まこと法律事務所 MAKOTO LAW OFFICE

コラム

2018.12.06

夫の視点からみた夫婦問題の悩み全般について

夫からみた夫婦の悩み

当初は愛し合って結婚をした夫婦でも、その後、夫が妻と離婚をしたいと思うことがあります。

夫婦関係は悪くなくても、妻と離婚をしたい場合があります。

例えば、妻がキャリアウーマンで子作りをする意思がない、妻が家事ができないなどの場合です。

では、夫が妻と離婚をしたいと望んだとして、どういう場合に離婚できるでしょうか。

まず、いったん結婚をして籍をいれたら、それ相応の理由がなければ離婚できないというわけではありません。

夫婦双方が、離婚をすることに同意をすれば、離婚をすることができます(「協議離婚」といいます)。

協議離婚は、夫婦相互が離婚届に署名をして役所に提出するだけで離婚が成立します。

もっとも、離婚届を提出する前に、慰謝料、財産分与、婚姻費用、養育費、子供の親権などを決めなくてはなりません。

離婚原因について

妻と離婚をしたい場合

はじめに

夫婦で話し合い、妻が金銭を要求した場合にその金額を支払えるのならば離婚ができるでしょう。

また、妻が最初は非常に高額の金銭の支払を要求してきても、解決することはあります。妻と粘り強く交渉し、ときには弁護士を間にいれて法的に妥当な金額を妻に提示して納得がえられれば、協議での離婚が成立します(協議離婚)。

そして、一括で支払えるだけの金額がなかったとしても、分割払いでの支払に妻の納得がえられる場合もあります。

しかし、妻がそもそも離婚に納得しない場合や、分割払いに応じない場合があります。

この場合は、裁判所にまず離婚の調停を申し立て(調停前置主義)、調停がまとまらない場合には離婚裁判という手順となります。

 

裁判での離婚の場合(裁判離婚)

裁判離婚の場合、民法で離婚が認められる場合(離婚原因)が定められています。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

1 配偶者に不貞な行為があったとき。

2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

3 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

この場合、1~4のどれにもあてはまらない場合には、5の婚姻を継続しがたい重大な事由があるときでなくては、裁判上の離婚が認められません。

ここで、夫が妻に対して離婚を切り出すに際して、主に3つの場合があります。

(1)妻に原因がある場合(妻の不倫、妻のDVやモラハラなど)

(2)夫に原因がある場合(夫の不倫、夫のDVやモラハラなど)

(3)妻にも夫にもとくに原因がない場合(性格の不一致や価値観の違いなど)

 

(1)妻に原因がある場合(妻の不倫、妻のDVやモラハラなど)

法律で認められている離婚原因の1つである、「1 配偶者に不貞な行為があったとき。」「5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」の問題となります。

不貞な行為とは、具体的には異性と性的な交渉を結ぶことです。

そこで、裁判では、妻が異性と性的な交渉を結んでいたかを主張立証していく必要があります。

具体的な立証方法としては、

・探偵を雇って妻が異性とホテルに出入りしている状況を証拠に残す

・SNSやメールや写真

・友人知人から話を聞く

などが考えられます。

 

(2)夫に原因がある場合(夫の不倫、夫のDVやモラハラなど)

夫が不倫をした場合(有責配偶者)

夫が不倫をする場合、基本的には裁判離婚で認められている離婚原因(5つ)のどれにも当てはまりません。
そこで夫としては自分が不倫していることを妻に知られないということがまずは大事になってきます。
もし、妻が興信所などを使って夫が他の女性とホテルに入っている時の写真などを入手していたならば、夫としては立場がとても弱いことになります。

では、夫がもう妻とは別れたて別の女性と結婚をしたい場合、どうしたらいいでしょうか。妻とは離婚できるのでしょうか。

 

この点については、妻が夫の不倫現場の証拠を確保している場合には、基本的には妻が離婚に同意をしない限り離婚はできません。

もしくは、妻の要求通りの慰謝料を支払った上で離婚せざるをえません。

 

そのため、妻が離婚に同意をしなかったり慰謝料を支払わない場合には、妻と別居はするけれども離婚はしたままという状態になります。


今は離婚できなくても、将来どうしても妻と離婚したい、例えば今他に好きな女性がいるのでその女性と将来結婚をしたい場合には、きちんと考えた上で行動をした方がいいです。

