【訴訟承継】当事者の死亡後の手続の流れ

弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。

裁判の途中で、訴訟の当事者が亡くなる場合があります。
この場合、裁判ではどのような手続の流れになるでしょうか。

訴訟代理人(弁護士)がいない場合

訴訟手続の中断

訴訟代理人がいない場合、訴訟手続は中断します。

(訴訟手続の中断及び受継)
民事訴訟法第百二十四条
 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一 当事者の死亡
  相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者

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期間は進行を停止する

期間の進行が停止

訴訟手続中断の効果として、期間の進行が停止します。
なお、判決の言渡しはできます。

(中断及び中止の効果)
民事訴訟法第百三十二条 判決の言渡しは、訴訟手続の中断中であっても、することができる。
2 訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。

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相続放棄ができる期間は訴訟を受け継げない

相続人は、相続の放棄をすることができる期間は、訴訟手続を受け継ぐことができません。
相続放棄をできる期間は、民法によると、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月間と定められています。

(訴訟手続の中断及び受継)
民事訴訟法第百二十四条
3 第一項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない。

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受継の申立て

訴訟手続の受継の申立てをします。
申立ては、新しく当事者となる者と、訴訟の相手方もできます。

訴訟代理人(弁護士)がついている場合

訴訟手続は中断しない

訴訟代理人がいる場合は、訴訟手続は中断しません。
そのため、訴訟代理人は訴訟行為(主張立証など)などを行うことができます。

(訴訟手続の中断及び受継)
民事訴訟法第百二十四条
 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
 一 当事者の死亡
   相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者

2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。

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中断事由を裁判所に届け出る

訴訟代理人は、中断事由が生じたことを裁判所に書面で届け出る必要があります。

(訴訟代理人による中断事由の届出・法第百二十四条)
民事訴訟規則第五十二条 法第百二十四条(訴訟手続の中断及び受継)第一項各号に掲げる事由が生じたときは、訴訟代理人は、その旨を裁判所に書面で届け出なければならない。

法務省

その後の期日について
裁判所により、次回期日が迫っているのならば取り消されます。
そして、受継の申立てがすぐできそうならば、次回期日をその場で決定することがあります。

当事者間の対立が激しい場合は、裁判所も慎重になる場合があります。
そこで、相続放棄の熟慮期間(3か月)が過ぎるまで、事実上訴訟が中断状態になることがあります。

受継の申立て

訴訟代理人が、受継の申立てを裁判所に対して行います。

必要書類
受継の申立てに必要な書類は、次のとおりです。
・申立書
・委任状
・相続人の戸籍謄本
・相続人の戸籍の附票
・被相続人の出生から死亡までの戸籍

被相続人の過去の戸籍をどの役所で取得したら良いか分からなくなった場合
被相続人の戸籍は、死亡したときから出生時までさかのぼって全て取得する必要があります。
戸籍が変更されていたら、以前の戸籍のある役所から戸籍を取得します。そして、出生までさかのぼっていくのです。
しかし、昔にさかのぼるにつれて、戸籍の内容が作成当時の内容で記載され、読み解くことが難しい場合があります。その結果、途中で、どの役所から戸籍を取得することになるのか分からなくなることがあります。
この場合は、読み解くことができなくなった戸籍謄本の写しを役所の戸籍取得の部署に提出すると良いです。役所の戸籍の部署の担当者の方が、次はどの役所で取得したら良いかを教えてくれます。

まこと法律事務所

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士10年目を超えました。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に離婚や男女問題について書きます。
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