新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
依頼している、自己破産の申し立ての件についてです。
税務署の担当者の方から、滞納している税金があるので、私が所有している不動産を差し押さえる予定です、自己破産の申し立てがまだなされていません、と連絡ありました。
不動産ですが、総負債を少なくするために、売却活動中ですよね。
どうしたらよいでしょうか。
税金を滞納している場合、税務署としては、本来は破産の情報がはいったら、すぐに差し押さえることになりますね。
そこで、税務署の人に、状況を説明して理解してもらう必要がありますね。
不動産を自己破産の申し立て前に売却しなくてはならない状況にあること、売却活動が債権者の意向を踏まえていること、売却しても負債が残る事などを説明する必要がありますね。
そして、無益な差押えになるので、差押えしないように理解していただく必要がありますね。
法律の規定~無益な差押の禁止~
国税庁法や地方税法では、国による無益な差押えを禁止しております。
次の様に規定されています。
(超過差押及び無益な差押の禁止)
e-Gov法令検索国税庁法
国税徴収法第四十八条 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
この国税徴収法第四十八条については、通達により、より詳しく説明がなされています。
第48条関係 超過差押え及び無益な差押えの禁止
次に、地方税法では、次の様に規定されております。
(市町村民税に係る滞納処分)
e-Gov法令検索地方税法
地方税法 第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
6 前各項に定めるものその他市町村民税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。
税務署に理解してもらう内容
税務署の担当者の人には、場合によっては、不動産の市場価格や融資残高などの資料を示して、不動産を売却しても利益が残らないことを説明することになります。
また、不動産のローンを含めて、負債が5000万円以上ある場合、このままだと通常管財事件となることが見込まれます。
通常管財事件の場合、少額管財の事件より、申し立ての際に予め納める金銭が高くなります。
そのため、予め納める金銭を準備するためには、不動産を売却して負債を減らす必要があります。負債を減らして、少額管財の事件とするのです。
このあたりを丁寧に説明すれば、税務署の人も分かってくれるはずです。
そして、担当者の方は、上司と相談して、対応を再考するはずです。
最後に
税務署から不動産の差押えの連絡がきても、あわてないで、状況を整理することです。
そして、税務署の担当者の人に、丁寧に説明して、理解をえることが必要です。