まこと法律事務所 MAKOTO LAW OFFICE

コラム

2018.12.14

共働きの妻から夫が財産分与を請求された場合

共働きの夫婦の財産分与のケース

事案

夫が妻と離婚の話となりました。 そして、妻が夫に対して、財産分与の請求をしてきました。
ただ、夫婦は共働きであり、妻はそれなりに収入があり、貯蓄もかなりの額をしています。
この場合、財産分与はどうなるのでしょうか。

 

夫婦が破局した場合の財産分与

 

財産分与の決め方

 

夫としては、財産分与の請求に応じなくてはいけないのか、応じる場合にはどのくらいの金額になるのか、注意するべき点は何かなどが気になるところだと思います。

 

 

財産分与は、 協議離婚の際に、夫婦相互の協議で、財産分与の額や、不動産がある場合にはどちらの所有にするかなど自由に決めることができます。

 

一方、裁判になった場合には、通常は双方が主張立証して、財産分与の具体的な内容を決めることになります。

 

財産分与については、民法に次の様に規定がされています。

 

(財産分与)

第768条

1.協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

2.前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。

3.前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

 

「家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」と規定されていることから、裁判所(裁判官)が様々な事情を考慮して、ある程度柔軟に財産分与の具体的な金額や内容などを決定します。

 

 

共働きの夫婦で妻が家事も仕事もこなしている場合の財産分与の寄与度・割合について

 

妻が家事のみならず仕事もこなしていたとします。
一方、夫は主に仕事に従事していたとします。

 

財産分与における寄与度は、夫婦が婚姻中の財産を形成するのにおいて、お互いがどのくらい寄与したかをというものです。

 

通常は、2分の1ルールといって、夫婦相互の寄与度は同じものだとみなされています。




そして、妻が仕事も家事もこなしていたとしても、2分の1ルールに基づいて、夫婦の婚姻中の共有財産については、夫婦相互が同じものだとみなされることが多いです。

この点については、上で述べたように、裁判所(裁判官)が様々な事情を考慮して、ある程度柔軟に財産分与の具体的な金額や内容などを決定していきます。

そこで、夫としては、寄与度は2分の1ずつと主張するのがいいかと思います。

もし、妻が自分は仕事も家事もこなしていたのだから、寄与分はより大きいと主張してきたら、夫としては、反論していくことになるでしょう。

 

事前に妻名義の財産を把握しておくこと

 

寄与分がどうなるかは気になるところではありますが、それ以前に、夫としては妻の財産をしっかりと把握しておくことが大切となってきます。

特に、結婚してもう長いこと夫婦として一緒に生活を送っている場合には、夫婦がお互いに知らない財産をそれぞれ築いていることがあります。

妻の財産の把握がわからない

 

そこで、夫としては、妻名義の財産を把握しておくことが大切です。

妻名義の財産であっても、夫婦が婚姻中に共同して築いた財産といえる場合が当然あるからです。

具体的には、家に届く郵便物等から把握できるでしょうし、妻との会話の中で妻名義の財産を把握することもできるでしょう。

郵便物からわかることがある

 

一般的には

・有価証券(株式など)

・預貯金

・不動産

・生命保険

などかと思います。

その他、 例えば妻が絵画や美術品や貴金属などが好きな場合には、そのような絵画や美術品も財産分与の対象となり得るでしょう。

 

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