司法試験に今年合格できなかった方へ~来年の受験に向けて~(平成30年9月11日(火)のブログです)

弁護士の水谷真実(@41bengo)です。
今年の司法試験の合格発表がありました。 私が合格したのは2011年なので、今から7年前のことです。

不合格だった方は、とてもがっかりしていて今後どうしたらいいのか、どういう勉強方法でやっていくのがいいのか考えていることと思います。

私の体験を交えて、不合格だった方が来年合格するためにどうしたらいいか書きたいと思います。 
傾向が変わっているかとは思うので、今、そのままあてはまるわけではないと思います。しかし、参考になればと思い、書きます。

1回目の試験

私は、1回目の受験の時は択一合格にほんのちょっと点数が足りなくて不合格でした。

旧司法試験をやっていたことから、新司法試験をとても甘くみていたことが大きかったと思います。

2回目の試験にむけて

そこで、2回目の試験には絶対に択一に落ちたくなかったので 択一の勉強を一生懸命やっていたと記憶しています。

そして、2回目の試験では、自己採点をして択一は合格はしました。

試験を受け終わっての感想

ただ、5月の試験が終わった後、論文試験について、できてるのかできてないのか全くわからない手応えでした。
全く分からないといういうより、嫌な感覚の方が高かったと思います。 そこで、5月の試験が終わってからはずっと部屋に閉じこもってぼーっとしていました。

そして、9月の合格発表の日がきましたが、私は不合格でした。

択一と論文の勉強は別です。当時は、択一の勉強を一生懸命やれば、論文試験に合格すると思っていましたが、全くそうではありませんでした。

3回目の試験に向けて

試験結果の通知はみませんでした

2回目の試験の9月の合格発表後、試験結果の通知が送られてきました。
もっとも、結果を知ることがとても怖くて、もしここで知ってしまってひどい点数だったら、これから次の年の試験までメンタルが持たないだろうと思いました。

そこで、99%の人は通知書を開封して結果をみるでしょうが、私は試験結果の通知書を開封しないで点数はみないままでした。

知人と一緒に考えて過去問を解くことにしました

そして、この時になってようやく、どうしたら合格できるんだろうと悩みました。
あと一回しか受験チャンスがないので、 自分一人では無理だなとも思いました。

そこで、同じロースクール出身の知人の受験生に声をかけて二人で考えました。
お互い、択一試験は受かっているので、論文試験に向けてどうしたらいいかを考えました。

二人で話し合い、とりあえず、新司法試験の論文の過去問を毎週解いてきて、お互いに答案をみせ合って検討するというものでした。
また、予備校の答練が終わった後に、お互いの答案を見せ合って講評をしようということになりました。

論文は書く試験だから書いて批評してもらうことが大切

当たり前といえば当たり前の勉強方法です。
でも、1回目と2回目の受験のときは、この当たり前の勉強をしていませんでした。

論文試験は、書く試験であるので、実際に普段から自分で書く必要があります。
そして、人に直接見てもらって直接コメントをもらうのはとても役立ったと思います。

また、過去問を題材にしたのも良かったです。

重点的な学習

その他に、自分なりに論文試験の過去問を分析しました。
過去問を分析したり、ロースクールの授業のレジュメを見返していると、出題のポイントがなんとなく分かってきます。

例えば、刑事訴訟法だと、毎年2問中1問は、これでもかというぐらい伝聞の問題がでてきていました。
そこで、ある程、絞って重点的に勉強しようと思いました。

以下では、科目別に、刑事訴訟法と憲法について書きたいと思います。

刑事訴訟法について

傾向

刑事訴訟法は、過去問を見ると伝聞の問題がたくさん出ていました。
そこで、伝聞の問題を重点的にやろうと思いました。
伝聞については、みんながとても苦手としているところです。
基本的な理解が間違っていたりする人がとても多いので、伝聞についてしっかり理解していれば他の受験生と差がつけられるのではないかと思いました。

勉強方法

そこで、伝聞を理解するためにいろいろ本を読んだり図書館で伝聞の受験生向きの論文を読んだりして覚えたり考えたりしました。
何回も何回もやって、でもよくわからない状況が続いたりとの繰り返しでした。

そうしたところ 、あるときおぼろげに理解することができました。
すなわち、伝聞については、
頭の中で常にその場の状況をイメージして思い浮かべること
①の状況下で、原供述者に反対尋問をして確認しなくてはいけない場面なのか(供述内容の真実性を確認する場面かどうか)

