自己破産手続の流れ
準備ができたら、裁判所に申立てを行います。
できるだけ、準備はしっかりとして臨む必要があります。
特に、同時廃止の申立ての場合は、しっかりとした準備が必要です。
一方、管財事件になることが想定される場合は、申立て後に追加で資料を提出してもある程度は大丈夫です。
同時廃止の申立てでも管財の申立てでも、代理人弁護士が裁判官とまず面接をします。
身内が自己破産の申立て直前に亡くなった場合
身内が亡くなると、相続の問題が生じます。
自己破産の申立ての直前に身内が亡くなっている場合は、相続の内容について裁判所から話を聞かれます。
場合によっては、管財人の調査が必要となることもあります。
相続放棄の申立てを裁判所にするよう、指示があることもあります。
養育費について
離婚をして、子どもの親権を有している場合についてです。
元配偶者から養育費の支払いがどうなっているのか、裁判官から聞かれることがあります。
そのため、養育費が分かる資料、例えば調停の調書や合意書などの準備が必要となります。
裁判官に聞かれること(管財事件が想定される場合)
・事前に代理人が調査をした中で、どの点が問題となりそうか代理人の考えを述べて欲しい
・誰かにお金を貸していないか。貸している場合は返してもらえるか。
などです。
管財人候補者が選任されたら、管財人候補者の事務所でまず打合せを行います。
管財人候補者に聞かれること
裁判官との面接で、裁判官が調査が必要に思ったことを再度聞かれます。
また、免責不許可事由がありそうならば、さらに詳しい説明を求められることもあります。
管財人へ支払う報酬(予納金)は、分割払いができます。
しかし、あまり長く分割払いをすると、その分、債権者集会の開催などが遅れます。
だいたい、毎月5万円を4回に分けて支払うことなります。
中古の車やバイクがある場合
インターネットからで良いので、査定書の提出を求められることがあります。
20万円を超えるかどうか確認されます。査定により、引取困難な場合や20万円以下の場合は、そのまま所有することができます。
預金が20万円以上ある場合
預金が20万円以上ある場合は、20万円をこえる部分について破産財団に組み入れられます。
ただし、自由財産拡張の申立てを行い、場合によっては破産財団に組み入れられない場合もあります。
第1回債権者集会
裁判所の部屋で債権者集会と免責審尋が開かれます。
東京地方裁判所の場合、だいたい、30分~40分ぐらいかかるでしょうか。呼ばれる順番にもよります。
大部屋に、免責をうける破産者が集まります。
大部屋の一角にテーブルがあり、各裁判官が座っております。
順番に呼ばれて、裁判官のいる席に座ります。管財人と代理人弁護士も一緒に座ります。
クレジット会社や銀行などの大手が債権者の場合は、債権者集会に出席してこない場合がほとんどです。
そこで、債権者集会よりも免責審尋が主となります。
裁判官から質問をされるので、回答をします。
聞かれることは状況によって異なります。
借金が増えた原因はなにか
今後どうしていくのか
を聞かれたりします。
そして、裁判官から、次に破産申立てをしても免責は難しいなどと諭されることもあります。
終了したら、それで終わりです。退出ができます。
実際は、大部分が、第1回債権者集会で終了します。
第2回債権者集会
例えば、第三者にお金を貸していて、第1回債権者集会をすぎても、お金の返済の見込みがあれば、第1回債権者集会だけでは終わりません。続行となります。
管財人が貸したお金の取り立てを行っているので、管財人が引き続き取り立てを行います。
そして、取り立てが済めば、債権者に配当(簡易配当になるでしょう)となります。
管財人の取り立てについて~相手がホストの場合~
相手がホストであっても、管財人はしっかりと取り立てを行います。
管財人は、
・相手の氏名
・相手の住所
・相手の電話番号
・あげたなどではなく貸したという認識でよいか
・貸したとしたら、その内訳(親から借りた〇万円、自分の給料の〇万円など)
・振り込んだ先の口座情報
などを聞いてきます。
そして、管財人は、相手のホストの人に対して、しっかりと取り立てを行います。
管財人の報酬ですが、管財人の報告を聞いて裁判所が判断します。
取り立てに労力がかかったりした場合は、管財人の報酬も高くなります。
例えば、100万円支払ってもらったら、60万円ぐらいが管財人の報酬となることもあります。
破産管財人から破産手続の廃止決定証明書が届きます。
(破産管財人によっては、なにもしない方もおります)
裁判所より債務の免責の許可の決定がだされます。
免責の許可決定がでますと、債権者に対する債務が消滅します。
今後は、債権者から請求されることはありません。
自由財産の拡張~債権者に弁済して処分しなくて済む場合~
99万円以下の現金は、破産法上自由財産とされます。
一方、預貯金が20万円以上の場合は、破産財団に組み入れられます。
そのため、債権者に弁済されて処分されることになります。
しかし、破産開始手続が開始をしたら、自由財産の拡張の申立てることができます。
自由財産の拡張を申し立てて、裁判所が認めたら、20万円以上の預貯金でも処分しなくて済みます。
東京地裁の運用ですが、申立てではなく上申書という形で、裁判所と管財人に預貯金の自由財産の拡張を上申します。
裁判所は、管財人の意見をきいて、判断します。
管財人が、自由財産の拡張を認めても良いという意見書を書いても、裁判所が認めないという判断をすることもあります。
裁判所の判断がでるまで財産は処分しない
自由財産の拡張の上申書を裁判所に提出しても、認められるとは限りません。
そこで、破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産といいます)以外は、処分してはいけません。
申立ての代理人の方で、預かるなど適切な処置が必要となります。
自由財産の拡張が認められるか否かの判断のポイント(預貯金について)
現金については、99万円以下ならば自由財産として処分しなくても大丈夫です。
そして、預貯金ですが、預貯金の合計が99万円以下であることのみをもって、自由財産の拡張が認められるわけではありません。
また、自由財産の拡張は、お金が無いからという理由だけで認められるものでもありません。
もし、お金がない(収入のあてがない)という理由で自由財産の拡張が認められると、際限なく自由財産の拡張が認められてしまいます。
通常は、今後の収入は見込めるが、売上げが上がらず一定の期間赤字になるので、その期間の分だけは自由財産の拡張を求めるという場合に、自由財産の拡張が認められます。
自由財産の拡張が認められない場合
自由財産の拡張が認められない場合は、破産財団を構成します。
そこで、管財人が換価して債権者に弁済をすることになります。
免責許可決定後について
携帯電話の分割払いについて
携帯電話を機種変更したい場合でも、当面の間は一括払いとなります。
いつから分割払いができるかははっきりしたことはいえません。
信用情報機関に登録されるので、数年の間は分割払いではなく一括払いとなるはずです。
ヤミ金業者などからお金を借りませんか?と連絡がくる
自己破産で免責許可決定がなされると、官報に載ります。
官報をみて、ヤミ金業者などから、お金を借りませんか?と連絡がくる場合があります。
お金を借りてしまうと、思わぬトラブルになったり、また、借金が増えていくことになります。
そこで、ヤミ金業者などから連絡がきても、応じないことです。
当面は、意識して生活を引き締めるなどするべきです。
貯金をするなどして、余裕をもって生活をすると良いです。