不倫をした有責配偶者の夫から妻への離婚請求は、裁判例では妻との別居期間の長さをとても重要視しています。
大体数年(5年以上)は別居していることが必要となります。
その上で、別居後の夫の妻に対する態度も判断材料となります。

例えば、別居期間中にきちんと婚姻費用を妻に対して支払っていたかなどです。

いずれにせよ、不倫をした有責配偶者である夫から妻への離婚請求は、色々とハードルがあります。
そのため、よくよく考えて行動することが求められます。


夫のDVやモラハラなどの場合



この場合は、妻が肉体的・精神的な被害を受けているので、夫が離婚をしたいという意思があるのならば、妻は 離婚を受け入れるかもしれません。

しかし、妻が離婚はしたくないといえば、不倫をした場合と同じく、夫からは離婚が基本的には認められません。

当然ですが、離婚したいからといって妻に対して DV やモラハラをすることは許されません。
警察に捕まって取り返しのつかないことになるかもしれませんし、妻が家を出て行き、離婚できないまま別居生活がずっと続くかもしれません。

 

(3)妻にも夫にもとくに原因がない場合(性格の不一致や価値観の違いなど)


はじめに

 

結婚したら子供が欲しいと思っていたのに、妻が子供は欲しくない、 今まで一生懸命努力してきたのだから男性並みに働きたいという考えを持っていて、子供を作ることを拒否したとします。

 

大体、結婚をする前に将来どういう家庭を築こうとかお互い話し合っているはずなので、結婚してもお互い我慢できるところがあれば我慢して結婚生活をしていくものだと思います。

しかし、どうしても譲れないこと、例えば、子供を生み育てていくかなどとても大事な点について結婚後に夫婦の間で意見が対立することがあります。

この場合に、夫が離婚を望んでいる場合、どうするのが良いのでしょうか。

夫婦でしっかりと話し合うこと


まず、夫に不倫などの何か責任があって離婚をするわけではないので、妻と話し合えば妻も離婚に納得してくれるかもしれません。
そこで、まず、夫婦でしっかりと話し合って、協議離婚ができるのならばそうするべきです。

話し合いでも妻が離婚に納得してくれない場合には、あとは裁判所を通しての離婚(調停離婚、裁判離婚)ということになります。


裁判になった場合

 

裁判で離婚が認められるためには、離婚原因が必要となりますが次の5つの場合に法律で限られています。

1 配偶者に不貞な行為があったとき。

2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

3 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。


1番目から4番目が具体的な場面についてで、5番目が抽象的な場面を想定しています。

「婚姻を継続し難い重大な事由」といえるためには、今回のような場合には少なくとも相当の期間は別居していることが必要となります。
どのくらい別居をしていたら婚姻を継続し難い重大な事由にあたるかは、裁判所の判断となります。だいたい、数年は別居していることが必要のようです。

妻が離婚に納得してくれるならばいいのですが、離婚に納得をしてくれない場合には、色々と問題が生じます。
ですので、結婚前にお互いに将来のことも含めてよく話し合うことが大切です。そして、十分話し合った上で結婚したのならば、多少のことは我慢をして、夫婦で結婚生活を築き上げることが大切なんだと思います。

 

 

妻と離婚をしたくない場合

はじめに

妻と離婚したくないにもかかわらず、妻が家をでていく場合には、どういうことに気をつければいいでしょうか。

例えば、不倫もせず、仕事ひとすじで一生懸命働いていたのに、子供が進学して家を離れることを契機に、唐突に別居生活と離婚をすることをつきつけられたとします。

夫は妻を説得してやり直すことを提案しても、妻が聞く耳をもちません。どうしたらいいでしょうか。

 

まず、夫が離婚に同意しないので協議離婚が成立することはありません。

また、夫側に不倫などの非がなければ、裁判になったとしても、別居生活が長期間なされていないかぎり認められません。

考えられる手段としては、調停(婚姻関係を円満に調整するための調停)がまず考えられます。

しかし、妻に離婚や別居の意思が固ければ、調停に出席しないことが予想されます。この場合は、調停が不成立となり、解決には至りません。

そのため、夫としては、妻の話をよく聞き、妻が何を望んでいるのか、将来どうしたいのか、また同居する可能性があるのか、同居の可能性がある場合には今後どうしたらいいか等について、粘り強く聞くことが必要となってきます。

