夫婦や親子の問題に取り組む、弁護士の水谷真実(→プロフィールはこちら)です。
子が児童相談者に一時保護された場合についてです。
親として、どうして保護されなくてはならないのか、子を家に戻したいと考えることでしょう。
親の立場から、説明します。
はじめに~相談や依頼は受けておりません~
現在、一時保護など児童相談所に関する事柄について、相談や依頼をうけておりません。
ご連絡いただいても、対応ができかねます。
ご理解のほどお願いいたします。
子どもが児童相談所に連れて行かれた
先日、警察が家に来て、子どもを保護するということで、子どもが児童相談所に連れて行かれました。
と打つ善のことでビックリしています。
どうやら、夜に、マンションの隣の人が、子どもの鳴き声を聞いて警察に通報したようです。
心配です。
このまま子どもに会えなくなるのでしょうか?
施設に入所となったり、里親の元に子どもが預かられることにならないか、不安です。
それは不安ですよね。
どう対応したら良いか、考えましょう。
以下、説明します。
流れについて
児童相談所から連絡がきます。
面接の日時や、提出するものなどについて指示があります。
母子手帳などの提出を求められます。
児童相談所や自宅で面接が行われます。
例えば、夫は児童相談所で面接をし、妻は家庭訪問の際に自宅で面接をしたりします。
子どもが児童相談所に連れて行かれて、状況に依りますが数日後には親の面接が行われます。
面接時間ですが、だいたい1時間ほどです。
状況によりますが、たとえば、1週間ごとに、2回ほど面接が行われます。
簡単な確認のテストを行う場合がある
子どもに身体的虐待や心理的な虐待がなされたか、その場で簡単なテストをする場合があります。
質問内容としては、「子どもにいらいらしたり、怒ったりして、子どもに次のようなことをしたことがありますか?」という内容の書面や、「子どもの世話が大変だったり面倒だったりして、次のようなことをしたことがありますか?」という内容の書面等である。
自分がしたことがあるか、自分の親からされたことがあるか、夫(妻)がしたことがあるかなどの観点から答えていきます。
弁護士の活用のしどころ
弁護士になるべく早く相談できるならば相談しましょう。
今後、どのように対応したら良いのか、面接ではどう対応したら良いのか、どのような書類を準備したら良いかなどのアドバイスを求めましょう。
弁護士も、面接に同席できます。
弁護士が同席することにより、児童相談所との橋渡しとなることができます。
より円滑に意思疎通ができ、児童相談所の指示を冷静になって聞くことができます。また、児童相談所に、より的確に考えや状況を伝えることもできます。
事前に提出するとよい書類
面談で口頭で述べるよりも、事前に書面にある程度状況をまとめて提出しておく方が、話が進みます。
その際、参考になる書面等をご紹介します。
参考になる書面
離婚の場合に、親権を主張する場合に提出する子の監護に関する陳述書は参考になります。
裁判所のページにあります。
子の監護に関する陳述書をアレンジして、子どもは家庭で引取り育ているべきであることを主張するのは1つの手です。
不要な部分は削除して、必要な部分は追加して作成するのは1つの手です。
なるべく、面談の前に作成して、児童相談所に提出すると良いです。
記載する内容
子の監護に関する陳述書の内容は、参考になります。
その他、追加する内容としては、「一時保護当時の家庭の状況」や「一時保護に至った経緯について」や「今後について」等です。
自身の親との関係、自分が子どもの頃についても記載するとよいでしょう。
また、子どもの体調や病気や怪我などについても、事前に説明をしておくと良いでしょう。
例えば、熱いお湯をこぼして子どもが過去に火傷をして、今も皮膚がかぶれているとします。この場合は、火傷をした原因、当時の状況等を書面で説明して提出しましょう。
家庭訪問が行われます。
家庭訪問ですが、夫が児童相談所で面接をしたその日のうちに、家庭本問が実施されることもあります。
