【不倫】合意時に明らかでは無かったことが判明した場合~清算条項と判例の関係~

事案

夫が女性と不貞行為を行いました。女性は不貞行為を認めませんでした。
しかし、女性は妻に対して、精神的苦痛を与えたことは認め、合意書を作成しました。
合意書の内容は、不貞行為は認めませんでしたが、
・謝罪条項
迷惑をかけたことを謝罪する
・金銭支払い条項
慰謝料として70万円支払う
・清算条項
お互いの間には、この合意書に定めるもののほかには何らの債権債務がないことを相互に確認する。
などを規定しました。

その後、実際は、女性は夫と不倫し、夫と現在まで継続的に接触していたことが発覚しました。

清算条項の存在

不貞行為について、合意書を作成した場合についてです。

合意書の内容には、清算条項が規定されています。
清算条項の内容ですが、
「お互いの間には、この合意書に定めるもののほかには何らの債権債務がないことを相互に確認する。」
と規定されています。

清算条項があるので、合意より以前の事情(損害)は、清算されていると女性は主張することが考えられます。

判例(合意時に予想できなかった損害について)

交通事故の後遺障害についてですが、次のように判示しています。

全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。

引用元:最高裁判所第2小法廷判決/昭和40年(オ)第347号

とすると、不貞行為の場合も、合意時に、不貞行為を行っていたことなどを前提として合意をしていなければ、過去の不貞行為について損害賠償請求が可能です。

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