まこと法律事務所 MAKOTO LAW OFFICE

コラム

2018.12.09

妻の側からみた離婚のために必要な手続(不倫やDV・モラハラを中心に)

妻からみた離婚手続

妻の夫婦生活の悩みについて

 

最近では、共働きの夫婦も増えていますし、昔と比べたならば離婚について寛容な社会となってきています。
そのため、妻が夫との結婚生活に終止符を打って離婚を選択するという人も年々増えてきています。

女性の場合は、男性が離婚することとはまた異なった女性特有の問題があります。

家事や子育てをするのは夫ではなく妻が主に行っている場合も多いです。

 

このような中、妻が夫と婚姻生活を円満に築いていくためにはどうしたらいいでしょうか。やむを得ず離婚するようになった場合に慰謝料請求や親権などについてどう対応したらいいでしょうか。その他面会交流等について述べたいと思います。


結婚生活中の夫婦について

夫婦が相互に負う義務や責任

 

結婚をすると、お互い様々な義務を負うことになります。
夫婦でお互いに生活を支え合う義務や、不倫などの不貞行為をしない義務一緒に同居しなくてはならないという義務子供が生まれたならば子供をしっかり育てなくてはいけない義務などです。

また、夫婦は日常家事から生じた債務について連帯して責任を負います。
例えば、スーパーで買い物をして夫婦のどちらかがお金を支払わない場合には、他方が連帯して責任を負うことになります。



夫についての妻の悩みと離婚

 

よくよく考えて離婚をするべきか決断すること

 

妻が夫との生活に耐えかねて、離婚をしたいと考えたとします。
この場合、よくよく考えて、戦略を練って将来どうするべきか考えた方がいいです。

子供がいる場合には、そもそも結婚することが子供のためになるんだろうか、離婚をした場合に子供の親権を持つことができるかなどで悩みます。
財産分与を考える場合には、不動産がある場合には財産分与としてきちんと確保することができるか等で悩みます。

夫に不倫などの不貞行為があった場合には、慰謝料請求するために事前に証拠を確保しなくてはならない等、いろいろと考えることがあります。
これらの悩みについては、一人で悩んでも解決しない場合があるので、親や友人、専門的な知識を持つ弁護士やカウンセラーなどに相談すると良いかと思います。

 

また、若くして離婚をするのか、熟年離婚なのか、子供が未成年のうちに離婚するのかなど事情により色々考えることがあります。
若くして離婚する場合には、妻の離婚後の生活をいかに安定的に確保するかが大事となってきます。
熟年離婚の場合には、夫婦で築き上げてきた財産がありますので、財産分与がとりわけ問題になるかと思います。
子供が未成年のうちに離婚する場合には、子供の成長のために本当に離婚が必要なのか、離婚して妻が子供の親権をもった場合に、元夫から養育費をきちんと支払ってもらうためにどうするべきかなどが問題となります。

 

協議離婚を決意する場合


夫婦の協議により離婚をすることができます(協議離婚)。
協議離婚の場合には、とくに理由がなくても、夫婦のお互いの離婚したいという意思があれば、離婚をすることができます。

離婚において、協議による離婚が離婚におけるおよそ9割を占めています。



協議離婚においては、夫が自分に都合のいいような条件で離婚しようとしたり、妻に対して時には暴力などを振ることもあるかもしれません。
そのため、親や弁護士などの第三者にあいだに入ってもらうことが必要かもしれません。

協議離婚では、公証役場に行って離婚をするための合意を公正証書という形で残しておくことが考えられます。
公正証書は、公証役場という信頼のおける機関で作成されるものなので、後日公正証書の内容が夫が守らない場合には、裁判を得ずにいきなり強制執行することができるようになります。
ただ、公正証書を作成したとしても、約束を守らない元夫はたくさんいます。そのため、公正証書が絶対ではないということは心に留めておいた方がいいでしょう。

 

 

裁判を通じての離婚について(調停離婚、裁判離婚)

 

