弁護士の水谷真実です。
お友達にお金を貸したとします。
でも、お金を返してくれなくて、裁判になって勝ったとしますよね。
勝った場合、お金は戻ってくるのでしょうか?
強制執行をすれば、大丈夫なのでしょうか。
強制執行の効果や、お金を貸す前に注意することなどを書きます。
次の記事の続編となります。
裁判所に訴えるには相手の住所を知る必要がある
お金を返してくれない場合に、裁判所に訴えるとします。
しかし、相手の住所が分からないといけません。
相手の住所が分からないと、裁判所としては、どこに訴状などを送ればよいのか困ってしまいますよね。
住所が分からない場合には、相手の勤務先を対象とすることができます。
ただ、相手の勤務先に送らなくてはならないことを裁判所に説明しなくてはなりません。
手間がかかってしまいます。
貸す前に住所の確認を
お金を貸す場合には、貸す相手の自宅の住所を知っているか、自問してみましょう。
相手の住所が分からない場合には、相手に自宅の住所を確認しましょう。
裁判で勝ってもお金が返ってくるとは限らない
少額訴訟や支払督促を行い、裁判に勝ったとしましょう。
もしくは、相手と和解して、月々いくら支払うという分割払いの約束をしたとしましょう。
しかし、すんなりとお金が戻ってくるとはかぎりません。
裁判後に、相手がお金を支払うことを止めることが考えられます。
そうすると、次に、お金をとりもどすために、強制執行の手続をしなくてはなりません。
強制執行は大変
強制執行をするために、相手の財産(給料、預貯金、不動産など)を自分で探さなくてはなりません。
相手の預貯金を探し当てることは大変です。
どの銀行のどこの支店に預貯金があるか、調べないといけません。
そのため、強制執行しても、空振りになることがあります。
不動産も同様です。お金も手間もかかります。
このように、 強制執行の手続は、費用がかかるし、手間もかかります。
それぞれの執行官によって熱意や力量が異なる場合がある
強制執行をおこなうために、執行官が執行をおこなう場合があります。
執行官も、様々な方がいらっしゃいます。
基本的には、みなさん、的確に任務を行ってくれます。
ただ、強制執行に赴いた先が、たとえば危険な雰囲気のするお店とかですと、執行官も躊躇することがあります。
ですので、強制執行で執行官がおもむくことになった場合を想定してみましょう。
執行官が躊躇するなどするような状況にないか、事前に想定をしてみましょう。
そして、執行官でも回収が難しそうだなと思ったら、お金を貸すのは止めましょう。
強制執行のためにも相手の素性の確認を
お金を貸す場合には、将来、強制執行になることもあることを覚悟して貸すべきです。
そこで、強制執行になった場合に、きちんと相手の財産を差し押さえることができるかを事前に念頭におくべきです。
1番分かりやすいのは、相手の給料を差し押さえることができるかでしょう。
相手の勤務先が分かっていれば、給料を差し押さえられます。
相手が、長年会社で働いていれば、給料を差し押さえることは比較的容易でしょう。
見方をかえると、相手は給料を差押えられたくない、会社に知られたくないと思い、しっかりと返済するでしょう。
ですので、お金をかす場合には、相手の素性なども考慮にいれる必要があります。
相手が、きちんとお金を返す環境にいるかが大切ですね。
最後に
お金を貸して、返ってこなかったら裁判所に訴えれば安心、というわけでは決してありません。
強制執行を行っても、お金が返ってこないことはままあります。
お金を貸す場合には、よくよく考えて慎重に行動するべきです。