結婚の解消の手続です。
警察に逮捕されたからといって、偽装結婚の状況が解消されるわけではありません。
お互い離婚の意思を有しているのならば、離婚届を役所に提出する必要があります。
準備するもの
役所に離婚届を提出するに際して、準備するものです。
- 離婚届
- お互いのパスポート
- お互いの在留カード
を準備して、役所に離婚届を提出する必要があります。
なお、離婚届は、インターネットからダウンロードできます。
弁護士の活用のしどころ
お互いが保釈などにより外にでていれば、比較的楽に進むでしょう。
ただ、警察などから、もうお互いに会わないようにと指示されていることもあろうかと思います。
この場合、弁護士に間にはいってもらって、お互いにやりとりをしましょう。
一方、どちらかが身柄を拘束されている場合は、少々やっかいです。
弁護士を通じて身柄を拘束されている被告人と会い、離婚届へのサイン、パスポートや在留カードの受取りをしてもらうことになります。
離婚届の書き方および提出先
【書き方】
離婚届は、代筆が出来ます。
そこで、他の人に書いてもらって作成ができます。
ただ、署名は、本人が自分でしなくてはなりません。
なお、サインではなく判子を用いた方が安全でしょう。
【提出先】
今居住しているところの役所に提出しても良いです。
ただ、婚姻届をだした役所に提出すると、スムーズに進むでしょう。
最後に
偽装結婚で逮捕されても、また、社会に戻って生活することはできます。
いったん逮捕されて起訴されたので、いつ、入管からお呼び出しがあるかなどの不安はあるでしょう。
ただ、愛する人、支えてくれる人がいるのならば、きっと乗り越えて幸せな生活を営むことができるんだろうと思います。