新宿区新大久保で働いている弁護士の水谷真実です。
夫婦が別居後、たとえば妻が夫に対して婚姻費用の調停のみを申し立てれる場合があります。
この場合、申し立てられた夫としては、一緒に離婚の調停の申し立てをした方がいいのでしょうか。
婚姻費用の調停が成立した後、離婚が成立するまで長期間かかりそうな人には、悩ましい問題かと思います。
そこで、考えを書きます。
婚姻費用の調停だけがなされると・・・
婚姻費用の調停だけが行われたとします。
そして、調停が成立して、例えば夫が妻に対して、婚姻費用を支払うことになったとします。
そうすると、夫婦の間で離婚が成立するまで、基本的には夫は妻に対して婚姻費用を支払わなければなりません。
申し立てられた側が離婚の調停の申立てを同時にするメリットはなにか
例えば、妻が夫に対して、婚姻費用の申立てのみをしたとします。
この場合、夫が離婚の調停の申立てを同時に行うメリットは何でしょうか。
離婚成立後は婚姻費用を支払わなくても良い
離婚が成立すれば、婚姻費用は支払わなくてすむことがまず考えられます。
容易に離婚の調停の申し立てができる
次に、将来、離婚の調停をしたくなったときに、相手が所在不明となっている場合があります。
すると、離婚の調停の申立てをしたくとも、相手の住所がわからないので調停を申し立てることができなくなるおそれがあります。
一方、婚姻費用の調停の申立てがされている場合は、どうでしょうか。
この場合、申立書に、申立人の住所が記載されています。本当の住所か分かりませんが、その住所に郵便物を送れば、転送により申立人本人に郵便物が届くでしょう。
そのため、婚姻費用の調停がなされている場合には、離婚の調停の申立てをすることは容易となります。
離婚に向けて話し合いが進む可能性がある
その他に、離婚に向けて話し合いが進む可能性が可能性が考えられます。
すでに、婚姻費用については調停委員をはさんで話し合いが行われております。
また、弁護士さんが代理人となっていることもあるでしょう。
そうすると、離婚の話し合いをする環境は整っております。
まとめ
婚姻費用の調停の申し立てのみがなされた場合に、相手方が離婚の調停の申立てをするメリットは、次のことが考えられます。
- 離婚成立後は婚姻費用を支払わなくても良い
- 離婚の調停の申立てが容易
- 離婚に向けて話し合いが進む可能性がある
最後に
婚姻費用の申立てのみがなされた場合、申し立てられた方は、離婚の申立ても同時にすることを考えましょう。
そして、同時に行った方がいいのか、それとも、将来離婚の申立てをしても不利にならないか、よく考えてみましょう。
ただ、離婚の申立ても同時に行う方が、スムーズだとは思います。