新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
裁判において、和解の話し合いが決裂し、証人尋問が行われると、最後に判決となります。
判決の前に、最終の準備書面を提出することがあります。
裁判官から、最終準備書面を提出しますか?と聞かれるので、提出しますと答えます。
最終準備書面に関することについて、以下に記載をします。
最終準備書面の役割
最終準備書面は、証人尋問での証言も証拠として用いた、準備書面です。
これまでの訴訟の全ての主張や証拠を元に、最後のまとめとして提出します。
裁判が長期に渡る場合、途中で裁判官が交代することもあります。
裁判官が最終準備書面を読んで裁判の全体像が分かるように主張すると良いです。
最終準備書面で主張する内容
これまでの訴訟で主張立証した全ての内容を元に、まとめとして作成します。
これまで主張してない新たな主張や、新たな判例の引用等は、多少ならば主張しても大丈夫のはずです。
証拠を提出できる?
最終準備書面は、最終という名がついているように、裁判の最後に出す準備書面ではあります。
最終準備書面の提出のあとに、裁判は結審して、あとは判決ということになります。
最終準備書面を提出する期日で、新たな証拠を一緒に提出すると、相手が時期に後れた攻撃防御方法であると主張する可能性があります。
攻撃防御方法(=主張や立証)は、訴訟の進行状況に応じて、適切な時期に提出しなくてはなりません。
(攻撃防御方法の提出時期)
e-GOV法令検索
民事訴訟法第百五十六条
攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。
そして、最終準備書面と一緒に提出した証拠が、
・故意又は重大な過失により時機に後れて提出した主張や証拠であること
・これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認められること
の場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができます。
(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
e-GOV法令検索
民事訴訟法第百五十七条
1 当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
裁判の期日において、相手が時機に後れた攻撃防御方法なので証拠を却下することを求めてきます。
そうすると、裁判官は、新たな証拠の提出ではないか、どのような意見かを求めてきます。
そこで、できるだけ頑張って自分の意見を主張するべきです。
そうすると、裁判官は、証拠を却下せず、反論の機会を設けるためにもう一期日ひらかれることもあります。
なお、判決の期日はすでに決まっているでしょう。
最終準備書面を提出したにもかかわらず、原告と被告がさらに新たな準備書面や証拠を提出すれば、判決の期日が延期されることもあります。
そこで、延期したくない場合は、新たな主張立証をなるべく少なくするべきです。
最後に
判決がでるまで、裁判は終わっていません。
最終準備書面の内容次第で、判決の結果が変わることもあります。
最後まで気を抜かずに、訴訟に臨む姿勢が大事です。