反訴について

反訴とは?

裁判において、被告側が反訴をする場合があります。

例えば、次のような場合です。

具体例
原告の訴え(本訴)
・離婚したい
・慰謝料を支払え

被告の訴え(反訴)
・離婚したい
・慰謝料を支払え

反訴については、民事訴訟法に次のように規定されております。

(反訴)
民事訴訟法第百四十六条 被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。
二 反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
2 本訴の係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第一号の規定は、適用しない。
3 日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について管轄権を有しないときは、この限りでない。
4 反訴については、訴えに関する規定による。

引用元:e-GOV法令検索(民事訴訟法)

原告が離婚のみ訴えている場合

原告が離婚のみを裁判所に訴える場合があります。
例えば、夫が妻に対して、財産分与はしたくない、離婚のみ早くしたいという場合が想定されます。

具体例
原告の訴え(本訴)
・離婚したい

被告の対応

離婚したくない場合

被告は、離婚したくない場合は、本訴の裁判において、離婚について争います。

なお、予備的に反訴請求をすることもあります。
離婚したくないけれども、和解が上手くいかなかったり、裁判で離婚が認められることを想定して、予備的に反訴を申し立てるのです。

反訴状の内容としては、次のような内容が考えられます。

上記当事者間の頭書事件について,本訴被告は,次のとおり,反訴原告と反訴被告の離婚が認容される場合、予備的に反訴を提起する。

第1 予備的反訴請求の趣旨
 1 反訴被告は、反訴原告に対し、慰謝料として金〇〇万円及び離婚判決確定の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
 2 反訴被告は、反訴原告に対し、財産分与として、相当額の金員を支払え。
 3 反訴原告と反訴被告との間の年金分割についての請求すべき按分割合を、0,5と定める。
 4 訴訟費用は反訴被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。

離婚に争いがない場合

一方、離婚に争いがない場合についてです。

和解ができそうならば、反訴までは必要ないでしょう。
和解で、財産分与などの話し合いも行われるからです。

しかし、和解がまとまらない、判決になりそうだという場合もあります。
この場合は、被告としては、財産分与などをしたい場合は、反訴で、財産分与などを訴えることが考えられます。
原告の訴え(本訴)は、離婚についてしか求めておりません。財産分与などは求めておりません。
そこで、被告が財産分与等を求めたい場合は、被告は反訴をする必要があります。

原告が離婚以外も訴えている場合

原告が、離婚の他に、財産分与や慰謝料なども訴えている場合についてです。

例えば、妻が夫に対して、離婚を求めるほかに、財産分与や慰謝料や年金分割を求める場合が想定されます。
具他例を元に説明します。

具体例
原告の訴え(本訴)
・離婚したい
・財産分与
・慰謝料を支払え
・年金分割

被告の対応

被告は離婚したくない場合

被告は、離婚したくない場合は、そのまま裁判で離婚について争います。

予備的な反訴の申立てですが、原告は財産分与についても訴えています。
そこで、被告は、原告に対して慰謝料の請求をしたいならば、予備的な反訴をすることが考えられます。

離婚については争いがない場合

一方、離婚については争いがない場合についてです。

まず、和解が見込まれる場合は、被告としては反訴までする必要はない場合もあります。
裁判において、被告は原告に対して自分にも慰謝料を支払うよう求めることはできます。
そして、和解の話し合いになり、被告への慰謝料の支払いも考慮されることはあります。

しかし、和解が難しい、判決までいきそうな場合は、被告は反訴も視野にいれることになります。
判決になってしまうと、原告の訴えの内容に対してしか判断されません。

原告の訴えの内容である、離婚について、財産分与について、被告が原告に対して慰謝料を支払うかどうかについてしか、裁判所は判決で判断しません。

そこで、被告が原告に対して慰謝料請求を求める場合には、反訴を提起する必要があります。
反訴をすれば、裁判所は被告の反訴の訴えに対して、判断をするからです。

反訴がなされた場合

本訴と一緒に審理される

被告から反訴が提起された場合は、原告の訴え(本訴)と一緒に審理されます。

原告の対応

原告は、反論する必要があります。
被告の反訴の提起に対して、なにも反論をしないと、そのまま被告の反訴の訴えが認められてしまいます。

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