養育費とは?
養育費の内容
子どもの養育(衣食住や教育)に必要な費用です。
すなわち、子どもが健やかに成長するために必要な費用でもあります。
まず、婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもは、父親の子どもと推定されます(民法772条1項)。そのため、父親と生まれた子どもの間には、法的な親子関係が生じます。父親も子どもを扶養する義務を負います。
もし、両親が離婚した場合であっても,父親と母親のがそれぞれの経済力に応じて養育費を分担していくことになります。
養育費の法的な根拠(養育費の分担について理解したいこと)
民法などの法律には、はっきりとした根拠の規定があるわけではありません。
一般的には、親は子どもが親自身と衣食住や教育などについて同程度の生活をすることができるように費用を負担する義務があるとされています(専門用語では、「生活保持義務」があるといいます)。
そして、離婚により子どもと別居し、親権や監護権を他方の親が有したとしても、両親それぞれの子どもに対する生活保持義務は消滅しません。
養育費の算出方法~算定表~
養育費ですが、お互いが合意をするのであれば、金額は自由です。
話し合いがつかないのであれば、算定表に基づいて算定をします。
裁判所の次のページに、基準となる表があります。
養育費を計算できるアプリ~べんとら~
養育費を簡単に計算できます。
スマートフォンの次のアプリです。
自営業の場合~年度によって収入に差がある場合~
離婚の調停中です。
独立して、コンサルタントをしております。
今年は、たまたま給付金などをもらい、年収が600万円でした。
しかし、一昨年は年収が400万円なのです。
今年は、たまたま年収が多かったので、一昨年の金額で算定表に基づいて養育費を算出して欲しいです。
一昨年の確定申告書を提出して良いでしょうか?
一昨年の確定申告書によると、養育費は月に3万~5万円ほどなので、5万円を主張しようと思います。
今年の確定申告書ですと、養育費は月に7万~8万円ほどになります。
妻が5万円で納得しなかったら、月7万円を主張しようと思うのですが。
最新の確定申告の提出が求められるでしょうから、そうすると、年収が600万円の方の確定申告書で算定がされそうですね。
しかし、給与所得者の場合、歩合給で変動が大きい場合は、ある月の給与明細だけではなく複数月の給与明細書の提出が必要ですね。この場合と同じく考え、年により収入の変動が大きいので、複数年で考えるべきと主張するのはどうですか。
すなわち、(一昨年+今年)÷2の金額に基づいて、養育費を算出して提案するのはどうですか?
なるほど。
その考えで提案をしてみます。
夫婦が別居をしている場合の心がまえ
子どもがいる夫婦が別居をしている場合についてです。
協議や調停などで話し合いをする場合について、養育費や面会交流などの話し合いも行われます。
子どもと一緒に生活している親は、養育費の増額のために、面会交流を交換条件とすることは控えるべきです。
養育費と面会交流は別です。
子どもにとっては、養育費と関係なく、面会交流が認められるべきです。
夫婦共に、子どもの視点にたって、話し合いをするべきです。
養育費の話し合いの流れ
協議離婚で、夫婦が養育費の取り決めをしなかった場合
協議離婚の場合ですが、養育費の取り決めをしている割合は約30%と低いです。
【夫婦の間】
協議離婚の際に、夫婦の間で、養育費を支払わないという取り決めをすること自体はできます。
【子どもと親との関係】
ただ、養育費は子どもが成長していくために必要なものです。
そこで、夫婦の間で養育費を支払わないと取り決めても、子どもは養育費の支払いを請求できます。
後日、あらためて養育費の取り決めができます。
養育費について、父母双方で話し合いがうまくいかない場合には、家庭裁判所に、調停を申し立てることになります。
養育費分担の調停の一般的な流れ
流れですが、まず調停の申立てのために必要な書類を作成します。この必要な書類は、裁判所のホームページから入手することができます。
そして、記載することがあらかじめ定められているので、記載をしてきます。具体的には、調停申し立ての動機や、申し立ての理由、収入の状況、住居の状況などを記載していきます。
