次のようなお悩みをお持ちの方はご相談下さい
- 親類と疎遠なので、相続についてどうなっているのかよく分からない
- 相続人の1人の弁護士が通知書を送ってきたがどうしたものか
- 親族と疎遠だが、預金等の凍結解除のために協力を求められている
ご身内の方が亡くなられて、相続が行われます。
スムーズに相続が行われる場合はもちろんあります。
一方、相続人の仲が良くなかったり、遠方に居住していて疎遠の場合があります。
そのため、遺産分割で争いになることがあります。
遺産分割の話し合いは、時間がかかりがちです。
遺言書はあるのか、遺産を隠している相続人はいないか、相続財産をどのように分割するかなどのために、時間がかかります。
遺産分割協議とはなにか
遺産分割ですが、民法には次のように規定されております。
(遺産の分割の基準)
引用元:e-GOV法令検索
民法第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
そして、遺産分割の協議については、いつでもできます。
遺産の全部についても、一部についても、分割をすることができます。
(遺産の分割の協議又は審判等)
引用元:e-GOV法令検索
第九百七条
1項 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
遺産分割の協議ですが、相続人全員の参加が必要となります。
1人でも相続人が欠けていると、遺産分割の協議の結果が無効となります。
次に、遺産分割協議の結果を書面に残すことは義務ではありません。
しかし、遺産分割協議書という形で書面に残しておかないと、例えば、相続による不動産の名義変更ができない場合が生じます。
将来のトラブル防止のためにも、遺産分割協議書を作成しておく方が良いです。
次に、相続開始後、いつ行っても大丈夫です。
時効はありません。
次に、相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に、相続税の申告をしなくてはなりません。
遺産分割を10か月以内に行えば、特例の適用をうけることができます。
遺産分割の解決への流れ
相続人を確定させる
戸籍謄本などで、確認ができます。
相続財産を確定させる
相続財産としては、一般的には
- 不動産
- 預貯金
- 保険金
- 株式
- 車・バイク
- 宝石や美術品
などです。
不動産について
不動産を売却して売却代金を相続人で分かることができます。
相続人の1人が、不動産を所有することもできます。
この場合は、不動産業者さんに不動産の簡易査定をしてもらいます。そして、おおよその売却価格を示してもらい、遺産分割する際の目安とします。
共有とすることもできます。
農地について
農地の場合ですが、市街化調整区域外の場合、すなわち建物等を建てることができる場合は、不動産会社さんは査定ができます。
しかし、市街化調整区域の場合、不動産会社の人でも、評価が難しいようです。
一般には、買い手がつきません。農業に従事されている方が購入することになります。
そこで、市街化調整区域にある農地の場合は、固定資産評価証明書に記載されている金額が1つの目安になるようです。
預貯金について
預貯金がどの銀行のどの支店にあるのか分かれば、その支店に連絡をします。
連絡をして、亡くなった人の氏名等が聞かれます。
すると、銀行の方で、亡くなった人の口座を凍結します。
凍結されても、後日、条件がととのえば預金を引き下ろすことはできます。
銀行に確認すると、亡くなった人(被相続人)の口座を全て教えてくれます。
当初、普通口座しかないと思っていても、定期預金の口座もありますよ、かなり定期預金ありますよと回答してくれることがあります。
銀行からは、
・亡くなった際の残高証明書
・今日現在あたりまでの取引履歴(数か月から1年分)
を取得すると良いです。
亡くなってからも、親族が預金を引き下ろすことがあるからです。
残高証明書発行依頼書内の証明書の記載方法について
残高証明書発行依頼書内で、証明書の記載方法を書き込む欄があることがあります。
「科目ごとに表示する」「口座番号ごとに表示する」と記載されていたりします。
「口座番号ごとに表示する」の方が、より多くの情報が載っております。
そこで、相続の場合は、「口座番号ごとに表示する」にチェックをいれて請求すると良いです。
なお、利息についてです。
普通預金の場合は、流動性があり、計算に時間がかかるようです。
そのため、資料の取り寄せにそれなりに時間がかかるようです。
一方、定期預金は、それほど時間がかからないようです。
そこで、定期預金の書面だけの取得でも良いでしょう。
また、銀行から融資があるかどうかも、調べられます。
残高証明書に一緒に記載することを求めれば、記載してくれます。
書類取得のための必要書類としては、弁護士が代理人として行う場合、
・被相続人と相続人の関係が分かる書類(戸籍謄本など)
なお、法務局から法定相続情報証明一覧図を取得して、代わりに提出することもできます。
・委任状(実印で押印した方が安心)
・弁護士の職員の証明書
が一般的です。
ゆうちょ銀行について
ゆうちょ銀行ですが、全国どこの郵便局の窓口でも、残高証明書などの取得ができます。
亡くなった方の預貯金の残高を調べる場合は、「貯金残高証明請求書」を記載して提出します。
亡くなった方に口座があるかを調べるには、「貯金等照会書」を記載して提出します。
通常貯金は、過去10年分の明細を取り寄せることができます。
定額預金については、明細がありません。おろせば通帳に記載されるので、通帳を確認すれば足りるからです。
株
株については、どの証券会社の口座に株を開設しているか、確認します。
その上で、証券会社に、取引残高報告書を発行してもらいます。
取引残高報告書には、保有している株式の銘柄名、数量、評価金額(報告書発行時点の時価)などが記載されております。
NISA口座は口座番号が別である
特定口座の他に、NISAの口座も開設されている場合があります。
そして、取引残高報告書をみると、口座番号が1つしか記載されていないので、口座は1つしかないと思う場合があります。
しかし、NISA口座にも、別の口座番号があります。
そこで、遺産分割協議書に株式を記載する際には、NISA口座と特定口座の口座番号は区別して記載する必要があります。
ただし、間違って口座番号を一緒にして記載しても、証券会社によっては柔軟に対応してくれます。
株式の銘柄名や数量等で特定されているとして、相続手続を進めてくれることもあります。
遺産目録の作成をする
遺産が多い場合には、遺産を整理するために、遺産目録を作成します。
エクセルにまとめると、見やすいでしょう。
もしくは、主に弁護士が利用する遺産目録ですが、大阪家庭裁判所のサイトにある遺産目録の書式は、詳細で利用しやすいです。
相続人全員の同意を得て遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議書の各条項を定め、遺産目録が作成し、各相続人が内容に納得すれば、遺産分割協議書に署名をします。
遺産分割の協議の注意点
遺産分割は、相続人全員の同意があって初めて成立します。
そこで、相続人の仲が悪かったりすると、遺産分割の協議ができません。
法定相続分での相続となります。
また、途中で話を変えることも好ましくはありません。
例えば、母と長男が同居し、次男は遠方に住んでおり、次男は母と長男と仲が悪かったとします。
話し合いで、不動産は母が全て相続して、残った預金1500万円を母と子2人で均等に500万円ずつ分けようということで、大まかに話し合いができていたとします。しかし、後日、長男が次男に対して、やっぱり分け方を変えよう、母が不動産の他に預金1000万円を取得し、長男次男は250万円ずつにしようと述べたとします。
そうすると、次男は怒りますよね。裏切られたと思い、もうこれ以上は話し合いができないと思ってしまいます。
ですので、