定期借家契約〜ハプニングバーが契約違反だと主張され家賃の値上げを請求されたら?〜

不動産のトラブル解決に取り組む弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。

例えばですが、札幌のすすきのでバーを経営したいと思う人がいたとします。
そして、大家さんと借家契約をむすび、ビルの一室で、バーを経営していました。

すると、数ヶ月後に、大家さんが不動産会社を通じて、連絡をしてきました。

夜景
不動産管理会社
不動産管理会社の人

普通のバーだと思って契約したのに、ハプニングバーを経営しているんですね。
契約違反ですよ。
もうかっているみたいですね。
家賃を値上げしますよ。

契約書には毎月30万円の家賃支払いと書いています。
しかし、家賃を値上げするというのです。
ただ、家賃をいくら値上げするか、具体的な金額はいってきません。

この場合、バー側としては、どう対応するのが良いでしょうか?

まずどうするべき?〜弁護士に相談しましょう〜

大家さんとの間の借家契約の契約書をもって、弁護士に相談にいきましょう。

大家さん側の要求を無視したりするのはよくありません。
弁護士に直接相談にいき、契約書などをみせて内容を検討してもらうべきです。

ハプニングバーは契約に違反している?

契約書をみると、賃借することの目的の欄には、 「アミューズメントバー」などと記載されているでしょう。
ハプニングバー経営とは書いていません。

ハプニングバーは、グレーといえばグレーです。
昔は、皆がいる店内でハプニングが起こることもあったようです。
ただ、今は、やはり公然わいせつなどの問題があります。
そこで、ほかのお客さんにみえないように、お店の中の別室でハプニングが起こることがあるようです。
これは、お店によっていろいろなのでしょうが…

また、ここは天下の札幌のすすきのです。
東京などからくるお客さんのために、サービス精神を発揮した結果、ハプニングバーと間違われることもあります。

このような状態ですので、目的欄には、当然「ハプニングバー」とは書いていません。
「アミューズメントバー」などとして記載することが一般のようです。

賃借の目的がアミューズメントバーという抽象的な内容ですと、ハプニングバーと疑われる経営が明らかに賃借の目的に反しているとまではいえない、と反論もできます。

バーの経営者がまず意識すること

では、バーの経営者としては、大家さん(不動産管理会社)の家賃値上げを拒否してよいのでしょうか?

ここで注意しなくてはならないことは、借家契約の内容が定期借家契約か普通借家契約かどうかです。

もし、定期借家契約であったら、一時大事です。

定期借家契約とは?-普通借家契約と定期借家契約の違い-

定期借家契約とは、契約書に定めた賃借期間を過ぎたら、借家人の方から賃借期間の更新が基本的にできないという契約です。

例えば、賃借期間を2年と定めたとします。
そうすると、定期借家契約の場合、大家さんが更新を拒否したら、2年で建物(部屋)を明け渡さなくてはならないのです。

一方、普通借家契約の場合、例えば2年の賃借期間がすぎると、自動的に契約が更新となります。

定期借家契約だったら?-弁護士に相談してみましょう-

契約書が定期借家契約だった場合、大家さん(不動産会社)と家賃について交渉した方が良いです。
また、新たな契約を結び直した方が良いです。

そのために、弁護士に相談して、今後どう対応すれば良いのか、代理人として交渉してもらうとどうなるかを相談してみましょう。

もし大家さんの要求を無視したらどうなる?~賃上げ拒否~

もし、大家さん側の要求を拒否して、値上げには応じなかったらどうなるでしょうか?

当然、大家さん側の心情を害しますよね。
そして、将来、建物(部屋)の更新を拒否するはずです。

そして、建物の契約期間がすぎたら、大家さん側は弁護士を通じて、建物(部屋)の明渡しの裁判をしてくるでしょう。

また、警察にあることないことうったえるかもしれません。

将来裁判になったらどうなる?

将来、裁判になったらどうなるでしょうか。
賃貸借契約は続いていると主張して、バーを経営し続けることはできるでしょうか。

できないです。
建物(部屋)を明け渡さなくてはなりません。

結果として建物(部屋)を明け渡さなくてはならないです。

弁護士の活用のしどころ

裁判で和解を目指すことになります。
弁護士と相談をして、どのような和解内容を目指すかしっかりと話しましょう。

和解内容としては、おそらく、

  • 〇年〇月〇日までは建物(部屋)の 使用を認める
  • その期限を過ぎたら、1日あたり10万円のお金(違約金)を大家に支払う

というような内容になる可能性があります。
1日あたり支払う金額は、10万円ではなくもっと低い金額の場合もあります。

ただ、もし期限までに建物(部屋)を明け渡さなかったら、1か月あたり300万円かこれに近い金額を支払うことになりますね。

今、家賃が月30万円なのに、月300万円も支払ってバーを経営する経営者はいないですよね。

最後に

大家さん側の賃上げ要求を無視したりしないで、話し合うべきです。
将来を見据えて、今、どうすることがベターなのか、よく考えることです。
円満に解決するよう、よく考えて行動するべきです。

→外国人故に定期借家契約とよく分からずに契約した場合について述べております。

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士10年目の若手。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に仕事、その他気の向くままに。
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