新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
次の場面を念頭において、考えてみます。
事案
母:親権者
父:養育費を支払っている
子:母と同居
児童手当の受給と扶養控除の関係
児童手当の支給対象ですが、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方が対象となります。
(児童手当制度のご案内 内閣府)
児童手当が支給される場合、扶養控除はありません。
養育費を父が支払っていても、父は養育費の支払いを自分の扶養控除とすることはできません。
母も、児童手当の支給をうけている以上、扶養控除とすることはできません。
子の中学校卒業後~養育費の支払いは扶養控除とできる~
子が中学校を卒業すると、児童手当は支給されません。
そうすると、子を扶養している親は、扶養控除を受けられます。
なお、離婚している場合、扶養控除をうけられるのは、父親と母親のいずれかです。
そこで、子の扶養控除を父と母のいずれかにするかで、問題となることがあります。
父と母の話し合いが必要なことがある
父親が養育費を定期的に支払っている場合、子を扶養しているので扶養控除とすることができます。
ただし、離婚している場合は、扶養控除を受けられるのは父親と母親のいずれか一方です。
父と母が働いている場合、どちらも子を扶養親族として申告できます。
しかし、父と母のいずれもが申告した場合、どちらか一方しか扶養控除が認められません。
この場合、父と母のどちらが扶養控除が認められるか、問題となります。
次のページに、詳しく記載がされております。
父と母、いずれの扶養控除とするか、争いにならないために話し合っておくことが大切ですね。
親権と扶養控除は別
夫の扶養控除としても、妻の親権はかわりません。
扶養控除は、税務上の問題です。扶養控除により、所得税や住民税が減額されるのであり、親権には影響はありません。
養育費の一括支払いの場合
養育費を一括で支払う場合、一括支払後は扶養しているとはいえないとして、扶養控除は認められないです。
また、一括支払いの場合は、贈与税も問題となります。
そこで、父としては、扶養控除をうけるためには、毎月定期的に養育費を支払うべきです。
ただし、信託銀行に養育費を一括で信託して、信託銀行から毎月養育費を支払うという方法も考えられます。
この場合は、贈与税を考慮する必要がありません。かつ、毎月養育費が継続的に支払われているとして、扶養控除の対象とすることも可能なようです。
最後に
控除される税金の金額などによっては、扶養控除は無視できない事柄です。
母としては、扶養控除を父に譲る代わりに養育費の増額をえることも考えられます。
離婚に際しては、扶養控除も意識しておくと良いです。