高齢者が不動産の売買契約書にサインした後の対処方法

高齢者を詐欺被害から守る、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。

認知機能に問題をかかえる80歳90歳の高齢者が、悪徳な不動産業者にだまされてしまうことがあります。
そして、二束三文の値段で、不動産を売却させられるという悲劇がおきます。

では、だまされて不動産の売買契約書にサインした後、どうすればよいでしょうか。
以下、具体的に述べます。

よろしければ最後までお付き合いください。

家族・親族がすぐに気づくことが大切

家族や親族がすぐに被害に気づくことが大切です。

認知機能に問題をかかえる80歳90歳の高齢者の家に、アポ電のあとに突然不動産業者がやってくることがあります。

高齢者を詐欺の被害から守りましょう

そして、不動産業者の担当者は、優しく笑顔で高齢者に対して接してくるのです。
認知機能に問題をかかえる高齢者は、相手に任せきりになってしまいます。
不動産業者の担当者のいいなりのまま、さしだされた不動産売買契約書にサインすることがあります。

悪徳な不動産業者だと、本来の価値が約5000万円の不動産を1割ほどの500万円で売却させる売買契約書にサインさせることもあります。

普通だったら、1割で売る売買契約書にサインしないですよね。
しかし、認知機能に問題をかかえる高齢者だと、相手に任せきりになってしまいます。
そして、悪徳な不動産業者に言われるままに、さしだされた売買契約書にサインをしてしまうのです。

家族や親族がすぐに被害に気づかないと、悪徳な不動産業者のペースで進んでいってしまいます。

責めてはいけない

騙されたと責めてはいけません。
悪いのは、騙した方なのです。

驚かせて、狼狽させた心のすきなどをついて、騙してきます。

大事なことは、被害を防ぐこと、そして、今後騙されないようにしっかりと対策をたてることです。

不動産業者・不動産仲介業者に解除を伝える

家族が被害に気づいたら、すぐに不動産業者・不動産仲介業者に連絡をしましょう。

そして、買主や不動産仲介業者に契約の解除を伝えましょう。
内容証明郵便」という形で、売買契約や仲介契約の解除を伝えるのが良いでしょう。

手付金を受け取っていた場合について

不動産業者によっては、手付金をとして、100万円や200万円を手渡してくる場合もあります。

そして、不動産売買契約の解除をする場合や、不動産売買契約書の条項を示してきて、手付倍返し(手付金の倍の金額を支払わないと解除できない)などと主張してくる場合があります。

しかし、あくまでその不動産業者が主張しているだけの話です。
鵜呑みにしないようにしましょう。

警察官
警察官

直接、不動産業者と話をするのは、さらなるトラブルになる可能性があります。
そこで、できれば弁護士に相談した方が良いでしょう。

「顧問弁護士の事務所で話をしましょう」と伝えてくる場合

不動産業者によっては、顧問弁護士の事務所で話をしましょう、と伝えてくる業者もいます。

ただ、本当に弁護士と顧問契約を結んでいるのか不明です。
相談ベースの関係かもしれません。

弁護士の活用のしどころ

相手が弁護士の名前を出してくるのならば、こちらも弁護士に相談や依頼を考えるべきです。

大事な書類の返却を不動産業者に要求する

詐欺まがいのことをする悪徳な不動産業者の場合、証拠となるものを残そうとしません。

そのため、本来は売買契約書や不動産の媒介契約書や重要事項説明書などを渡さなくてはならないのに、すべて持っていってしまうことがあります。

宅建業法違反だと伝える

重要書類の不交付は宅建業法違反(業務停止など)となります。
渡さないと、宅建業法違反であり、宅建協会や監督官庁である各都道府県の役所や警察に通報すると伝えましょう。

悪徳不動産業者も監督官庁や宅建協会ににらまれたくはない

すると、慌てて、売買契約書や媒介契約書を渡してくるはずです。

弁護士の活用のしどころ

弁護士に相談すれば、どういう点が宅建業法などの法律に違反しているかを指摘してくれるはずです。
また、業者にどのように違反を伝えると効果的かなどをアドバイスをしてくれるはずです。

