不倫慰謝料とは何だろう?
配偶者との不貞行為(不倫)により精神的苦痛をうけたことを理由として配偶者の不倫相手に対して行う慰謝料請求です。
まず、夫婦は婚姻をしたことにより、配偶者に対して貞操義務を負い、また、貞操義務を履行するように配偶者に対して請求できます。
そのため、不貞行為、すなわち、配偶者の一方と性行為をした者に対して、他方の配偶者は不法行為を理由に慰謝料請求をすることができます。
事前の準備~証拠の確保~
SNS
証拠は、SNS、例えばLINEのやりとり等だけでも大丈夫です。
メールなどのやりとりも証拠となります。
SNSで短時間で消える動画がありますが、消える前に保存する場合もあります。
なお、配偶者といえども、勝手に相手のスマートフォンなどをみることをするとトラブルになります。
家に同居していて、たまたまスマートフォンのロックが解除されていてみえたりすることはあるようです。
探偵
探偵に依頼し、不倫現場を写真や動画で撮影してもらうことが考えられます。
証拠の1つとなります。
なお、探偵については次のブログを書いております。参考になさって下さい。
弁護士の活用法
どのように証拠を確保したら良いか、相談するのが良いですね。
相手との交渉
相手に連絡をします。
電話で話すこともありますし、直接会うことも考えられます。
直接会う場合は、感情的にならないように、人の目のある場所、例えば喫茶店とかで会うことが考えられます。
そして、冷静に話し合うために、自分の親族や友人を同席させることが考えられます。
話し合いの場では、録音する人がおります。
録音しても、録音が後日証拠等で活用されることはあまりないです。
しかし、録音した内容を後日弁護士等に聞いてもらうことなどは考えられます。
話し合いの場では、できれば、相手の住所などを聞いて伝えてもらう方が良いです。
住所がわかれば、相手に書類等を送れるからです。
職場とかに書類等を送りたくないので、住所を伝えて欲しいと伝えれば、教えてくれるのではないでしょうか。
なお、あまり強く伝えると、脅迫とか恐喝とか言われかねません。
ですので、冷静に、手順を踏んで伝えるべきです。
弁護士の活用法
相手が慰謝料の支払いに応じない場合は、弁護士を通じて連絡することが考えられます。
弁護士を通じて書面を相手に郵送し、交渉することになります。
不貞行為を理由に夫婦の一方と性行為をした者に対して慰謝料請求ができるのは、どのような場合?
≪最高裁判所の判例≫
最高裁判所の判例は、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰藉する義務がある」としています。
すなわち、不貞行為を理由に第三者に対して慰謝料請求できる場合を広く認めています。
【具体例】
- 配偶者が強姦された場合
- 配偶者が第三者合意の上で肉体関係を持った場合
- 配偶者が浮気をして浮気相手から養育費を請求された場合に、逆に浮気相手の女性に対して不貞行為を理由に慰謝料請求
をする場合にも認められます。
夫婦の一方と肉体関係をもっても、不倫慰謝料を請求されない場合はどのような場合?
最高裁判所判例の考え方
【結論】
最高裁判所の判例は、婚姻生活のある夫婦の一方と肉体関係をもったとしても、肉体関係をもった当時既に婚姻関係が破綻をしていたときは、特段の事情がない限り、夫婦の一方と肉体関係を持った者は不倫慰謝料を請求されないとしています。
【理由】
その理由として、最高裁判例は、「婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、婚姻関係が既に破綻をしていた場合には、原則として、このような権利または法的保護に値する利益があるとはいえないから」と述べています。
すなわち、配偶者の一方と肉体関係を持つ行為は、夫婦の一方が他方に対して貞操義務を履行するように請求する権利を侵害するとしているのではなく、夫婦の婚姻生活を維持していくことを侵害するものだとしています。
婚姻関係が破綻していた場合とは?
調停や裁判になった際、主張や証拠に基づいて判断していきます。
【具体例】
別居後に夫婦の一方が第三者と肉体関係をもった場合
- 家庭内別居状態であったか
- いつ別居をしていたか
- 別居後夫婦間で連絡をとりあっていたか
等を主張して証拠も提出していくことになります。
夫婦の一方が第三者と同棲をした場合、第三者に対する不倫慰謝料はいつまで請求できるか(消滅時効の問題)
夫婦の婚姻生活が続いている場合の消滅時効
≪判例(最一小判平成6年1月20日)≫
【結論】
夫婦の一方が他方の配偶者と同棲をした第三者に対しての慰謝料請求権の消滅時効の開始時期は、同棲関係を知った時から進行するとしています。
判例は、同棲が終わったときからではなく同棲関係を知った時から消滅時効が進行するとしています。
【理由】
その理由としては、夫婦の一方が同棲関係を知った時点で精神的苦痛を被るので、第三者に対して慰謝料請求を認めるべきとしていると考えられます。
同棲により離婚に至った場合の消滅時効
≪判例(東京高判平成10年12月21日)≫
【結論】
夫婦の一方は、第三者が他方の配偶者と同棲することにより離婚することを余儀なくされた場合、第三者に対して離婚をしたことによる精神的苦痛をうけたことを理由とする損害賠償請求は、離婚成立時から消滅時効が進行するとしています。
【理由】
その理由としては、離婚をしたことによる損害は離婚が成立したときにはじめて離婚による「損害・・・を知った時」(民法724条)といえるからです。
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