弁護士の水谷真実です。
子どもとの面会交流において、間接強制が問題となる場合があります。
そこで、間接強制について書きます。
【事例】
夫が暴力を振るったりするなどしたことから、離婚をして子供たちは妻側が引き取った。離婚後も夫が妻の自宅におしかけるなどしたが、警察が間にはいるなどして、なんとか解決をした。
養育費については夫から支払を定期的にうけている。
調停後に、子どもとの面会交流をどうするかについて話し合いがまとまらない。
面会交流の内容は具体的に定めるべきではない(状況によりけり)
面会交流については、裁判所の審判で、1か月に1回面会交流をみとめ、具体的な日時や場所や方法については、お互いに話し合いなさいと指示されました。
しかし、元夫は自分自身の勤務先や住所を明かしませんし、元夫が怖いです。そのため、面会交流についての具体的な日時や場所や方法についてお互いに話がまとまりませんでした。
悩ましいところだと思います。
元夫が自分自身の勤務先や住所を明かさない以上、たしかにお子さんの連れ去りが案じられます。
そこで、いくら裁判所の審判で面会交流を認めなさいと言われたとしても、勤務先や住所を明らかにしていないのに面会交流を認める必要はないです。
でも、元夫が間接強制というのですか、子どもとの面会交流を拒否するごとに制裁金を払うよう訴えてこないでしょうか。
今回の場合は、直ちに間接強制により制裁金を払うようにはなりません。
裁判所の審判で、具体的な日時や場所や方法については、お互いに話し合いなさいと指示されています。
たぶん、裁判所としては、裁判所が具体的な日時や場所や方法について一方的に決めるよりも、まずはお互いにしっかり話し合った方がいいと考えたのだと思います。
今回の場合、1か月に1度面会交流を認めるといっても、未だ、具体的に、いつ、どこで、どういう方法で面会を認めるか定まっていないので、お子さんを元夫に面会させようにもさせることができません。
そのため、面会交流を拒否するごとに制裁金を払うということに直ちにはなりません。
再度の面会交流についての調停における心構え
元夫が、あらためて裁判所に面会交流の申立てをして、面会交流の具体的な日時、場所、方法をきめるように求めてこないでしょうか。
元夫が求めてくることはありえます。
面会交流の具体的な日時、場所、方法についてお互いに話し合いがまとまらなかった以上、裁判所は面会交流の日時、場所、方法について具体的にこうしなさいと指示をする可能性は高いです。
元夫は、未だに自分自身の住所を明らかにしません。元夫が裁判所に面会交流の申立をしたら、申立書に元夫の住所が記載されているでしょうか?
必ずしも、申立書に元夫の住所が記載されているとはかぎりません。
今回のように離婚で男女間の問題の場合、相手方に住所を教えたくない人もいるので、裁判所としても第三者の住所を申立書に記載することを認めています。
では、もうどうしようもないのでしょうか。元夫が住所も勤務先も明らかにしませんし、過去には暴力も振るわれました。それなのに、子どもとの面会交流を認めたら、子どもが連れ去られたときに取り返せるか不安でしかたがありません。
その不安な気持ちを裁判所の審判で主張するべきです。
元夫が住所も勤務先も明らかにしない、過去に暴力を振るわれたという事情は、裁判官も十分に考慮するはずです。
裁判所は、子どもと直接会うという形での面会交流は認めないという判断をする可能性も十分ありますね。
最後に
面会交流は、自分自身だけの問題ではなくお子さんの将来もからんでくるとても重要な問題です。
いろいろ悩みがあるかと思いますが、相談されることで、これまで考えていたことと違った気づきがあったり、思い違いであったことが分かったり、心が軽くなったりするかと思います。
悩みをうちあけていただけたらと思います。