警察に相談に行く

警察にすぐに連絡をしましょう。
交番ではなく、近くの大きな警察署に電話をした方が良いです。
電話をすれば、詐欺対策の専門の刑事さんが対応してくれるはずです。

そして、電話だけではなく、できれば直接警察に赴いて相談しましょう。
直接会って話す方が、いろいろなアドバイスをくれるはずです。
直接相談にいく際には、事件に関する資料を持参しましょう。

弁護士の活用のしどころ

この段階で、弁護士に依頼をして、一緒に同行してもらうのも1つの手です。
警察に相談にいく際の資料の作成について指示してくれます。

また、警察署において、刑事さんが悪徳不動産業者に電話をかけて警告のようなものをしてくれる場合があります。
そして、刑事さんが弁護士に電話を渡して、弁護士を通じて悪徳不動産業者に宅建業法違反等を伝えることもできます。

法務局で不正登記防止申出をおこなう

不動産の所有権の移転の登記には、法務局に不動産の権利証や印鑑証明書などを提出する必要があります。

そこで、不動産の権利証や印鑑証明書を悪徳不動産業者に渡してしまった場合、不正登記防止申出をすぐに行いましょう。

権利証や印鑑証明書を渡していなくても、万一を考えて、不正登記防止申出をすることを検討しましょう。

不正登記防止申出とは?

不正登記防止申出とは、不正な登記がされる危険が差し迫っているときに利用するものです。
不正登記防止の申出を法務局で行うと、申出の日から3か月間、不正の登記申請がなされるかチェックできます。もし、他の誰かが登記の申請をすると、法務局が知らせてくれるのです。
知らせを受けることにより、その不正な登記の申請をストップする手続(処分禁止の仮処分など)を迅速にとれるのです。

準備

事前に警察へ被害の相談に行っておくこと

まず、事前に警察などで被害の相談をしている必要があります。
警察が被害届を受理することまでは必要ありません。
警察に相談をしておくことが大切となります。

必要なもの(法務局)

権利証が手元にあれば、権利証を持っていきましょう。
印鑑証明書や実印も一緒に持っていきましょう。
親族や弁護士が代わりに赴く場合は、委任状も必要ですね。

弁護士の活用のしどころ

法務局に弁護士を一緒に同行させるとスムーズに進みます。
弁護士が事情の説明書面などを作成して、法務局の職員さんに提出します。
また、弁護士が同行していると分かれば、法務局の人も緊急の状況にあることをすぐに理解してくれるでしょう。

そして、不正登記防止申出について、弁護士を代理人とする委任状を作成しておくと良いでしょう。
以後は、弁護士が法務局とやりとりをして、不正な登記申請があったら迅速に行動をおこすことができます。

合意解除の書面の作成

いくら悪徳な不動産仲介業者といえど、宅建協会や監督官庁である都道府県の役所などににらまれたくはありません。

そこで、円満解決として、合意解除の書面を作成することになるでしょう。

弁護士の活用のしどころ

弁護士を同席させると、心強いですね。

不動産の仮差押えをされたら?

不動産業者によっては、不動産を仮差押えをしてくる場合があります。
そして、売買契約書のとおりに不動産を売却しなければ、裁判をすると伝えてくることがあります。

ただ、慌てないで行動するべきです。

不動産業者が売買契約を有効だとする根拠をききましょう。証拠も示すよう要求しましょう。
きちんと話して、売買契約が解除するように要求しましょう。また、手付金などをもらっている場合は、返却を打診しましょう。

弁護士の活用のしどころ

弁護士を通じて、不動産業者と交渉をするとスムーズです。

最後に

認知機能に問題をかかえる高齢者には、全く非はありません。
周りの家族や親族がしっかりサポートすることが大切です。

被害にあったら、迅速に動くことが大事です。

最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。

高齢者が詐欺により不動産をだましとられることがないように、事前の対応策などを書きました。

身近に詐欺は潜んでおります。詐欺の手口(契約のまき直し)と対応方法などについて書いております。

まこと法律事務所

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士10年目の若手。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に仕事、その他気の向くままに。
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