慰謝料請求をされた場合

Q 慰謝料請求をされた場合

 突如として配偶者や不倫相手の配偶者から慰謝料請求される場合もありますが、事前に慰謝料請求されるかもと思うことも多いのではないでしょうか。
 その場合、慰謝料請求されないためにどうしたらいいか考えるでしょうし、慰謝料請求された場合に備えて反論の準備を考えるでしょう。
 慰謝料請求の調停がなされたら、調停に出席するのかしないのかを含めて、対応を考えなくてはなりません。

Q 慰謝料請求が認められる期間

 慰謝料請求の消滅時効ですが、離婚の場合は離婚成立後3年で消滅時効にかかります。また、不倫の場合は、不倫をされた側の配偶者が不倫の事実を不倫の相手方を知ったときから3年で慰謝料請求権は消滅時効にかかります。
 そのため、相手に慰謝料請求の訴えを起こされないようにして3年の慰謝料請求の消滅時効を待つことも考えられます。

Q 離婚をしていないのに、配偶者の一方が第三者と同居をしたり肉体関係を行った場合

 配偶者との関係が悪化して離婚にいたる場合には、不貞行為を行った配偶者および第三者は、それぞれ慰謝料請求をされる場合があります。
 ただし、婚姻関係が破綻していた場合には、特段の事情のない限り第三者には責任がなく、慰謝料請求は認められません。
 では、次の事案で具体的に考えてみましょう。

【事案】

 結婚して30年。子供が2人いて、子供達は既に成人をしています。約2年前に妻は別居を開始しました。その後、夫は東京から東北地方に単身赴任しました。そして、その単身赴任してから半年後に、仕事を通じて女性と出会いました。妻とは、既に4年前から家庭内別居状態であったので、いずれ離婚をするとおもっていたので、女性と交際をするようになり、同居を開始しました。
 その後、2年ほど女性と同居をしましたが、単身赴任が終わって東京に戻ってくるのをきっかけに女性とは疎遠になりました。一方、妻とも疎遠状態であったので、東京に戻ってからも妻とは別居状態が続きました。
 そこで、妻は夫に対して離婚に伴う慰謝料請求をすると共に、女性に対しても慰謝料請求の訴えを提起しました。

妻が別居を開始し夫が単身赴任したことにより、婚姻関係が破綻したといえ、女性は責任を負わないのでしょうか

 まず、裁判所は、夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、婚姻関係が破綻していた場合は別として、配偶者を誘惑したかどうか、配偶者との間で自然の愛情が生じて肉体関係に至ったかを問わず、不倫による慰謝料請求を認めています。すなわち、不貞行為を理由に第三者に対して慰謝料請求できる場合を広く認めています。
 そして、本事案の場合、裁判所から直ちに婚姻関係が破綻したとはいえないと認定される可能性があります。妻側としては、一時的に別居を開始して、また戻ってくる予定だったと主張してくるかもしれません。また、婚姻生活が約30年と長期である一方、妻との別居期間は2年と短いことから、夫と女性が交際した当時、婚姻関係が破綻していたとまではいえないと認定される可能性があります。
 そこで、女性側としては、婚姻関係が破綻をしていたといえるための主張や立証をしていくことになります。

不倫相手の女性はいくら慰謝料を支払うことになるのでしょうか

 裁判官は、訴訟における全ての事情を考慮して慰謝料の金額を決定します。
 本件の場合だと、女性との交際が原因で夫婦が離婚にいたったとされて、100~200万円ほどの慰謝料を支払えという判決になるかもしれません。
 そこで、女性側としては、交際を開始した時点では夫婦関係は冷え切っていたことなどを主張および立証することが必要になります。
 また、女性としては、できれば夫と協力して、夫からいろいろ事情を聞くと有利に訴訟を進めていくことができるかと思います。

夫は妻に対して慰謝料を支払うことになるのか、支払う場合はいくらになるのでしょうか

 夫としては、同居をしていたときは家庭内別居状態であり、婚姻関係が既に破綻をしていたことなどを主張することになるでしょう。
 なお、財産分与も一緒に争われている場合、裁判所としては、夫から妻への財産分与の額を考慮にいれて、慰謝料の額を決定することが考えられます。

Q 慰謝料請求で認められる金額

 慰謝料請求の訴えを裁判所に提起されると、不安に思うかもしれません。訴える側は、高額の慰謝料請求をしてくることがよくあるからです。
 しかし、訴える側の慰謝料の金額がそのまま全額認められることは滅多にありません。何故なら、訴える側に請求している金額の慰謝料が存在することを立証する責任があるからです。また、反論の主張や証拠を提出することで、慰謝料請求をする側の落ち度などが明らかにされることもあげられます。
 日本は、依然として慰謝料として認められる金額は低いままです。慰謝料を認められた人の金額ですが、100万円以下が約25%、100万円から200万円が約25%、200万円から300万円が約25%です。このことから分かるように、よほどの事情がない限り、慰謝料請求は認められても300万円です。

Q 慰謝料請求だけが絶対ではありません

 相手方との離婚において実際に裁判になった場合には、慰謝料だけの話にとどまらないことが多いです。例えば、財産分与をどうするか、所有している不動産をどちらの所有にするかなど、他の事情が絡んできます。
 そこで、自分が何を1番重視するかを元に、戦略的に考えることが必要といえるでしょう。

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