夫婦間で話し合うことが難しい場合には、親類(親など)や弁護士に間にはいってもらって話し合うことが考えられます。

もっとも、親に頼んでも、既に成人しているのだから夫婦同士で話し合って解決しなさいと言われるかもしれません。

その場合、弁護士に相談をして、弁護士を通して妻の気持ちに配慮しながら、どうしたら夫婦関係を修復できるか話し合うと解決の糸口が見つかるかもしれません。

別居後に夫がとるべき行動

まず、別居をしたからといって、すぐに離婚になるわけではありません。

裁判で離婚が認められるためには、少なくとも3年は別居していることが必要です。だいたい5年ぐらい別居をしていないと、婚姻関係が破綻しているとは認められません。

次に、別居しても離婚をしていない限り、婚姻費用(生活費)を夫は一般的に負担する義務を負います。

そのため、妻とまたやり直したい場合には、きちんと婚姻費用(生活費)を支払い続けるべきでしょう

婚姻費用については、いくら支払うべきかが問題となります。

妻の要求通りに支払ってもいいのですが、妥当な金額を支払いたいのであれば、弁護士に相談をした方がいいでしょう。

そして、弁護士を通じて毎月の婚姻費用支払う婚姻費用を提示して、妻の納得を得ることが必要です。


慰謝料について

 

慰謝料が問題となる場合

離婚に伴い、慰謝料の問題が当然のように問題となります。


慰謝料は、法律的には「不法行為」を理由として支払いが認められるものです。

慰謝料については、不法行為に基づいているので、それ相応の違法な行為があった場合に認められるものです。

例えば、 DV やモラハラだったとか、不倫をされた等は、不法行為により損害が生じてますので、慰謝料が認められます。

一方、日常的な些細な事柄、例えば、同僚と連日連夜飲み明かしているとか、全く育児に参加しないとか、自分の趣味にいっぱいお金を使ってしまうとか、これらの行為1つ1つでは、慰謝料が発生しません(もっとも、離婚する原因となり、場合によっても離婚において慰謝料を支払うことになることもあります)。


慰謝料として支払うべき金額


裁判にならずにお互いの話し合いで解決する場合には、慰謝料はそれなりに自由に決められます。
一方、裁判になった場合には、 主張や証拠に基づいて判断されることになります。

離婚となる場合、判断される要素としては、婚姻期間の長さ、資力、どのくらい責任があるか、未成年者の子供がいるか等を総合的に考慮して判断されます。

一般的には、東京の場合は、離婚において支払うべき慰謝料は、100万円から300万円が多いようです。
妻が高額の慰謝料を請求してきても、そのまま認められることは普通はありません。

不倫の場合の慰謝料

 

はじめに

 

不倫をして慰謝料請求が問題になるということは、夫婦の場合だったら離婚に直面している場合です。
不倫相手の女性が妻から慰謝料請求されている場合は、夫婦間で婚姻してる場合もあればもはや婚姻関係が破綻している場合もあるかと思います。

妻が不倫相手の女性に対して慰謝料請求を裁判でする場合、不倫相手の女性は夫のせいにしたりもはや私は関係ないんだと主張して、逃げの姿勢になる場合もあるかと思います。
仮に不倫相手の女性が裁判で負けたとしても、結局は夫が代わりに立て替えることが多いので、不倫相手の女性にとっては金銭的にはそれほど痛手とはならないからです。


妻が不倫をした場合の慰謝料請求


夫としては、妻の不倫を許せない人は結構います。
結婚して日が浅い若年の夫婦でも、熟年の夫婦でも、年齢に関係なく妻の不倫にショックを受ける人はいます。

妻が不倫した場合には、妻を許す夫もいますが、離婚を選択する夫もかなりいるかと思います。
その上で、不倫相手の男性を絶対に許せないとして、慰謝料請求をすることはもとより、なんとか不倫相手の男性の会社にこの事実を知らせたいという人もいます。

もし、妻が不倫をした男性が、仕事をきっかけに妻と出会って不倫をしてしまった場合には、不倫をした男性の会社にも責任を追及できます(使用者責任)。
例えば、妻が家にいつも宅配に来る配達業者の人と不倫をした、妻が家に勧誘にきた保険代理店の人と不倫をした、妻が会社の上司から誘われて不倫をしてしまった場合などです。


別居後の婚姻費用(生活費)の支払いについて


計算方法

夫婦が別居した場合、離婚するまでは 生活費などとして婚姻費用の支払義務が生じます。

婚姻費用の計算は複雑なのですが、基本的には夫婦相互の収入と、子供の数を元にして算定されます。

裁判所のホームページに婚姻費用算定表が掲載されています。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

