新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
不動産を市場価格より安く売却させられ、不動産会社より所有権移転登記請求などの裁判になっている場合についてです。
証拠の1つとして、弁護士会照会で国民生活センターから苦情相談内容の書面を用いることができます。
弁護士会照会で申立てできること
国民生活センターから苦情相談内容を取得することで、次の事実などを立証します。
すなわち、同種の事案や他にも発生していること、同様の手口が他の事案でも用いられていること等を立証します。
その上で、契約に至る経緯や契約内容が客観的にみて不合理であるという事実などを立証するのです。
弁護士会照会には、照会事項として、
1 件数
2 受付年月日
3 相談者と契約書の年齢・性別・住所(差し支えない範囲で)
4 相談内容(契約購入金額と実際の支払額、取引期間又は契約購入年・・商品の種類・相談者の主張等)
5 処理結果
などを記載します。
弁護士会照会申立て後
弁護士会照会を弁護士会に提出すると、国民生活センターの担当者の人から電話がくる場合があります。
どのような範囲の情報を求めているかなどを聞かれるので、答えることになります。
より細かい情報を得たいならば、担当者の人とよくやりとりをする必要があります。
回答の書面
その後、しばらくして、弁護士会照会の回答の書面が届きます。
回答内容ですが、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)情報に寄せられた情報を国民生活センターがコンピュータで収集・集計したものです。
集計結果として
1.受付年月
2.相談者の属性(年代、性別、地域ブロック)
3.契約当事者の属性(年代、性別等、地域ブロック)
4.金額(契約購入金額、既支払額)
5.契約購入年
6.処理結果(他機紹介や助言など)
が集計されて記載されています。
また、その他に、相談事例も記載されています。
一部、個人情報保護の点からでしょうか、黒塗りになっています。
相談概要ですが、だいたい10行ぐらいでかなり詳しく記載をされています。そのため、同種事案の存在や同様の手口が行われている証拠となりえます。
弁護士会照会を行う時期について
弁護士会照会を早い段階で行うと、あまり有益な情報を得られないかもしれません。
不動産詐欺にあったというのならば、同様の出来事が同時期かその後も複数回ある可能性があります。
そのため、訴訟が始まってしばらくしてから弁護士会照会を行う方が良い場合もあります。
何故なら、時間がたてばそれだけ国民生活センターにより苦情相談がよせられているからです。
その結果、弁護士会照会の回答書にも、その寄せられた相談が沢山記載されることになるからです。
ですので、弁護士会照会をいつ行うかは、訴訟の進行などの状況を踏まえて考えると良いです。