新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
配偶者が不貞行為をした場合についてです。
配偶者と別れないで、よりを戻す際に意識しておくべきことをお伝えします。
裁判例(不貞行為をいったん許した後に夫婦関係が破綻)
妻に不貞行為があったが、夫がこれを許しました。
そして、通常の夫婦関係に戻りました。
その後、夫婦関係が破綻するに至った場合に、妻からの離婚請求が許されるとした判例です。
不貞行為を犯した配偶者から離婚請求があった場合についても妥当するものというべきであり、相手方配偶者が右不貞行為を宥恕したときは、その不貞行為を理由に有責性を主張することは宥恕と矛盾し、信義則上許されないというべきであり、裁判所も有責配偶者からの請求とすることはできないものと解すべきである。本件において、既に認定したところによれば、被控訴人は、控訴人の丙川との不貞行為について宥恕し、その後四五か月間は通常の夫婦関係をもったのであるから、その後夫婦関係が破綻するに至ったとき、一旦宥如した過去の不貞行為を理由として、有責配偶者からの離婚請求と主張することは許されず、裁判所もこれを理由として、本訴請求を有責配偶者からの離婚請求とすることは許されないというべきである。
東京高等裁判所判決/平成4年(ネ)第2021号
夫の立場
夫としては、妻に不貞行為があっても、妻と婚姻生活を続けていきたい場合には、簡単に許す行為をしてはいけないですね。
小さな子ども達がいて、離婚するとなると親権の問題が生じる場合などについていえます。
妻が謝罪をしても、心を動かされて、つい、その謝罪を受け入れるべきではないです。
許す内容が記載された書面を作成するべきではないです。
LINEなどのSNSでも、許しますと伝えるべきではないですね。
もし、不貞行為を許してしまったのならば、やっぱり許すことはできない、と改めて書面等で伝えておくと良いです。
妻の立場
妻としては、なんとか謝罪をして、夫に許してもらうことになります。
書面の作成や、SNSやメールで許しを伝えてもらうことが考えられます。
最後に
夫婦関係が破綻すれば、離婚するしかないから、あまり気にする事案でもないかなと思うかもしれません。
しかし、いざ離婚するときになって、子どもの問題等から、どうしても離婚したくないという状況が生じることもあります。
そこで、将来を意識して、不貞行為をしたらどう対応するか意識することは大事です。
分からないことは、弁護士に確認などして、将来に備えることも大事です。