調停の場では、調停委員が間にはいって、双方の意見をじっくり聞いて調整を図っていきます。そして、調停委員が解決案を提案したり、必要な提案をします。
養育費は子どもにかかわるので、調査官という家庭裁判所内の専門家が関与することもあります。
自身の生活状況、子どもの監護の状況、養育費の分担の取り決めの有無、これまでの支払い状況等について、話します。
次の資料に基づいて、お互いの収入額を確認していきます。
・源泉徴収票
・給与明細書
・確定申告書
・課税証明書
などです。
なお、給与明細を提出する場合は、直近の3か月分が必要です。また、給与や一時金などが分かる資料も必要です。
養育費を導き出すための算定表があります。
算定表は、簡単に迅速におおよその婚姻費用を算出するものです。
例えば、病気により多額の医療費を負担しているなどが挙げられます。
養育費ですが、毎月支払われる養育費の他に、特別費用があります。
そして、特別費用に関しては、医療費などの特別な出費については、互いに誠実に協議して決める、という条項を設ける場合があります。
しかし、例えば、子どもに軽度の知的障害にあり、毎月医療費がかかることが想定される場合があります。
この場合は、特別費用としてではなく、毎月支払われる養育費を加算することが考えられます。
そして、養育費を支払う側が、加算に同意をすれば、加算して養育費が支払われます。
一方、加算に同意をしなければ、加算を求める側が、どういう費用がかかるのか、その根拠の資料を調停で示すことになります。
おたがいに合意にいたれば、調停が成立します。
一方、おたがいが合意に至らなければ、調停は不成立となります。
そして、次のステージである審判手続にうつります。この審判手続において、裁判官が双方の主張をきき、判断を下すことになります。
子どもを育てている親が元夫(妻)に対して不義理をした場合、子供の養育の費用に影響はあるの?
事案
結婚をして、子供が2人できて平和な家族生活を送っていました。しかし、妻が勤めている会社の上司と不倫をしました。そして、不倫が夫に発覚し、夫婦げんかの末、妻は子供をつれて家をでて別居を始めました。
その後、妻は夫に対して、生活費(婚姻費用)と子供の養育費の請求を行いました。
親と子は別である
妻は不倫をしていたので、妻には責任があります。
しかし、子供には何の罪もありません。
そのため、子どもの養育費の請求をすることができます。
なお、生活費(婚姻費用)については詳しくは別のページであつかいますが、簡単にのべます。
夫婦であってお互いに協力する義務がある以上、生活費(婚姻費用)の請求はできます。
しかし、あきらかに妻に100%に近いといってよいほどの非があれば、認められないこともあります(専門用語では、権利の濫用で認められないと言われております)
一括払いと分割払いのどちらがよい?
養育費をもらう側
将来の支払に不安がある場合、一括払いの方が安心です。
今後、関わり合いをもちたくない場合には、一括払いの方が良いでしょう。
養育費を支払う側
一括払いの場合、何百万円とまとまったお金ですから、準備することがまず大変です。
また、相手が再婚した場合も考えなくてはなりません。
養育費の履行を確保するにはどうしたらいい?
養育費は、いくら取り決めをしたからといって、確実に養育費を支払ってもらうことがとても重要です。
相手が養育費を支払わない場合には、法律に定められた方法で支払を確保せざるをえません。
そして、法律では、以下の方法が定められています。
履行勧告・履行命令
裁判所から相手方に対して、養育費を支払うよう履行の勧告と履行の命令するよう申し立てることができます。
メリットは、手軽に申し立てられること、申立費用が不要、裁判所を通じて行うので相手に対して圧力となるなどがあげられます。
デメリットとしては、く、実効性に乏しい点です。相手方が応じない場合には強制執行をするしかありません。
強制執行
養育費が未払いとなった場合、毎月の支払い日が来る度に強制執行の申立てをするのは大変です。そのため、法は、養育費の未払いが発生したら、将来の養育費も含めて、強制執行の申立てをすることができるようにしています。
離婚した親の方へ~養育費の減額方法:離婚後の手続と条件~
次のページに記載をしております。
養育費に関するブログはこちらです
養育費に関するブログはこちらです。
参考になることや有益なことを意識して書いております。
良かったらお読みください。