不貞行為で慰謝料などの話になった場合、どこまで証拠が必要になるでしょうか。
次の具体例を元に、考えてみます。
夫がどうやら女性と浮気をしているようです。
妻はその女性に対して、不貞行為を理由に慰謝料請求等をしたいです。
この場合に、妻は、不貞行為の慰謝料を請求するために、どこまで証拠を集める必要があるでしょうか。
自己紹介ですが、新宿区に事務所がある、弁護士の水谷真実(⇒プロフィールはこちらです)です。
どこまで不貞行為の証拠が必要かですが、交渉段階か裁判段階かや、相手になにを求めているかなどにより、異なります。
証拠として考えられるもの
ここで、証拠についてです。
不貞行為の場合の証拠としては、次の証拠が考えられます。
①写真や動画
⇒ホテルに出入りする場面や、家に一緒にいる場面などの写真や動画などです。
②SNSのやりとり
⇒たとえばLINEで、性的なメッセージのやりとりが何度もなされているなどです。
③GPSの位置情報
④クレジットカードやSuicaなどの取引明細
⑤浮気現場を目的した人の証言
などが証拠として考えられます。
交渉段階(話し合いの段階)
裁判前の交渉・話し合いの段階についてです。
妻が、不貞相手の女性に対して慰謝料の請求をして、話し合う場合です。
この場合は、それほどしっかりした証拠ではなく、ある程度証拠があれば足りる場合があります。
話し合いの段階ですので、それほど厳密な証拠がなくても、お互いが納得すればそれで済むからです。
また、妻が不倫相手の女性にどのくらい求めているかによっても異なります。
例えば、妻は夫が女性と別れてくれればそれで良いと考えていたとします。
そこで、慰謝料を不倫相手の女性にあまり求めないとします。
妻は、慰謝料をあまり求めず、接触禁止条項がついた合意書を作成できれば良いと考えていました。
この場合はそれほど厳密な証拠がなくても合意に至る場合があります。
場合によっては、一切証拠を女性に見せなくても、女性が早く終わらせたいと考えて合意に至る場合も考えられます。
裁判にならないと証拠は開示しないと言って、慰謝料だけ請求する場合もあります。
この場合でも、女性に対しての心理的な圧力は相当なものになります。
裁判段階
裁判ですと、不貞行為についてしっかりした証拠が必要になります。
裁判は、裁判官が判断をします。
そのため、主張をしっかりする必要がありますし、主張を裏付ける証拠も必要です。
主張や証拠があいまいですと、裁判官に指摘されて敗訴したり、すぐに裁判が終わる可能性があります。
性的な関係があったことを直接裏付ける証拠ができればほしいところです。
裁判ですが、途中で和解の話し合いが行われることが多いです。
和解することもままあります。
まとめ
性的な関係を裏付ける証拠がなくとも、相手と話し合いはできます。
落とし所をどこにするのか、相手に何を求めるのか、事前に考えた方は良いです。
証拠が足りないのではないか、と過度に不安になる必要はありません。
弁護士は、交渉や裁判のプロですので、弁護士に相談してみるのも良いです。
どういうことを相手に求めるのか、今ある証拠で足りるか、足りないにしても自分の求めていることがかなうか、などについて相談すると良いです。