離婚調停について、説明をいたします。
離婚をしたい場合、まず、お互いが話し合いをします。
しかし、話がまとまらない場合や、そもそも話し合いができない場合があります。
この場合、まず、裁判所に調停を申し立てる必要があります。
いきなり裁判をすることはできません。
かならず、調停の申し立てをする必要があります(調停前置主義といいます)。
(調停前置主義)
e-Gov
家事事件手続法257条
1 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。
裁判所の次のページに、離婚調停について記載があります。
調停とは?
基本的な考え
調停ですが、裁判とは異なります。
調停ですが、どちらが良い悪いというわけではなく、二人の問題を話し合いで解決していきましょう、というものです。
そして、調停委員と裁判官が調停員会を構成して、公平中立な立場で、二人の問題を解決していきましょう、というものです。
また、調停ですが、非公開で行われます。
そして、調停委員は守秘義務があります。
ですので、調停の場で話したことが、外部にもれることはありません。
調停の場の雰囲気等
申立人と相手方は、交互に調停室に入って行きます。一緒に同席して話すわけではありません。 交互に入って、調停委員と話をします。
話す内容ですが。 調停で論点となっている内容について話をすることになります。
すでに裁判所に提出している書面について、改めて説明することできます。
例えば。 裁判所に事前に陳述書をだしていたとします。陳述書では、同居期間中、自分が受けた苦しみや悩みなどを書いていました。 調停の場で改めて自分の口で直接調停に伝えることもできます。直接話した方が調停も分かってくれるでしょう。
なお、相手に伝えたくないことは、調停委員に対して、「相手に伝えないでください、調停の場限りで話します」と伝えて話すこともできます。
だいたい。 30分位はなします。
その後交代して、今度は相手が調停室に入って話をします。
離婚調停の進行
調停のスピードや時間帯
だいたい、1か月に1回、家庭裁判所の調停室で行われます。
午前と午後のそれぞれで行われます。
午前ですと、だいたい午前10時~午前12時の間に行われます。
午後ですと、だいたい午後1時15分~午後3時30分の間に行われます。
東京家庭裁判所では、新型コロナウィルスをうけて、午後3時30分~午後5時30分の時間帯も設けました。
東京家庭裁判所立川支部は、おおよそ、午後3時10分~午後5時の時間帯で行われます。
婚姻費用の調停も一緒に申し立てられている場合
婚姻費用の調停と離婚の調停が、同時に申し立てられてことがままあります。
この場合は、婚姻費用について先に調停で話し合われることが多いです。
婚姻費用の申立てをした側にとっては、早く婚姻費用を決めて支払ってほしいという場合が多いです。
そこで、まず、婚姻費用について話し合われることが多いです。
離婚調停での検討していく流れ
離婚調停の申立てを家庭裁判所にします。
調停の申立書が相手に届きます。
申立書以外の書類について
申立ての際に、事情説明書などが裁判所に提出されます。
事情説明書ですが、申立書と一緒に相手方には渡されません。中身を確認したい場合は、裁判所で、閲覧謄写申請をすることになります。東京家庭裁判所ですと、紛争激化の防止のために、第1回の期日以降に、閲覧謄写をして下さい、と書記官の方より要請があったりします。
離婚について、お互いに同意しているかどうかを確認します。
親権
未成年の子がいる場合は、親権者をどうするかが問題となります。
子どもが2人以上いる場合、子どもの親権者をどうするかよく考えるべきです。
子どもの親権者を別々の親にすると、離婚後、子どもは離れて住むことになるからです。
面会交流
未成年者の子について、離婚後の面会交流する時期や方法などを定めます。
調停中の面会交流についても、話し合うことができます。
養育費
子ども1人当たり毎月いくら支払うかを決めます。
財産分与
財産分与の額や内容を定めます。
調停では、婚姻関係財産一覧表を作成して財産分与を考えます。
詳しくは、次のブログに記載をしております。
慰謝料
慰謝料を請求することができます。
財産分与と一緒に考え、解決金という形で1つにまとめて考えることもあります。
年金分割
通常は、0.5となります。
年金事務所から、情報通知書を取得して、裁判所に提出します。
調停が進んでいく過程で、自分の体験したことなどを記載した陳述書を提出することがあります。
陳述書については、こちらに詳しく記載しているので、ご参照ください。
調停が成立すると、調停の内容を書面に残します。
調停調書という書面に、調停条項をまとめた内容を記載します。
調停条項ですが、だいたい定型文です。
調停成立の流れや、調停調書については、裁判所のページの調停制度90周年記念特別企画【模擬家事調停】や調停調書に記載あります。
離婚届について
離婚の調停が成立しても、離婚届は役所に提出することになります。
離婚後の戸籍をどうするかなどの判断が必要なので、妻の方が離婚届を提出することが多いでしょう。
この場合、夫はなにもしなくても大丈夫です。離婚届に署名も必要はないです。
なお、夫が妻の家に養子縁組で入っている場合は、離婚の際には夫が離婚届を提出することになるでしょう。
詳しくは、次のページに分かりやすく記載されております。
調停離婚後の手続1 調停離婚成立後の離婚届について
離婚の調停不成立の場合、離婚は成立しません。
別途、離婚の裁判を行う必要があります。
婚姻費用の場合と異なり、自動的に離婚の裁判とはなりません。
調停に提出した書面などの記録は、離婚の裁判に引き継がれません。
別途、新たに離婚の裁判で提出する必要があります。
調停成立後に損害賠償請求をしてくるのか
妻との離婚調停の後、私に対して損害賠償請求するのはやめて欲しいです。
妻は、意表をつく行動をとる人です。妻が、後先考えずに、離婚後に私に対して損害賠償請求する可能性があります。嫌がらせをしてくる可能性があります。
妻との間で、離婚後は損害賠償しないという覚書のような書面を作成できるでしょうか。
離婚の調停の成立に際して、調停条項をまとめた書面を作成します。
調停条項に、「当事者双方は、本件離婚に関し、本調停条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。」 という条項を通常定めます。
離婚の調停成立後に、奥さんが損害賠償することは、この条項に反しますね。
調停の最後の段階で、調停委員を通じて、奥さんに確認してみるのもよいですね。
そうなんですね。
条項とは、定型文なのでしょうか?
