部屋を退去する際の原状回復~賃貸人と賃借人の負担割合について~

新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。

賃貸している部屋の賃借人が退去をして、原状回復が問題となる場合についてです。
部屋の汚れなどは、敷金で充当されます。
しかし、敷金は、賃料の未払いがあれば敷金が充当されます。
また、敷金を超える部屋の損耗が生じる場合があります。
この場合、賃貸人と賃借人はどのような負担するでしょうか。
どのような解決が考えられるでしょうか。

賃貸借契約書の条項を確認する

賃貸借契約書に、原状回復についての条項が設けられているはずです。
賃借物の保管義務について賃借人の負担について修繕する内容の規定があるはずです。

賃貸人としては、賃借人にできるだけ部屋を修繕して欲しいと考えます。
しかし、あまりに賃借人に不利益な規定だと、消費者契約法10条により、無効とされます。
たとえば、賃借人の故意・過失を問わずにいかなる修繕も賃借人が行うという内容の規定などの場合です。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者契約法第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

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「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にする

国土交通省が、賃貸借契約の退去の際の原状回復のトラブルについて、ガイドラインをもうけております。
このガイドラインを参考に、賃貸人と賃借人で話し合うことが考えられます。
ガイドラインは、法定耐用年数を基にした経過年数による現代わり合いの考えを示しております。
耐用年数に応じた費用負担などの目安にはなります。

次のページから、ガイドラインをダウンロードできます。

耐用年数を超えても賃借人が負担する場合がある

裁判例(東京地裁 平成28年12月20日)があります。
裁判例は、次の様な内容です。

経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得る

裁判例(東京地裁 平成28年12月20日)

見積書の作成

賃貸人としては、不動産管理会社と協力して、明細が記載された見積書を作成します。
その際、賃貸人の負担はいくら、賃借人の負担はいくらという、それぞれの負担の明細が記載された見積書だとわかりやすいです。賃借人の理解も得やすいです。

なお、不動産管理会社を何度も代える場合についてです。
不動産管理会社を代えて、新しい不動産管理会社が親切な会社なら、原状回復についてもしっかりサポートしてくれるはずです。
一方、何度も管理会社を代えるなどして、当初の部屋を新しい管理会社が把握できなくなるなどすることもあります。賃貸人と管理会社とのコミュニケーションがうまくとれない状況に陥ることがあります。 
そして、不動産管理会社が賃貸の実情をよくわからない見積書を作成して、賃借人とトラブルになることがあります。 

不動産管理会社に相談してみる

部屋を管理していた不動産管理会社に相談すると、アドバイスをもらえたりします。
不動産管理会社が代わっている場合には、以前の不動産管理会社に連絡をして、状況を確認したり、必要な書類をもらうこともできます。

部屋を直接確認する

賃貸人としては、急いで部屋を貸す状況にないのならば、部屋は、清掃せずしばらく保存することが考えられます。

そして、弁護士が代理人としてついたなら、代理人の弁護士に部屋を直接確認してもらうと良いです。

原状回復と賃料相当損害金は無関係

原状回復をしないまま部屋を明け渡しても、賃料相当損害金は発生しません。
賃貸借している部屋については、原状で引き渡せば明渡義務を履行したことになります(民法483条)。

次のページが参考になります。

原状回復義務の不履行と明渡しとの関係

キッチンやユニットバスの原状回復について

キッチンやユニットバスは高価です。
数十万円することがあります。
あまりに汚れがひどいと、交換しなくてはならないことがあります。

賃貸人としては、新しいキッチンやユニットバスの費用をそのまま請求したいところです。
一方、賃借人としては、 建物耐用年数と経過年数を踏まえて、 費用を算出することが考えられます。

最後に

賃貸人としては、契約書やガイドラインや裁判例に基づいて、部屋の汚損の状況を精査して、賃借人と交渉することになります。
話し合いがつかないならば、あとは裁判になります。
裁判にならないためにも、日頃からできれば賃借人と良好な関係を築いておきたいところです。

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士7年目の若手。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に仕事、その他気の向くままに。
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