誤認逮捕された女子大学生の手記を読んで~原因と対策について考察しました~

刑事弁護にも力を入れる、弁護士の水谷真実(@41bengo)です。

愛媛県で、女子大学生がタクシー内の現金を盗んだという間違われて、誤認逮捕されるという大変憤りを感じる事件がありました。

なぜ、誤認逮捕されてしまったのか、女子大学生はどう対応すれば良かったのか、書きます。

事件の経緯

2019年1月9日 事件発生

松山市内で、タクシーから現金約5万4000円が入った運転手のセカンドバッグなどが盗まれる。

警察は捜査開始

タクシー運転手さんが被害届をだして、警察は捜査を開始。
タクシーの車内にあったドライブレコーダーの映像などを元に捜査を開始。

2019年5月 警察が女子大学生を取り調べる

女子大学生が警察の取調べに応じる(任意の取調べ)

2019年6月 警察が女子大学生を取り調べる

女子大学生が警察の取調べに応じる(2度目)(任意の取調べ)

2019年7月8日 女子大学生が逮捕される

捜査機関が裁判所に逮捕状を請求。
裁判所は、逮捕の理由と逮捕の必要性を審査して、逮捕状を発付。
女子大学生は逮捕される。

2019年7月10日 女子大学生は釈放される

検察官が裁判所に勾留請求するが、裁判所が勾留をしないという決定。

2019年7月 女子大学生は事件とは無関係と判明

警察が改めて捜査をすると、女子大学生と同じ建物に住む別の女性が捜査線上に浮上

2019年7月22日 警察が女子大学生に謝罪

誤認逮捕の原因

誤認逮捕に至った原因を推測してみます。

警察はドライブレコーダーや防犯カメラに頼りすぎた?

 今年1月、同市内でタクシーから現金約5万4000円が入った運転手のセカンドバッグなどが盗まれた。同署は車内のドライブレコーダーの映像を基に捜査した。

毎日新聞

タクシー内のドライブレコーダーの映像等を元に捜査をしています。
しかし、タクシー内の映像は必ずしも鮮明ではないです。

犯人を捜す手がかりにはなっても、絶対ではありません。

松山東警察署は、タクシーのドライブレコーダーや現場近くの防犯カメラの映像をもとに捜査を進めました。

NHK 女子大学生の手記

犯人がタクシーから降車した場所の防犯カメラを元に捜査しているのですね。
しかし、防犯カメラの映像も必ずしも鮮明ではないです。

警察の思い込みと捜査の不十分

現行犯逮捕などの犯人が明らかな状況ではない

事件は2019年1月9日に発生しています。
女子大生が逮捕されたのが7月ですから、半年もたって逮捕されていますね。

警察官が現場で犯人だとして現行犯逮捕をしたら、一般的には犯人だと明らかです。
しかし、今回は犯人がだれかはっきりしないです。
そこで、警察は慎重に捜査するべきでした。

警察は女子大学生の自白に頼ろうとした

女子大学生の手記には、次の様に書かれています。

私は一番初めの取り調べから一貫して容疑を否認し、その女と私が別人であることを何度も訴えてきました。にもかかわらず、捜査に関わった刑事全員が私の話に耳を傾けることはありませんでした。

時事通信 女性の手記

女子大学生は、別の女性が犯人と当初から主張しています。
そこで、警察は女子大学生の話に基づき、慎重に捜査するべきでした。
ドライブレコーダーや防犯カメラを見直す、女子大学生のアリバイを検討する、女子大学生が住むアパートや近隣に住む人もしっかりと捜査する等です。

警察の捜査が不十分だった

報道によると、次の様に報じられています。

その後の再捜査で、(女子大学生が釈放されて数日ほどした2019年7月中旬頃に)別の若い女性が容疑者として浮上し、誤認逮捕が判明した (( )は加筆しました)

時事通信社

警察の再捜査の結果、別の女性が容疑者であることが判明します。
女子大学生が釈放されてわずか数日間ほどで、もう別の人物を容疑者としているのです。

警察が手を抜いて捜査をしていた証左ですね。

女子大学生が成人したばかりの真面目な学生さんだった

女子大学生さんは、20歳になったばかりで大学に通っているので、真面目な方なんだと思います。
そして、20歳になったばかりの大学生なので、まだ世間のことがよくは分からないことだと思います。

そのため、警察官は正義の人で、警察官だったら自分がやっていないことを分かってくれるのではないか、と思ったのかもしれません。

女子大学生の手記には次のように書いています。

全ての任意捜査に素直に応じてきました。朝の10時ごろから夕方17時ごろまでかかることもあり、体力的にも精神的にも辛かったですが、素直に応じました。そうすることで身の潔白を証明できると信じていたからです。

時事通信 女性の手記

女子大学生はどう対応するのが良かったのか?

女子大学生の方が実際にどのように対応したかはわかりませんが、考えてみます。

親など信頼できる人に相談する

警察から事情をきかれた段階で、軽く考えずに、親など信頼できる人に相談することです。
いろいろとアドバイスをくれるはずです。

親などに相談することは、恥ずかしいかもしれません。
大学生ですから、大学の相談室で相談ができるのなら、相談をしてみるのも良いかもしれません。

早い段階で弁護士に相談してみる

女子大学生は、自分が無実なので、警察は分かってくれると思っていたのかもしれません。
無実だから捕まることはない、正義の味方である警察は分かってくるに違いない、と思っていたのかもしれません。


そこで、もしかしたら、弁護士に相談することが遅れたのかもしれません。

弁護士に早い段階で相談する人はどんな人?

弁護士に早い段階で相談する人は、実際に犯人だったり、心当たりがある人が多いかと思います。

もし、自分が犯人だったり、犯人かもしれないと心当たりがある人だったら、どうするでしょう?

【具体例】
夜に車を運転していたら、道を飛び出してきた狸をひいてしまいました。
次の日、警察がきて、「狸と人がひかれて亡くなっている。人はあなたがひいたのではないか?」と言ってきたとします。
狸しかひいていないはずなのに、人もひいていると言われたら、びっくりしますよね。

心当たりはあるので、急いで弁護士等に相談をしますよね。

一方、女子大学生の方は、自分は絶対やっていないのだから、警察に話せばわかるはず、と思われたのかもしれません。

早い段階で弁護士に相談する

弁護士が早い段階で代理人となっていれば、捜査機関も今回のような杜撰な捜査をしなかったかもしれません。
慎重に対応したでしょう。

なお、警察は、女子大学生に対して、次のように言っています。

「やってないことを証明できないよね?」「タクシーに乗った記憶ないの?二重人格?」

時事通信 女性の手記

この場合、弁護士としては、女子大学生のアリバイを主張立証していくことになります。
女子大学生から事件当日の話をきいて、書面にまとめた上でアリバイを主張立証します。

その他、親族や友人知人からも話を聞きます。そして、女子大学生が窃盗をやるような人ではないことを書面(上申書)にまとめて主張していくことになるでしょう。

また、別の人が犯人である、同じアパートに住む人などをしっかりと捜査するべきと要請していくことになるでしょう。

最後に

今回の事件は、警察のずさんな捜査や対応で女子大学生の方は大変な目にあいました。

ただ、いつ自分が同じ目にあうか分かりません。
万一、警察などから事件について事情を聞かれたりするようなことがあれば、急いで周りの信頼できる人に相談しましょう。
1人で抱え込まないで相談すれば、助けてくれたり良いアドバイスがもらえるはずです。

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士6年目の若手。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に仕事、その他気の向くままに。
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