遺留分とはなにか
遺留分ですが、遺言書があるときに問題となることがあります。
また、生前贈与がなされているときにも、問題となることがあります。
遺留分ですが、亡くなった人の相続人(兄弟姉妹を除きます)を保護するための制度です。
亡くなった人が、生前贈与や遺言を行っても、一定額の遺産が遺留分として保護されます。
遺留分で注意すること
遺留分は、法定相続人のうち配偶者、子(および孫)及び直系尊属に認められています。
亡くなった人の兄弟姉妹には認められていません。
民法には、次のとおり規定されております。
(遺留分の帰属及びその割合)
引用元:e-GOV法令検索
第千四十二条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。
消滅時効
遺留分侵害請求をする場合、消滅時効を意識する必要があります。
民法には、次のように規定しております。
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
引用元:e-GOV法令検索
民法第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
遺留分を主張できる人が、相続の開始と遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知れば、その時から1年で消滅時効となってしまうのです。
1年は短いです。
例えば、次のような状況があれば、消滅時効が進行します。
そして、1年たてば消滅時効になる可能性があります。
- 亡くなった父の遺言書が発見されたという事で、子ども達でその遺言書を皆で確認した
- 遺言書の検認の手続が裁判所になされた
ですので、相続があったときは、相続人は、とりあえず、遺留分侵害を主張する書面を内容証明郵便で郵送すると良いです。
弁護士の活用のしどころ
内容証明郵便は、弁護士に作成してもらうと良いです。
生前贈与は期間制限がある
生前贈与に対する遺留分ですが、期間制限があります。
相続人以外に対する生前贈与
相続開始前の1年間以内になされた生前贈与に限られます
相続人に対する生前贈与
相続開始前の10年間以内になされた生前贈与に限られます
ただし、「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは」この制限がありません。
無制限となります。
民法第千四十四条 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
引用元:e-GOV法令検索
2 第九百四条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。
遺留分侵害額請求(調停)
遺留分を侵害されたとして、侵害した相続人に請求しても、応じてくれるとはかぎりません。
むしろ、音信不通になったりして、逃げに徹する場合があります。
この場合は、家庭裁判所にまず調停を申し立てることになります。
まず、家庭裁判所に調停の申し立てを行います(調停前置主義)。
申立人の住所がある家庭裁判所ではなく、相手の住所がある家庭裁判所に申立てを行います。