という基本的にはこの二つの視点で問題に当たれば大丈夫なのではないかと思いました(数年前の話なので、定かではないのですが、このような感じだったと思います)。

3回目の試験本番

本番の試験では、伝聞の問題が出てくれました。

伝聞については、覚えていることを書くのではなくて理解を示すことの方にものすごく比重が置かれていると思いました。

あちこち条文の要件を落としましたが、上の二つの視点をもとに、問題文で問題になりそうなところを自分なりに一つ一つ愚直に答案に書きました。多分、試験官の人には、よく理解してるんだなと思ってくれたと思います。

もう1つの捜査の問題は大きくはずした答案を書きましたが、伝聞ができていたので、十分合格答案だったと思います。

憲法について

憲法は、私は本試験は多分とってもいい点数だったと思います。
憲法で合格できたと言っても過言ではありません。

勉強方法

自分なりに、ロースクールの教材をやったり、論文試験の過去問を解いたり、模試の復習をしたりしました。

自分は、模試で1回だけ憲法で高得点を取ったことがありました。
なんでかなと思いましたが、当てはめなどで事実だけ書くのではなくきちんと評価も一緒に書いているのが良いのだろうと思いました。
評価とはいっても、自分が頭に浮かんだごく普通のことを評価として書いたものです。

本試験直前での出会い

その後、本試験の直前に東日本大震災が起こりましたが、吉野勲先生が応援のために仙台まで来ました。
そして、吉野先生が食事に連れて行ってくれて話しましたが、吉野先生の話を聞いて、難しく考える必要はない、シンプルな答案でいいんだと言うことに気づきました。

憲法で言うと、どんな答案でも三段論法でいいんだなと開き直ることができました
すなわち、自由権の問題なろうと、社会権の問題だろうと、 問題提起→規範→当てはめができていればいいんだと思いました。
とても、気が楽になったことを覚えております。

答案で書く際に意識をしたこと

三段論法の他に、ロースクールの時の山元一先生の試験の講評で、「対立利益ができていると答案には高い評価を与えることにした」と記載されていたことにも助けられました。

対立を意識するとはいっても、何も難しいことではなく、被告の立場で書くときに、被告側の気持ちになって反対論をしっかり書くということです。原告の気持ちを考慮せず、しっかりと被告になりきって書くということです。

本試験

私の時は、表現の自由VSプライバシーの対立の問題が出ました。
グーグルマップをモデルにしたような問題だったと思います。

いまにして思うと、問題との相性も良かったと思います。
以前に、グーグルマップ側の友達が、 Google map はプライバシーを侵害しないんだと言って強く主張していたのをちょっと聞いていたからです。
ですので、被告側の気持ちが理解できました。

本番では、三段論法対立をしっかり出すことを意識しました。
私は、事実に対する評価は普通にできていると思っていたので、この二つを意識しながら書きました。それだけでした。

まとめ

どのような人でも翌年合格できる可能性はある

私は、3回目の試験直前の4月に成績表を開いて点数を見ました。
論文の点数はひどいもので、論文試験で足切りされていました。

普通は、4月なんかにみず、成績表が届いた時点で点数を見て分析するものです。
一方、私の場合は、成績表が届いた時点でこの点数をみていたら、動揺して勉強に手がつかなかったかもしれません。

3回目の試験は、東日本大震災直後でしたし、精神的にこれ以上はちょっと持たないと思って、まだ準備が足りないなと思いながらも最後の3回目の試験を受けました。

そして、問題との相性もとても良かったのですが、合格することができました。

ですので、不合格、特にものすごく悪い点数で不合格だったとしても、翌年に合格する可能性はあります。

多分、適切に努力した人は合格できる試験だと思います。

私の場合は、知人と一緒に過去問を解いたことが良かったです。
また、出そうなところを重点的に勉強したのも良かったです(試験で出たのは、伝聞法則しかありませんでしたが)。

そして、小難しく考えずにシンプルな気持ちで試験に臨めたのも良かったです。
試験直前に、吉野勲先生に会っていなかったら、小難しく考えたままで試験に臨み、小難しい答案を書いて間違いなく不合格だったと思います。

あとは、もしまだ論文試験を受験して再現答案を作っていないのならば、再現答案を作った方がいいです。

本試験中本調子ではなくても合格できる

試験に不合格でも、すごく点数が悪かったとしても、どうか頑張ってください。
私は試験直前に、頭を小刻みに振るというチック症状が出て止まらなくなりましたが、その状態で試験に臨んでも大丈夫でした。

とても大変でしょうが、来年受験される方はどうか一生懸命頑張ってください。
応援しております。

まこと法律事務所

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士10年目の若手。離婚事件、一般民事事件、新大久保近辺に住む方々の事件、外国人の事件。ブログは主に仕事、その他気の向くままに。
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