離婚・男女問題に取り組む弁護士の水谷真実(@41bengo)です。
裁判をするために、地方裁判所ではなく簡易裁判所に訴えをすることがあります。
140万円以下の金額を請求する場合です。
簡易裁判所は、名前が「簡易」なので、つい、簡単に裁判が終わると思われる方もいるかと思います。
しかし、簡易裁判所に訴えた結果すごく訴訟が長引いてしまった、ということがあります。
その結果、時間やお金を損してしまった、ということになることがあります。
そこで、簡易裁判所に訴えるときに気をつけることを書きます。
簡易裁判所の役割
簡易裁判所の役割は、簡易な紛争を迅速に解決することです。
訴額が140万円以下の請求の場合は、簡易な紛争として迅速に解決を図っていこう、ということを前提としています。
簡易裁判所で扱う事件
地方裁判所の裁判官も簡易裁判所の裁判官も、どちらも優秀です。
しかし、地方裁判所と簡易裁判所の裁判官は違うタイプが異なります。
簡易裁判所の裁判官は、簡易な紛争を迅速に解決することに慣れているといえるでしょう。
一方、地方裁判所の裁判官は、複雑な事件や、法的な解釈・知識が求められる事件に強いといえるでしょう。
ですので、簡易裁判所の案件としては、貸したお金の返還請求など一般的な事件が適しています。
不動産などの案件も、訴額が140万円以下ならば簡易裁判所は扱います。
ただ、複雑な法律論を扱ったりすると、簡易裁判所では対応しきれなくなります。
簡易裁判所の管轄
140万円という金額を1つの目安として、地方裁判所と簡易裁判所に担当が分かれております。
140万円以下の請求の場合は、まず簡易裁判所へ訴えることになります。
140万円以下の訴えをする場合には、基本的には、まず簡易裁判所に対してすることになります。
地方裁判所に訴えたくても、簡易裁判所にまず訴えて下さいと裁判所の職員さんに指示されてしまいます。
簡易裁判所に訴えても、訴訟が長引くことがある
簡易裁判所に訴える人達は、簡易に迅速に事件を解決したいと願っているはずです。
しかし、実際は、140万円以下の請求の場合でも、複雑な事件もあります。
結果として、1年ぐらい、簡易裁判所で訴訟をすることもあります。
簡易裁判所から地方裁判所へ移送される場合がある
簡易裁判所で審理をやって、簡易裁判所の裁判官の手に負えなくなると、地方裁判所へ移送されることがままあります。
そこで、訴える場合には、しっかりとした証拠(契約書など)があるか確認しましょう。
ただ、証拠があったとしても、油断はできません。
簡易裁判所に訴える前に、相手方と連絡がとれるなら、とってみることです。
そして、交渉していく中で、相手の様子から、ある程度予測がつく場合があります。
次に、相手方に弁護士さんがついている場合は、注意深く対応をするべきしょう。
相手の弁護士さんと交渉する中で、相手の弁護士さんが強気だったりする場合があります。
このような場合、簡易裁判所で裁判になると、強い反論がされる場合があります。
その他に、主張が多岐にわたったり、反訴が予想されないかも検討してみましょう。
たとえば、不動産がらみなどの事件だと、主張が多岐にわたったり反訴が予想される場合があるでしょう。
まとめると、
- しっかりとした証拠があるか
- 裁判前の相手の様子
- 相手に弁護士がついているか
- 主張が多岐にわたったり、反訴が予想されないか
で、どのくらい審理がかかりそうか、地裁に移送されることがあるかある程度予測がつきます。
解決までにかかる時間
簡易裁判所は、原告の請求額が140万円の事件について扱います。
すなわち、簡易裁判所は、比較的少額で軽微といえる紛争を扱います。そこで、簡易裁判所は、迅速かつ簡易な解決を企図しています。
そのため、2~3回の期日で終わることがままあります。訴えてから2~3ヶ月ぐらいで和解や判決までいきます。
例外的に、不動産がらみの事件などで、弁護士が代理人となって争いとなると、訴えてから1年ぐらいかかることもあります。
ただ、簡易裁判所での事件は、基本は迅速さが求められるものです。
そこで、2~3回で終わると考えて良いでしょう。
もし、長くかかりそうなら、簡易裁判所から地方裁判所へ移送して審理をすることを考えた方が良いでしょう。
地方裁判所で審理をする方が、かえって迅速で適切な解決になることも十分あります。
最後に
簡易裁判所に訴えても、訴訟がすごく長引くことがあります。
一方、訴訟前の相手方との誠実な交渉などで、防ぐことはできます。
結果として訴訟を長引かせないためにも、事前によく準備をして臨むべきですね。