夫が協議離婚を拒否する場合には、裁判を通してでないと離婚ができません。
また、協議離婚では妻にとって不利な状況になる場合には、調停や裁判での離婚を考えるべきです。

まず、調停で離婚について話し合い(調停前置主義)、それでも話し合いがつかない場合には裁判で離婚を争うことになります。

裁判で離婚が認められる場合は、法律で定められています(離婚事由)。

1 配偶者に不貞な行為があったとき。

2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

3 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

妻の場合、よく問題となることは、配偶者(夫)の不貞行為(浮気)、DV やモラハラなどかと思います。

夫の不貞行為は、法律で明確に離婚事由にあげられていますし、DV やモラハラは、5番の婚姻を継続し難い重大な事由があるときと問題となります。


いずれの場合も、妻にとっては深刻な問題です。
離婚するということは、重大な決断です。できるだけ有利な状況で離婚をすることが、立場が弱いことが多い妻にとっては大切なことです。

 

夫の不貞行為(不倫)について

夫と同居している場合

 

夫が他の女性と不倫をしている場合があります。

この場合、それでも夫を許して今の婚姻生活を続けるというのも一つの考えかと思います。
子供がいる場合や、自分の生活状況などを考えて、夫に対して不満が残るけども、今の生活を続けていくということももちろんあります。

この場合、同居しているので、夫が不倫をしていることは妻としてはなんとなく察してしまうものなのかと思います。
そして、将来の万一のことを考え、同居をしている時点から、夫の不倫のための証拠の確保ということも念頭において活動することが必要かとは思います。

 

夫と別居をした場合

 

不倫して別居を考えるべきとき

 

一方、夫の不倫には耐えられなかったり、夫が不倫相手の女性のところにいってしまって、家を出ていてしまうということもあります。

このような場合には、離婚も視野に入れなくてはなりません。
不倫をした夫は、有責配偶者として、当然に夫側に非があります。

妻のとるべき行動

では、妻としてはどのようなやり方をしていくのが良いのでしょうか。

まず、夫に不倫していることを伝えることで夫が不倫をやめれるのならばそれが良いかもしれません。また、夫婦生活をやり直していけるからです。

 

しかし、夫に対して不倫していることを問い詰めることで、夫がしらばっくれる可能性がありますし、夫婦関係がさらに悪化するかもしれません。

そこで、夫の性格などを考えて、しらばっくれる可能性などがあるのならば、事前に不倫の証拠を確保してから夫に対して不倫について問い詰めた方が良いかと思います。

「不貞行為(不倫)」とは、夫が異性と性的な関係(性交渉をすること)になることです。

不倫のために証拠として考えられるもの

 

そこで、そのための証拠を確保することが、夫に不倫をしていることを問いただす上で大事となってきます。

写真

・夫がラブホテルに入っているところを写した写真

・夫が他の女性と一緒に写っている写真

文章、メール、手紙

・SNS やメールなどで不倫していることをうかがわせる文章

・夫の持ち物の中から、女性からの愛の告白の手紙がみつかる

友人や知人などの証言

レシートや領収証やPASMO(パスモ)の利用履歴など

・夫が他の女性と旅行に行ったことや、身に覚えのないラブホテルのレシートや領収書

・ビジネスホテルの領収書でも、宿泊人数が「2人」となっている領収書

・PASMO(パスモ)の利用履歴が配偶者から聞いている話と矛盾している

不自然な日の外泊

年末年始に家族で過ごす予定だったのに、急遽外泊をして家に戻らなかった夫

自分の日記

不倫の証拠となるその日の出来事や夫との会話

(簡単でいいです。できれば、手書きで行間を空けずに書くと、後で改変したとか思われずに済むかと思います。)

興信所(探偵)

夫が不倫をしている日がピンポイントで分かるのなら、興信所(探偵)に依頼をして証拠の写真を撮影してもらう

 

などが証拠として考えられるかと思います。
不貞行為を証明するために、1つだけでは証拠として弱いかもしれない場合でも、複数の証拠を集めるとかなり強い証拠となります

 