書面に残るんでしょうか?
調停調書を作成します。 書面に残ります。 おおよそ、定型文になります。
調停成立の流れや、調停調書については、裁判所のページの調停制度90周年記念特別企画【模擬家事調停】や調停調書に記載あります。
参考になりますね。
分かりました。
ありがとうございます。
調停を欠席する場合
調停の日に出頭することなく、欠席することもできます。
この場合は、出席している側の話のみを調停委員はきくことになります。
欠席すると、調停はあまり進みません。
そこで、やむを得ず欠席する場合は、自分の主張などをまとめた書面等を裁判所に提出しておくと良いでしょう。
電話会議で参加もできる
調停ですが、電話で参加もできます。
調停委員は、裁判所に備え付けてある電話で電話をします。
申立人(または相手方は)は、自分の携帯電話で調停委員と話します。この場合ですが、事前に、裁判所に対して、携帯電話の番号を伝えることになります。
調停は本来は非公開
電話会議で参加できますが、だれもいない部屋で、自分だけが参加することになります。
もし、部屋にだれか入ってきたら、そこで話は中断になります。
調停は、非公開で行われるものだからです。
しかし、場合によっては、外から出席される方もいるようです。
例えば、大工さんが仕事中なので、現場をちょっと離れて、隅の方で短時間話したりすることもあるようです。
このように、調停での電話会議は、柔軟に運用されている裁判所もあるようです。
調停が行われる部屋での注意事項
携帯電話は利用できない
調停室の部屋の中では、基本的には電話を利用できません。
弁護士に依頼をしている場合、弁護士だけ出席して、調停室で弁護士の携帯電話をスピーカーモードにして調停委員と話すことはできません。
調停委員としては、電話口の向こうに誰がいるかわからないので、話したくないのです。
飲み物を飲むことは控えた方が良い
調停委員の前で飲み物を飲むのは、控えた方が良いです。
解決金について
離婚する場合、財産分与や慰謝料を含めた形で、「解決金」を支払うことが多いです。
解決金の金額ですが、子どもがおらず、結婚期間が数年ほどであれば、100万円ぐらいでしょう。
一方、不貞行為があったり、子どもがいたり、多額の資産がある場合は、より高額になる場合があります。
200万円や300万円となったり、場合によってはもっと多額の解決金を支払うこともあります。
病気の場合
例えば、夫がうつ病などで働けず、妻に対して、解決金を払いたくても払えない場合があります。
この場合は、分割払いが考えられます。
分割払いを担保するものがあれば良いですが、ない場合もあります。
ない場合にどうするかは、状況によるでしょう。
夫としては、離婚をして治療に専念した方が、病気が治りやすくなるかもしれません。
そこで、分割払いになったとしても、必ず支払っていくことを妻に納得してもらう必要があります。
しっかりと、支払いについて説明する必要があります。
解決にかかる時間
若い夫婦の場合(子供がいない場合)
婚姻期間が短い、子どものいない若いご夫婦の場合は、それほど時間はかからないかと思います。
親権の争いをすることはありません。
また、夫婦の共有財産がそれほどないため、財産の争いが激しくならないからです。
離婚の調停が裁判所でなされてから、だいたい3〜6か月くらいで調停で離婚が成立します。
若い夫婦の場合(子供がいる場合)
子供がいる場合は、子供について次の論点の問題が生じます。
- 子どもの親権を父と母のどちらが有するか
- 養育費の金額
- 子どもの面会交流の方法
です。
全て争うとなると、調停が1年以上かかることもあります。
実際は、1.子どもの親権、2.養育費、3.子どもの面会交流それほど争いがないことがままあります。
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離婚調停についてのブログを書いております。
有益な情報や役立つ情報を意識して書いております。
お読みいただければと思います。