今は、共働きの世帯が多いので妻の収入が夫の収入よりも良い場合があります。
この場合、夫から妻に対して婚姻費用を支払わなくていいかというと、必ずしもそうではありません。
妻が未成年の子供と一緒に生活している場合に、子供の生活費も考慮したうえで婚姻費用が判断されます。


気をつけること


世間では、まだまだ妻よりも夫の方が収入が良く、妻は夫からもらう生活費にたよっていることが少なくありません。
そこで、意図的に婚姻費用を支払わないことにより、離婚に向けての交渉などを有利に進めようとする夫がいます。

ただ、ただ夫が妻に対して婚姻費用を支払わなくてはならない場合に、支払いを怠ると色々な不利益を受ける場合があります。

例えば、離婚の裁判において婚姻費用を支払ってない場合には夫側に責任があるとして離婚が認められないかもしれません。
また、子供と面会交流をしている場合、妻が面会交流を拒否するかもしれません。

そこで、別居後は、弁護士と相談したりして速やかに離婚に向けての調停などをすることが大切です。

 

養育費について


はじめに

 

養育費は子供を育てるために必要なお金です。
離婚後、子供を育てている元妻に対して養育費をきちんと支払っている元夫との人はいますが、支払わない元夫との人もたくさんいます。


養育費を支払った方が良い場合とは、子供と定期的に面会交流を行いたい場合などです。

養育費は子供が二十歳になるまで支払われます。

ただ、別れた妻が別の男性と再婚をする場合があります。
この場合には、養育費の支払い義務がなくなるというわけでありません。再婚相手の男性が子供と養子縁組をしない限りは養育費を支払い続けることになります。
そこで、夫としては、妻との離婚の際に、養育費を取り決める場合には、妻が再婚した場合には養育費を減額することや免除するなどの取り決めを決めておいた方が良いかとは思います。


支払うべき養育費の計算方法やどこまで養育費に含まれるかについて


家庭裁判所では養育費の計算方法として算定表を用いています。

別居した場合の婚姻費用の算定表と同じ基準となっています。
元夫と元妻のそれぞれの年収や子供の人数などを基本にして、給与所得者か自営業者かなどを加味して決定されます。計算方法はかなり複雑ですので、明確にこの金額だとすぐにだせるというものではないかと思います。



面会交流について

 

はじめに

 

妻と離婚をして妻が子供を引き取った場合に、夫としては子供と面会交流をできるようにしておくべきです。

若い男女の場合や夫が外国人の場合などで、妻や妻の母が一緒になって子供と決して合わせないといってくる場合があります。
しかし、子供との面会交流は、裁判所の考えに基づくと、子の監護のために適切な措置を求めるものとして、法的な権利があるようです。

そこで、元妻が子供の面会交流をむやみやたらに拒否することはできないです。


面会交流が実現するために


元妻が子供との面会交流を拒否していたり渋っている場合には、なかなか難しいものがあります。
子供との面会交流には、元妻の協力が必要となってきますので、元妻との関係性を大切にしておくべきです。

子供との面会交流は、面会交流が単独で問題となるわけではありません。離婚する際に慰謝料を払うことになった場合にはきちんと支払ったかや、結婚中に別居をしていた場合に婚姻費用をきちんと支払っていたかや、養育費をきちんと支払い続けているかなどが求められます。

具体的な面会交流の内容を書面で作成する場合

子供は、成長するに伴い、塾やスポーツなどの習い事があったり、中学校に入学したら部活動があったりします。

面会交流については、事前に書面で面会交流の内容を取り決めておいた方がトラブルが少なくなります。面会交流の調停の場合には調停条項を作りますし、弁護士に頼んで面会交流についての合意書を作成してもらうことも考えられます。

面会交流の内容としては、基本的には月に1回ほど面会交流をすることになるかと思います。
子供が病気などで面会交流の日に会えないかもしれないので、そのような時を想定して速やかに振替の日時を決めるような状況を入れておいた方がいいです。
また、子供の受渡し場所については、夫が指定する場所で子供を引き渡せればよかと思います。
そして、夫が子供の学校行事などに参加したい場合には、参加できるような条項をもうけておいた方がいいですし、行事の写真やビデオなどを提供してもらうという条項ももうけておいた方が良いです。

 

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