外国籍の相手と婚姻届を出したものの同居実態はなく、直後から音信不通となっていたご依頼者の方のケースです。
出入国在留管理局への弁護士会照会などを通じて所在調査を徹底的に行い、公示送達による裁判手続きを経て無事に離婚判決を獲得・確定させました。
依頼に至る経緯
依頼者の方は、以前から東京にお住まいでした。 約20年ほど前、当時は生活が苦しいなど様々な事情が重なり、外国籍の女性と婚姻届を提出することになりました。
結婚前はその女性と日本で一緒に暮らす約束をしていましたが、籍を入れても女性が同居に応じることはなく、そのうちに全く連絡が取れなくなってしまいました。 実態としての共同生活は一日もないまま、20年以上もの年月が流れていました。
その後、ご依頼者の方は真面目にお仕事を続け、生活の基盤をしっかりと築いてこられました。そして最近になり、新しく人生を共に歩みたいと思える大切な方と出会い、「再婚して新しい一歩を踏み出したい」と強く願うようになりました。
しかし、戸籍上は当時の女性と婚姻関係が続いたままです。 相手の居場所も分からず、直接話し合うことも、離婚届にサインをもらうこともできません。
ご相談に来られた際は、ご親族の方も一緒にいらっしゃいました。 過去のやむを得ない事情を真摯に受け止めつつ、今は前を向いて実直に生活されているご様子を拝見し、「なんとか過去の清算をして、新しい人生を安心してスタートさせてあげたい」と強く感じました。

自分でも色々と調べましたが、相手がどこにいるかも分からず、離婚までにどんな手続きが必要なのか見当もつきませんでした。自分ひとりではどうにもならないと思い、相談しました。
弁護活動
裁判所での手続(離婚調停から裁判への移行)
まずは管轄の家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。 しかし、20年前の特殊な経緯であり、かつ相手方の所在が完全に不明という事案だったため、裁判所の担当書記官の方も「どう手続きを進めるべきか」と頭を悩ませている様子でした。
相手が出頭する見込みが全くない調停を長引かせても意味がありません。そこで状況を迅速に見極め、速やかに調停を不成立として「離婚裁判(訴訟)」へと舵を切りました。
離婚の裁判と「公示送達」のハードル
相手の居場所が分からず、訴状などの裁判書類を直接届けることができない場合でも、一定の条件を満たせば裁判を進められる「公示送達」という制度があります。
ただし、公示送達を裁判所に認めてもらうためには、「考え得る限りの調査を尽くしたが、それでも居場所が分からなかった」ということを客観的に立証しなければなりません。 相手が日本人の場合であれば住民票や戸籍の附票を追うことができますが、外国籍の方の場合はそれだけでは通用しません。
そこで、弁護士会照会を活用し、東京出入国在留管理局に対して照会をかけるなどしました。 入管への照会ですが、書面の記載内容や質問事項に少しでも不備や曖昧な点があると、適切な回答が得られないことがあります。そのため、専門書や実務資料を入念に調べ上げ、ミスや漏れのないよう細心の注意を払って照会書面を作成しました。
また、婚姻に至った経緯についても、裁判所に余計な先入観や誤解を持たれないよう、「当時のやむを得ない事情」や「依頼者の方に落ち度がないこと」などを丁寧かつ正確に書面にまとめ、主張・立証を重ねていきました。
解決
裁判所は、長く連絡が取れず、共同生活もない状態が続いていたことなどを踏まえ、離婚を認める判決を出しました。その後、判決は確定しました。
約7か月ほどで解決となりました。

良かったです。ほっとしております。
これで気持ちを前向きにして、次の人生に進んでいきます。

本当に良かったです。
今回は相手の方が全くどこにいるか分からない状況でした。
相手と揉めることなくスムーズに離婚できたので良かったです。
昔、結婚したときはご事情があったことだと思います。
今は、一生懸命働かれて、前向きに生活をされているので、なんとか力になりたいと思いました。
前に進めるお手伝いができて、本当に良かったです。
※個人や事案が特定されないよう、時期・経緯などを省略・抽象化しています。
