妻と離婚したいんです。妻には愛情はありません。
ただ、自分は有責配偶者です。不倫をしていました。
そのため、妻と離婚したいんですけど、なかなかできません。
妻は、離婚の条件に、高額の財産分与を要求してきています。
このまま、ずっと離婚できないかもしれません。
その間に、自分が亡くなったらと思うと、不安です。
現在の妻と子に財産をできるだけ残したくありません
今、交際している女性や、生まれる子に相続させたいです。
まだ、何十年も先のことだと思うので、心配しすぎかと思います。
しかし、今からどう対応するのが良いか、考えるのは良いですね。
遺言、排除や欠格などの方法があります。
具体的に、順番に考えていきましょう。
欠格や排除
欠格
相続人に欠格の事由があれば、相続させないことができます。
民法には、次のように規定されています。
(相続人の欠格事由)
引用元:e-GOV法令検索(民法)
民法第八百九十一条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
妻は、不倫をした私をすごく責めてきます。
様々な嫌がらせをしてきます。犯罪に近いこともしてきます。
しかし、欠格事由にはあたらなさそうですね。
欠格事由は、かなり限定されていますね。
欠格事由にあたる場合は、たしかになかなかなさそうですね。
廃除
廃除にあたれば、相続させないことができます。
民法には、次のように規定されています。
(推定相続人の廃除)
引用元:e-GOV法令検索(民法)
民法第八百九十二条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
欠格よりは、廃除の方が私の場合は認められやすいかなとは思います。
妻から、散々暴言や嫌がらせなど犯罪に近い行為をされてきたので。
廃除にあたるには、証拠が必要になります。
廃除が認められる要件も、それなりに厳しい要件です。
ですので、廃除を考えているのであれば、将来の裁判に備えて、日頃から証拠を集めておくことになりますね。
遺言
遺言はどうでしょうか。
公正証書遺言とかで、妻と子には相続させないように遺言しようかと思うのですが。
遺言は、大切ですね。
将来のトラブル防止のために、遺言書を作成しておくことは大切です。
遺言で、奥さんとお子さんに相続させないという内容の遺言もできます。
ただ、亡くなった後に、奥さんとお子さんが、遺留分を主張してくる可能性があります。
奥さんは、多額の財産分与を請求してきていますよね。そうすると、遺留分の主張をしてくることは十分考えられますね。
遺留分について
遺留分は、遺言によっても、守られるべき最低限の財産です。
遺留分については、次のページに記載しております。
遺言の問題点
遺言書には、必須ではないですが、相続させる財産を記載します。
目録を作成する場合もあります。
そうすると、遺言書に財産が記載されている場合、相続となるべき財産が判明します。
また、遺言は、被相続人が亡くなった後、本件でいうと、離婚して相続させたくない今の妻と子と、将来の妻と子との間の問題となります。
遺言を巡る紛争で、将来の妻や子が争いを望まないかもしれません。
遺留分の放棄
遺留分については、遺留分の放棄をしてもらうことが考えられます。
家庭裁判所に、遺留分放棄の許可の申立てを行う必要があります。
次の条文に規定されております。
(遺留分の放棄)
引用元:e-GOV法令検索(民法)
民法第千四十九条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
(審判事項)
引用元:e-GOV法令検索(家事事件手続法)
家事事件手続法第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。
別表第一百十
遺留分の放棄についての許可 民法第千四十九条第一項
妻に遺留分の放棄をしてもらうには、まず妻と話し合い、妻が遺留分放棄をすることに納得してもらう必要があります。
納得してもらったら、遺留分を放棄する内容の合意書を作成し、その後、妻が遺留分の放棄の許可の申立てを家庭裁判所に対して行うことになります。
なお、遺留分の放棄がなされても、妻の相続権は無くなりません。
そこで、遺言も活用することになります。
自分が生きている間に積極的に財産を譲渡する
自分が生きている間に、相続や遺言の対象となる財産を積極的に譲渡することが考えられます。
例えば、新たな妻やその子に、沢山お金を支出することが考えられます。
子の教育費などにお金を支出することが考えられます。
また、少しずつ生前贈与をすることも考えられます。
なお、亡くなって相続が発生したときに、離婚して相続させたくない今の妻や子からは、特別受益の主張をされる可能性があります。
しかし、特別受益の場合は、特別受益があったかを立証しなくてはなりません。そのため、離婚して相続させたくない今の妻や子は、特別受益の主張をしないことも考えられます。
最後に
どのように対策をたてたらよいかは、弁護士や税理士など専門家に相談してみましょう。