相続が発生した場合についてです。
銀行に、口座の名義人(預金者)が亡くなったが亡くなったことを伝えると、口座は凍結されます。
そこで、預金を引き下ろすためにどうするべきかを説明します。
相続人全員で同意して預金の引き下ろし
銀行に預金の引き下ろしを伝えると、書面を渡されます。書面のタイトルは、「相続手続依頼書」などと記載されています。
相続人全員が同意し、相続手続依頼書の書面に署名押印すれば、預金を引き下ろすことができます。
一方、相続人が全員同意をしていないと、預金を引き下ろせません。
以前は単独で預金を引き下ろすことができた
以前は、相続により、相続分に応じて銀行の預金を相続しました。
その結果、自分の相続分に相当する預金分については、自分だけで引き下ろすことができました。
しかし、平成28年の最高裁の判例で、遺産分割協議が成立していたり、相続人全員でなければ、預金を引き下ろしできないことになりました。
遺産分割協議書を提出して預金の引き下ろし
相続人の人達が遺産分割の協議を行い、預金を相続する人が決まれば、預金を引き下ろすことができます。
遺産分割協議書を銀行に提出し、預金を引き下ろします。
遺産分割協議成立前の相続預金の払戻し
相続人が全員同意していなかったり、遺産分割の協議がなされていなくても、預金を引き下ろすことができます。
他の相続人の同意なく、単独で預金を引き下ろすことができます。
次の民法の条文に規定されております。
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
引用元:e-GOV法令検索(民法)
民法第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
家庭裁判所の判断で払い戻しできる場合 | 家庭裁判所を経ずとも払い戻しできる場合 |
上限なし | 上限あり |
手続が煩雑 | 手続が簡便 |