弁護士の水谷真実です。
万引きを繰り返していて、執行猶予中に再犯をした場合、なかなか弁護は難しいです。
ただ、そのような中でも、被疑者(被告人)の心がけ、家族のサポート、サポートしてくれる医療機関の存在により、再度の執行猶予は可能です。
以下、具体的に述べます。
基本的な弁護
被害者と示談交渉し、本人の反省文や身元引受人となる人の誓約書や上申書を提出します。
被害者の方が示談交渉してくれたらいいいですが、万引きを繰り返している人の場合には、被害者によってはまったく許してくれないこともあります。
執行猶予中の再犯で起訴された場合
示談してもしていなくても、起訴されることはあります。
起訴されると、執行猶予中ゆえ、保釈が認められにくいかもしれません。
でも、貯金を全額保釈金にあてるとかすれば、裁判官は保釈を認めてくれることもあるかと思います。
クレプトマニア(窃盗症)の治療をうける必要性
もし、起訴された場合、保釈申請して、保釈が認められたとします。
保釈後は、クレプトマニアを治療する専門の病院に通院して、治療をうけることが大事かと思います。
治療は、将来をみすえると、再犯防止の観点から本人のためになります。
クレプトマニアは、梅干しをみると唾液が条件反射的にでるのと似ているようです。万引きを繰り返す人は、自分の物的な欲求をみたすために盗ったのではなく、とりたいというスイッチが入って条件反射的にとってしまうようです。
そこで、本人のために、治療をうけることが大事になります。
また、1か月くらい継続して治療をすると、医師が診断書を書いてくれたり、、精神保健福祉士・社会福祉士の先生が意見書を書いてくださり、裁判所で証拠として提出することもできます。
さらに、意見書や診断書を元に被害者に事情を説明すれば、当初は一切示談交渉に応じてくれなかった場合でも、示談交渉に応じてくれる道がひらけます。
裁判での弁護
裁判では、示談ができていれば示談書、治療をうけていれば医師の診断書・精神保健福祉士・社会福祉士の意見書を証拠として提出できます。
また、精神保健福祉士・社会福祉士の先生が法廷で証言をしてくれる場合もあります。
都内だと、榎本クリニックの斉藤章佳先生などが証言をしてくれます。
検察官は、精神保健福祉士・社会福祉士の意見書や発言に信用性はない、医師の診断書は症状と行為との間の因果関係がないなどとして、この点について主張して争ってくるかと思います。
裁判官も関心をもっている
裁判官も関心をもっているようです。
法廷では、研さん裁判官の席が設けられ、他の裁判官が同席し、精神保健福祉士・社会福祉士の先生の尋問に、熱心に耳を傾けて聞いております。
そのため、裁判官が、医師の診断書・精神保健福祉士・社会福祉士の意見書に信用性があると考えれば、被告人の量刑に有利に働くことになります。
最後に
単に、示談などをするだけではなく、治療などを交えるのは、長い目で見て本人が再犯をしないためにとても大事だと思います。
できるだけ、心がけて弁護をしていこうと思います。