新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
自己破産の申立てにおいてです。
自己破産申立の際、預金が20万円を超えると全て没収されることになるので、注意が必要です。
自己破産開始決定時に、預金の合計が20万円を越えると、破産財団に組み入れられます。そして、預金の全てが、債権者への配当等に充てられます。
預金ですが、
・A銀行の預金
・B銀行の預金
・C銀行の預金
の合計の全てをあわせて、20万円を越えるかどうかで判断されます。
そして、少しでも越えると、全てが破産財団に組み込まれて、債権者への配当等に充てられます。
自己破産開始決定時に、預金の合計が20万100円だったとしても、すべて破産財団に組み込まれます。
100円だけが破産財団に組み込まれて、債権者への配当等に充てられるのではありません。
20万100円全てが対象となります。
そこで、自己破産開始決定時点の預金の残高には、気をつけるべきです。
自由財産の拡張の申立て
書くべきポイント
もし、自己破産開始決定時点で預貯金が20万円を越えていた場合には、裁判所に自由財産の拡張の申立てというものを行います。
申立ての内容としては、
〇月から〇月まで、〇円赤字になるので、手元にお金を残して欲しい
〇〇の理由で一定の期間赤字になるので、その期間分だけ申立人の手元にお金を残して欲しい
ということを裁判所に伝えることになります。
もし、同居している家族に収入があるならば、家族の方の収入との兼ね合いも伝えることになります。
家族は別の家計で、自己破産の申立てを知らないなどと説明します。
申立書の具体的な内容
申立書の内容としては、例えば、次のようなとおりです。
1.申立ての趣旨
自由財産の拡張を求める範囲について、
①預貯金
A銀行 口座番号××××× 〇〇円
B銀行 口座番号××××× 〇〇円
C銀行 口座番号××××× 〇〇円
②保険目録
D生命 証券番号××××× 〇〇円
である。
2.自由財産拡張の必要性
(1)現在の状況
申立人は、仕事はしており、収入は約☆☆円ほどです。所持金は約△△円ほどです。
支払いですが、
光熱費:約〇〇円(電気、ガス、水道)
食費: 約〇〇円(家族の昼食代含む)
家賃: 〇〇円
通信費:約〇〇円(電話、インターネット回線)
弁護士費用: 〇〇円(□月まで)
ほどで、他に生活用品費、医療費など月によって変わります。
今回、預金額が20万円を上回りましたが、賞与の金額が入金されたためです。
家族とは同居しておりますが、家族が自身で得た収入は自身の生活のために支出しております。
申立人には、所持金☆万円以外にめぼしい資産がありません。
預貯金の20万円ほどが自由財産とならない場合、令和〇年〇月は〇万円ほど赤字になり、令和〇年〇月以降は毎月〇万円ほどの赤字が数か月は続きます。
(2)結語
以上の次第であり、預貯金及び保険について、自由財産の拡張を認めていただくよう上申いたします。
という内容です。
申立書を管財人に提出すれば、管財人も意見書を別途作成して、裁判所に一緒に提出をします。
裁判所の判断
裁判所が管財人を通じて、自由財産として拡張が認められるか否か、結果を伝えてきます。
例えば、預貯金については自由財産としてそのまま利用して良い、保険については自由財産の拡張は不可なので、解約の手続を進める等です。
裁判所は、絶対、認めないという訳ではありません。
もしかしたら裁判官によるのかもしれませんが、柔軟に対応してくれます。
最後に
自己破産開始決定時に、預金の合計額が20万円を超えないことにこしたことはありません。
しかし、意図せず預金の合計額が20万円を越える場合もあります。
この場合は、代理人の弁護士に相談をして、自由財産の拡張の申立てを検討しましょう。