まこと法律事務所 MAKOTO LAW OFFICE

コラム

2018.12.14

再婚後を意識しての離婚時の面会交流の合意の心構えと再婚後の対応

離婚時の面会交流の取り決めと将来の再婚の関係について

 

はじめに

面会交流とは、離婚後に子供と離れて暮らすことになった一方の親が、 子供と面会したり交流をすることです。

面会交流については、民法に次のように規定をしています。

 

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条
1.父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2.前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3.家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4.前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

 

 

再婚後における、子供と再婚相手との関係性

養子縁組をしない場合

 

再婚をしても、自動的に子供と再婚相手との間になにか法的な効果が発生するというわけではありません。

再婚をした場合、婚姻届を役所に提出することで再婚をした者同士は同じ戸籍に入ります 。
しかし、子供は当然には同じ戸籍になるというわけではなく、養子縁組などをしなくては同じ戸籍にはなりません。

養子縁組をする場合

再婚相手が子供と養子縁組をすることにより、養子縁組に伴う法的な効果が発生します。

 

(親権者)

第818条

成年に達しない子は、父母の親権に服する。

子が養子であるときは、養親の親権に服する。

親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

 

例えば、養親との間に

・相続権の発生

・ 扶養義務の発生

・養親の親権者となる(子供が未成年者の場合)

などの法的効果が新たに発生します。

 

なお、養子縁組は、新たに養親となった親との間の法的な関係が発生するものであり、子供と実の親との関係性はなくなりません

また、養子縁組については、離婚をしたもう一方の親の同意は必要ではありません。

ただし、未成年者の子供を養子とする場合には、家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

 

再婚の可能性を考慮に入れた面会交流の取り決めの必要性

離婚の際のしっかりとした話し合い

子供が再婚相手との間で養子縁組をしても、実の親との間の関係性はなくなりません。

そのため、 再婚後に子供が養子縁組をしても、一方の親は子供と面会交流ができます。


ただ、子供にとっては実の親と養親と2人いることになります。
そこで、離婚する前に、子供の将来を考えて、再婚がなされることを視野に入れてお互いに取り決めをした方があとあとトラブルにはなりません。

 

特に、離婚する夫婦が若く、子供が幼い場合には尚更と言えるでしょう。



具体的には、夫婦が離婚をする際の子供の面会交流の取り決めの際に、将来の面会交流についてしっかりとお互い納得するまで話し合うことができればと良いです。

将来、再婚することになって子供が再婚相手との間で養子縁組をした場合には、取り決めた面会交流の内容について、子供の福祉の観点から、見直すことを約束するという取り決め(条項)をもうけるといいでしょう。

なお、実際に面会交流する場合において心がけることは

・子供の予定を大事にする

・子供が子供らしく生活できるようにする

・子供に誠実に対応して約束したことは守る

・プレゼントは子供の年齢や成長に合わせたものとする

・子供との関係を大事にして親同士の間の事柄を持ち込まない

・相手の親のことを子供に聞かない

・子供の気持ちを大切にして子供のペースに合わせて面会交流する

などです。


そのため、面会交流の取り決めをする際には、心がけるべきこれらの事柄を意識しながら、再婚する場合の新たな見直しについて相手にしっかりと納得してもらうことが大事かと思います。

間接強制への対処方法

 

再婚後に子供が養子縁組をしても、一方の親は子供と面会交流ができます。

面会交流を一切出来なくするという合意は無効です。

そのため、再婚を意識して面会交流について合意をするとしても、「再婚をしたら面会交流について見直す」というぐらいにしかできないかと思います。

 

一方、再婚後に一方の親が子供と面会や交流を継続して行おうとする可能性があります。

そのための手段として、家庭裁判所に間接強制の訴えを起こしてくるかもしれません。

 

ここで、間接強制とは、義務を履行しない義務者に対して、一定期間内に義務の履行をしなければ金銭を支払わせるというものです。

 

例えば、面会交流の合意を1回違反するごとに金5万円を支払うなどです。

 

そこで、間接強制が将来なされる可能性があることを念頭において、離婚する場合に面会交流についての合意をしておくべきです。

具体的には、間接強制をできなくするためには、面会交流の合意を抽象的な内容にしておくことが求められます。

 

例えば、「 面会交流を毎月1回程度行うことにするとして、 面会交流の具体的な日時や場所や方法については別途お互いの協議で決定する。」

という内容とする場合です。

 

この場合だと、離婚する義務の内容が抽象的であり、間接強制をすることができません。

 

 

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