弁護士の活用のしどころ
弁護士が家庭訪問に立ち会うことができます。
家庭訪問の際、児童相談所の担当者と意見の対立が生じることもあります。
弁護士が間にはいって、意見を代弁することができます。また、その場では意見を代弁しなくても、後日、書面で改めて意見や主張を児童相談所に伝えることもできます。
心理士、児童相談所の担当者とともに、面談をします。
心理士が子どもの状況や様子をみて、児童相談所に報告をします。
また、児童相談所の担当者が、子どもに会いにもいってきます。
親が子どもにどのように接するべきか、答えもでてきます。
そして、心理士との面談を行います。1回か2回ほどの面談が見込まれます。
伝えてくれること
心理士は、乳児院などに保護されている子どもの状況を伝えてくれます。
子ども発達状況などについて、心理士が子どもと面会した際に感じたことを伝えてくれます。また、施設側から受けた報告も伝えてくれます。
その上で、一時保護になった原因をふまえて、将来の改善点やアドバイスをしてくれます。
子どもが健全に発達していくためにお父さん、お母さんができること、気をつけることを伝えてくれます。
子どもの家庭復帰について伝えてくれる場合もある
担当者や心理士が、子どもの家庭復帰についてどういう考えか伝えてくれる場合があります。
担当者や心理士が、子どもを家庭復帰の方向でと考えた場合についてですが、児童相談所の所内での協議の際に、担当者や心理士が家庭復帰を提案します。そして子どもの家庭復帰の日にちが決められます。
誓約書
子どもの家庭復帰に伴い、児童相談所が提示してきた誓約書に署名をします。
例えば、
・子どもの前で暴言や喧嘩をしない
・家庭復帰後は児童相談所の児童福祉司の指導を受ける
・児童相談所が関与する期間をすぎても、地域の関係機関(子ども家庭支援センター、キッズな)の支援をうけいれる。
などです。
家庭復帰の時期
心理士との面談後、数日で子どもが家庭復帰することもあります。
子どもと会います。
児童相談所としては、親と子がどのように触れあうか、確認をするためです。
施設で子と会わずとも子どもが家庭復帰をする場合もある
心理士と面談して、誓約書を書くなどしたら、子どもが家庭復帰をする場合もあります。
児童相談所の施設で子どもと会うステップをふまずに、子どもが家庭復帰をします。
一時保護が解除され、子どもが家に戻ります。
一時保護の解除の理由
夫婦関係の改善、家庭環境の調整がなされるなどした場合です。
保育記録等
児童相談所から、子どもの保育記録等も渡されます。
毎日の記録ではなく、適度にピックアップした内容をまとめた記録です。そのため、内容に不満があるかもしれませんが、参考にするべきところはすると良いでしょう。
子どもの様子について
子どもの様子が以前と比べて変わっているかも知れません。わがままになっていたりするかもしれません。
そこで、しばらくは子どもを注意深く見守る必要があります。保育園の先生に状況を確認したりしましょう。
定期的に、心理士などが家庭訪問をする場合があります。
一時保護が、親の同意なく2か月を超える場合は,家庭裁判所の許可が必要となります。
家庭裁判所は,延長をするかどうか、児童相談所側と親の双方の主張をきいた上で,判断をします。
一時保護の延長と面会制限が違法となる場合
裁判で,一時保護の延長が違法であるとして,大阪府に100万円の賠償命令を出した地裁判決があります。
親が生後間もないの子どもを誤って床に落として子どもは怪我をしました。病院で、医師は、母親の説明と子どもの怪我の整合性がとれないとして、虐待のおそれがあると判断し、児童相談所に連絡しました。
児童相談所側は、1回床に落としたのに何故2か所の骨折があるのかということで、一時保護を決定して、8か月の間一時保護を続けました。
問題点
一時保護が2か月をすぎ、親の同意がない場合,児童相談所は家庭裁判所に延長の許可の申立てをする必要があります。