夫がすでに家を飛び出して、離婚していないのに他の女性と同居している場合も不貞行為にあたります。

 

夫に不貞行為がある場合には、離婚するかどうかについては妻が有利となります。

 

有責配偶者である夫からの離婚請求は、原則として認められません。
例外として、別居期間が数年にもおよび、未成年者の子供がおらず、妻の生活が困窮せず、別居期間中にきちんと婚姻費用を支払うなどした場合にのみ、夫からの離婚請求が認められます。

 

有責配偶者のある夫と離婚する場合において、最初は、夫が別居を開始するのかと思います。

夫が別居した場合には、きちんと婚姻費用(生活費)の請求をしましょう。

夫が支払うことを渋ったら、婚姻費用がきちんと支払われているか否かも、将来離婚をする上で判断の材料になるので、支払わないと不利だよということを伝えましょう。

夫の資力や稼ぎなどで夫の支払い能力の問題が生じますが、安易な妥協は考えものです。

離婚してくれるならば、高額の慰謝料を支払うが、分割払いでお願いしたい、その代わり公正証書を作成するという夫がいます。

 

しかし、分割払いの約束をしても、支払をしない男性は沢山います。
公正証書に残したとしても、支払をしない男性はおります。


一旦離婚をすると、婚姻費用(生活費)の支払いを受けることはできなくなります。また、夫が他の女性と結婚することもできるようになります。

そこで、よほど夫を信頼することができる場合以外には、分割払いでの支払の約束はしないでおいた方が良いでしょう。

 

DV やモラハラの場合

 

配偶者からのDV

 

夫から暴力(DV)やモラハラ(言葉による暴力)を受けた場合には、妻はどうしたらいいでしょうか。

妻としては、当初は自分自身が夫から暴力やモラハラを受けてるという認識がない人も結構いらっしゃいます。
だんだんと耐えられなくなってきて、友人や知人や公的機関などに相談をして初めて、自分がされてきたことは実はひどいことだったんだと認識する妻の方もいらっしゃいます。

 

夫の暴力(DV)

暴力(DV)の場合は、本来、立派な犯罪です。

万一、夫から暴力を振るわれた場合には、きちんと写真にとっておきましょう。また、面倒かもしれませんが、病院に行って、お医者さんに夫から暴力を振るわれたことを伝えて、診断書ももらっておいた方が良いです。

その上で、警察に被害届を出すのもいいですし、夫と離婚をするのもいいかもしれません。

夫からの更なる暴力を防ぐために、警察や弁護士に相談をする場合には、夫に知られないようにして、信頼できる人(家族)などに相談の上でされる方がよろしいかと思います。

夫のモラハラ

モラハラについては、証拠の確保が問題になるかと思います。
暴力の場合、病院で治療して診断書をもらうことができます。
一方、モラハラの場合には、客観的な証拠がなかなかないかと思います。

そのため、自分自身で証拠を確保するべきです。

日記

日頃夫に言われたことを日記にこまめに記載をしておくことが必要かとは思います。

この場合、時間の流れを意識して、夫から暴言をされた経緯、暴言の内容、夫がモラハラをしてきた動機はなにかを自分なりにまとめるべきだと思います。

 

録音

夫のモラハラの発言を録音できればするべきです。


SNSやメール



メールなどに記載されている内容も立派な証拠です。
しっかりと保存をしておきましょう。

家族などの証言

夫からモラハラされた場合、親や友人などの周囲に相談をされている場合も多いです。
そこで、親や友人などにモラハラの状況について一筆書いてもらうことも有効でしょう。

 

DV の場合もモラハラの場合も、夫にされたことで怒って反撃をすると色々と後で不利益になることがあります。
妻自身が警察に捕まってしまうかもしれません。離婚の際に、夫に言い訳するきっかけを与えかねません。
そこで、できるだけ早い段階で色々な人に相談することが大事になってきます。


 

ももこちゃん
女性に対しては優しくしないと駄目ですよ!しっかり話を聞いて下さいね。
はい。しっかり話を聞いて、粘り強くやっていきます。

 

 

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