保護命令の申立て

配偶者などから暴力や脅迫行為があった場合に、裁判所に対して、保護命令の申立てを行うことが考えられます。

令和6年4月1日からDV防止法が改正され、保護命令の対象となる脅迫の範囲が広がるなど、制度が拡充されました。

保護命令で申し立てられる内容

保護命令の申立てですが、次の命令の申立てを行うことができます。

接近禁止命令

相手に、自分が住んでいる住居や勤務先等に接近することを禁止する命令の申立てを行います。

具体的には、申立人の身辺につきまとったり、住居や勤務先などの付近をはいかいしたりすることを禁止するものです。

命令の期間は、従来の6か月から1年間に延長されました。

退去命令

相手が居住している住居から、一時的に退去をさせます。相手と同居していた家から避難後に、家に自分の私物をとりに行きたい場合があります。
その際に、退去等命令の申立てを行うことが考えられます。

退去等命令は、相手に対して、住居から退去すること及びその住居の付近をはいかいしないことを命じるものです。

命令の期間は原則2か月間ですが、住居の所有者又は賃借人が申立人のみである場合には、申立てにより6か月間とすることができます。

なお、退去等命令は、接近禁止命令が出ていなくても、単独で申し立てることができます。

子への接近禁止命令

子どもに接近することを禁止する命令を申し立てます。
なお、申立人への接近禁止命令と同時か、すでに出ている場合に限ります。

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(通称DV防止法)の10条3項から、次の場合が想定されます。
配偶者と別居をしている際に、配偶者が子どもを連れ戻すと疑うに足りる言動を行いました。そのため、やむを得ず配偶者と話し合いのために面会することを余儀なくされそうです。しかし、面会の際に、配偶者から生命又は身体に危害を加えられるおそれがあります。
そこで、配偶者と面会しなくてもすむように、子への接近禁止命令の申立てを裁判所に行うことができます。

この命令は、申立人と同居している未成年の子が対象です。子どもが15歳以上の場合には、子どもの同意が必要になります。

命令の期間は、申立人への接近禁止命令の効力が生じている間です。

(保護命令)
第十条3 第一項本文に規定する場合において、被害者がその成年に達しない子(以下この項及び次項並びに第十二条第一項第三号において単に「子」という。)と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第一項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、当該子の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)、就学する学校その他の場所において当該子の身辺につきまとい、又は当該子の住居、就学する学校その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。ただし、当該子が十五歳以上であるときは、その同意がある場合に限る。

引用元:e-GOV法令検索(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)

親族等への接近禁止命令

親族などへの接近禁止命令の申立てを行うこともできます。

なお、接近禁止命令と同時かすでにでている場合に限ります。

例えば、配偶者が申立人の親族の住居に押しかけるなどして、申立人が親族のことで配偶者と面会せざるを得なくなるおそれがある場合に、申し立てることが考えられます。

対象となる親族等の同意が必要となる場合があります。

命令の期間は、申立人への接近禁止命令の効力が生じている間です。

保護命令
第十条4 第一項本文に規定する場合において、配偶者が被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者(被害者と同居している子及び配偶者と同居している者を除く。以下この項及び次項並びに第十二条第一項第四号において「親族等」という。)の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第一項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、当該親族等の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において当該親族等の身辺につきまとい、又は当該親族等の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

引用元:e-GOV法令検索(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)

申立人への電話等禁止命令

電話等禁止命令の申立てを行うこともできます。

なお、接近禁止命令と同時かすでにでている場合に限ります。

電話等禁止命令では、無言電話や連続した電話、面会の要求など、法律で定められた行為を禁止することができます。

令和6年4月の改正により、SNS等による連続したメッセージの送信、深夜早朝のSNS等の送信、GPSによる位置情報の無断取得なども禁止行為に追加されました。

子への電話等禁止命令

令和6年4月の改正により、新たに設けられた制度です。

申立人と同居している未成年の子に対して、無言電話や連続した電話・SNS等の送信、GPSによる位置情報の無断取得など、法律で定められた行為を禁止する命令です。

子への接近禁止命令と同様に、申立人への接近禁止命令と同時か、すでに出ている場合に申し立てることができます。

子どもが15歳以上の場合には、子どもの同意が必要です。

申立てを行うことができる者について

・婚姻した夫婦
・事実上の夫婦
・生活の本拠を共にする交際相手(同居している恋人など)
です。

恋人同士の場合は、申立てをできません。
単に交際しているだけで、生活の本拠を共にしていない恋人同士の場合は、DV防止法に基づく保護命令の申立てはできません。

夫婦関係を解消した後であっても、婚姻中に暴力や脅迫を受け、その後も元配偶者から暴力等を受けるおそれがある場合には、申立てができることがあります。

また、令和6年4月の改正により、接近禁止命令については、生命や身体に対する脅迫だけでなく、自由、名誉、財産に対する脅迫も対象となりました。

例えば、外出を妨げるために脅したり、性的な画像を公開すると脅したりする場合などです。

もっとも、脅迫を受けたからといって、必ず保護命令が認められるわけではありません。更なる暴力等により、生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいことなどが必要です。

なお、退去等命令については、接近禁止命令とは異なる要件が定められています。

改正されました(令和6年4月施行)

以上について、保護命令が認められる範囲が拡大したり、違反をした場合の厳罰化がなされました。

主な改正内容は、次のとおりです。
・接近禁止命令の対象となる脅迫の範囲が拡大
・子への電話等禁止命令を新設
・接近禁止命令の期間を6か月から1年間に延長
・一定の場合に退去等命令の期間を6か月とする制度を新設
・保護命令違反の罰則を2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金に引上げ


詳しくは、次のページに記載をしております。ご参照ください。

参考になるサイトなどについて

申立ての書式は、裁判所のページにあります。

東京地方裁判所:保護命令(電子申立て不可)

なお、保護命令の申立てにあたっては、原則として、事前に配偶者暴力相談支援センター又は警察署に行き、暴力等を受けた事情について相談し、援助又は保護を求めておく必要があります。

これらの機関に事前相談をしていない場合には、公証人による宣誓供述書を作成する方法もあります。

ウィキペディアの「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のページは、コンパクトにまとまっていて、読みやすいです。


弁護士費用の目安

着手金
11万円(税別10万円)~
報酬金
16万5000円(税別15万円)~
  • 申立ての内容により、多少金額が変動することがあります。詳しくは、お話をして状況を踏まえて決めたいです。
まこと法律事務所

【初回相談無料】悩まれているならご連絡ください

事務所の電話番号は、こちらです。
電話番号:03-6279-3177