家庭裁判所は、親に虐待の傾向は一切認められないとして、延長するにしても準備期間としての延長として、複数の医師の意見を検討するよう指示しました。
しかし、児童相談所は、他の医師の医師の意見を求めず、8か月の間、一時保護を続けました。
この点が問題となったのです。
裁判所の判断
裁判所は、早い段階で他の医師の意見を求めていれば、一時保護をする必要はなかったと判断しました。
一時保護の延長と面会の制限は違法で、子どもの毎日の成長を見守るかけがえのない時間が失われたと判断しました。
その上で,100万円の損害賠償の支払いを命じました。
子の早期の家庭復帰に向けて~弁護士の活用のしどころ(役割)~
弁護士に依頼をしても、子どもが早く家庭に帰ってくるわけではないと思われるかもしれません。
しかし、弁護士は、保護者と児童相談所の間の意思疎通を円満にします。双方の考えなどをつなぐことができます。
また、保護者としては、子どもと早く一緒に住みたいと考えるでしょう。
しかし、お母さん・お父さんは、子どもと離ればなれになり、冷静さを欠きがちです。
そこで、弁護士が冷静に状況を把握し、こういう準備をしたら良いなどのアドバイスを致します。弁護士は、冷静に状況を把握して、最適な対応を提案できます。
保護者が子どもを育てる環境の改善を図れるようサポートします。
弁護士は、保護者であるお父さん・お母さんの代理人です。
お父さん・お母さんの立場にたち、サポートしていきます。アドバイスをいたします。
児童相談所との関係、病院との関係、その他の様々な関係について、アドバイスや一緒に対応をしていきます。
また、子の福祉にも配慮しながら活動してきます。
子の福祉にも配慮しながら活動することが、結果として子どものためにも親のためにもなります。
そして、弁護士が弁護活動することで、子の家庭復帰の時期が早まります。
懸念事項がある場合
懸念事項があれば、児童相談所に伝えることです。
例えば、職場には連絡しないで欲しい等です。
児童相談所から職場には連絡はしないでしょうが、心配は心配ですね。
弁護士の活用のしどころ
弁護士を通じて、児童相談所の担当の職員に確認もできます。
育児休業給付金について
子どもが児童相談所の一時保護の場合でも、子の親権・監護権は親にあります。
そこで、育児休業給付金をうけとっても、不正ではありません。
心配であれば、行政機関に確認すると良いです。
なお、施設に預けられると状況が変わるので、行政機関に確認すると良いです。
子どもが一時保護されないために~警察との関係~
近隣の通報で、警察が突然家にくることがあります。
子どもの泣き声により通報されることはけっこうあります。
甘え泣きや、例えばお尻がむずむずするなどで泣いているだけなのに、通報されてしまう場合があります。
この場合は、なるべく冷静に対応することが望ましいです。
冷静になって、警察に状況を落ち着いてきちんと説明することです。虐待ではないことを説明することです。
警察の前で、興奮したり、夫婦げんかをエスカレートさせたりするべきではありません。
賃貸人との関係
部屋を借りている場合についてです。
夫婦げんかや子どもの泣き声などについて、近所の人が賃貸人や管理会社に苦情を伝える場合があります。
その結果、賃貸人や管理会社の人から、部屋から退去をして下さいと要求される場合があります。
この場合は、落ち着いて対応すると良いです。
賃貸人や管理会社に事情を説明したりすることが考えられます。
弁護士の活用のしどころ
弁護士が代わりに賃貸人や管理会社の人と話します。
状況を説明したり、賃貸人側の要望を聞きます。
また、このまま話し合いがつかない場合は、どのようになるのかの見通しを伝えることができます。
対応策もアドバイスできます。
子どもを泣き止ませるために
小さいお子さんだと、泣き止まないことがあります。
泣き止ませるためにできることを簡単にまとめました。
相談や依頼をうけておりません
現在、一時保護について、相談や依頼をうけておりません。
ご連絡いただいても、対応ができかねます。
ご理解のほどお願いいたします。